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act.1
暇な時にちょこっとづつ更新しますんで、気長に見守ってやってください。
「ふぁ〜」
頼りない欠伸と共に上半身を持ち上げる。足元には杖がベットに立掛けてある。
はたからみて、この男に杖が必要には全く見えない。むしろ、健康そうで年齢は30を少し過ぎた位か。特にどこも悪いようには見えない。
男は不機嫌そうに起き上がり、冷蔵庫にしまってあったゼリー飲料を身体に流し込み、おもむろにテレビを点けた。
ちょうど昼のNEWS番組が流れていた。
仕事の次の日には、必ずこの番組を見るのが男の日課のようだ。
テレビからは無表情のアナウンサーの声が聞こえる。男はテレビをしばらく眺めて呟いた。
「ばれていないみたいだな、俺の事は」
そう男は、NEWSに出ていてもおかしくない事を仕事にしている。
少なくとも風貌からは、人に感謝される仕事をしているようには見えない。
そう、彼は泥棒である。