カバンの紐
掲載日:2017/04/10
あ、と手からカバンが離れそうになる
それは宙を舞って、ホームから空いた空間に
線路に向かおうとする
まるで今の私の様に
最後のその一線が切れたら
きっと、そこへと行ってしまう
すっと、そこへと落ちてしまう
駄目だよ、そこへ堕ちては
ダメだよ、そっちへ追っては
ふと、ホームと線路とを隔てる壁が
私と【そちら】を隔てて
甲高い警笛が鳴り響く
高速で運ぶものは過ぎ去って
私の命はその場に残った
カバンの紐は、生死どちらにでも引っ張れるかの様に
私の手の先で、ゆれていた
ただ、ゆれていた




