決心
よく晴れた日だったのを覚えている。
どこからともなく蝉の声が聞こえ、空中でぶつかり合う。
遠目でも陽炎がたなびくのが目に付いた。
ふと、近くで喜びの声が上がった。
「やった、アタリだ」
思わず、楽しそうだなぁ、と他人事のようにこぼした呟きは、アスファルトに跳ね返された。
そして、そう思っている自分に気づいた。
どうやら、僕はランドセルとともに大切なものを置き忘れてしまったらしい。
「たまには、押し入れの整理でもしようかな」
そうして、天を向かって打ち出された言葉は、天高く昇って行き、やがて、青空を吸い込まれていった。
この先どうなるか、なんて分からない。
それでも、一つだけ分かることがある。
蟬は鳴き続けるのだろう、命枯れるまで。
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