Knight who burns with king of the forest
お久しぶりです!!
そして、申し訳ありませんでした!!
他の小説ばっかりを書いてまして………ですが、再開です!!
この小説は毎週月曜日に更新しようかと思っています。
そうやって期限を決めれば大丈夫だと思いまして………。
本当に済みませんでした………。
それと、投稿していた話を編集しました。
少し設定を追加した感じですかね。
知っているか?
狼はこんなにも速く走れるのだと。
知っているか?
狼の牙はどんな物でも貫けるのだと。
知っているか?
この【森】の狼は―――黒い靄に包まれているのだと。
黒い毛は暗闇に溶け込み、赤い眼はその暗闇でまるで火の玉の様に浮いている。
歩く姿は、どんな生き物よりもおぞましい。
眼が合えば死を連想させ、自身の無力さと自身の命のちっぽけさを実感する。
【森】を駆ける、言うならば暗殺者。
蹂躙し、無音で駆け、そして標的の喉元に喰い付く。
恐ろしい。
あの牙が自身の喉元に突き刺さるのを想像する。
恐ろしい。
恐怖しか湧かない。
だが、かの狼達は言った。
『―――怖い? それは誰しも抱く物だ。お前に限った事ではない』
その言葉は、人間が言えば何も感じないであろう。
だが、その言葉が獣の口から発せられた時、自身は思った。いや、感じた。
これが、この【森】の狼達なのか、と。
著者∥アルドール=リーディ
『幻想種物語』第Ⅱ章・『気高き狼達』一部抜粋。
戦場。それは間違いではない。
血飛沫が舞い、死体が転がっていればそこは戦場だ。
方や殺す側。方や殺される側。
それが揃えば血が舞う。
だが、今回の殺す側は少し違う。
人間が二人しかいない。
方や謎の少年。方や賞金稼ぎの女。
そして大量の狼達。
その内の二頭。
黒い毛に赤い眼。
方や右側の牙が欠け。方や尻尾に鎖を巻き付けている。
この二頭が戦場と化したこの場を蹂躙していた。
黒い靄が体を包み、銃弾や刃がすり抜ける。
それはまるで幽霊の様に。水を切るかの如く。
そして、その黒い靄は物凄いスピードで兵士達の喉元に現れる。
ブシュゥゥゥウウウゥゥゥゥゥウウウウウウゥゥゥゥゥッッッ!!!!!!!!
「ぐがぁぁぁああぁぁぁぁぁぁ――――――――――――」
黒い靄が喉元から消えた瞬間、兵士が力無く崩れる。
首もとは血で塗れている。
兵士達は戦慄した。
我々は―――何と戦っている?
『クハッハッハッ!! 所詮は屑共だ!!』
尻尾に鎖を巻いた、バルデトが高らかに笑いながら姿を見せる。
黒い靄の中から頭部が現れ、徐々に頭部から腹部、前足、後ろ足、そして鎖を巻いた尻尾が現れる。
これが『不確かな狼』。
そしてこの黒い靄こそが、『ゴースト』と名付けられた所以だ。
まるで、『幽霊』の様に実体が無い。
突然現れ、突然消え、そして気付いた時には終わっている。
だが、兵士達はその姿を見て、『幽霊』ではないモノを連想していた。
―――『死神』
『所詮は糞共だ………ん? 数名消えているな………逃げたか?』
右側の牙だけ欠けた、ディガーが辺りを見渡す。
『んあぁ? 大丈夫だろう。クィスが待機しているからな。逃げられはしねぇよ』
バルデトは心底嬉しそうにまた一人兵士を噛み殺す。
余裕。それは会話を少しでも聞いただけで解る。
その反面、兵士達は既に満身創痍だった。
横で倒れる血塗れの兵士の死体を見る。
恐怖が煽られる。
自分も、こうなるのか?
この死体の様に、無残に殺されるのか?
その恐怖は既に足を地面に縫い合わせた。
ガタガタと震える両脚は行動を拒否する。
絶対的。絶望的。
『それもそうだな………では、我等はこの場に居る糞共を排除するとしよう』
ディガーの体を黒い靄が完全に包む。
『その意見には同意だ………大変な仕事になりそうだぜぇ』
バルデトは言葉に反し、まるで笑みを浮かべるかの様に頬を吊り上げ、黒い靄に完全に包まれる。
兵士達の命は終わりを告げようとしていた。
対峙。
紅蓮の鎧を纏い、緑と黒色の短剣を構え見据える騎士。
此方は何の変哲も無い短剣を構え、姿勢を低く構える少年。
異様。
それは騎士ではない。騎士が対峙する者がこの場では不釣り合いなのだ。
少年。
見た感じでも十代半ば。そんな少年が短剣を構え、あの『紅蓮騎士団』の一人を見据えている。
だが、『紅蓮騎士団』の騎士は油断していなかった。
少年の動き。それを見て尚も余裕で居られる者は、それを上回る何かを持った者か、唯の馬鹿か。
後者では無いにしろ、騎士に切り札とも言える物は既に切っていた。
構える短剣。
これこそがこの場での切り札。
『有限魔法』
200年前、この『偉大なる大地』に堕ちた隕石、『永久凍結』。その隕石の欠片、『力の欠片』。
この『力の欠片』を物に埋め込むか、溶け込ませるかにより『未知魔法』同様の力を得る事が出来る。
騎士が構える短剣はそれだ。
『有限魔法』は騎士ならば誰でも持ってはいるが、それでもレアなのに変わりはない。
大抵の者は、相手が『有限魔法師』だと知ると逃げていくか奪いに来るかのどちらかだ。
だが、目の前の少年はその前者でも後者でもない。
構える姿、隙が無く圧倒的な威圧感を醸し出す。
騎士、レイナードはゆっくりと、短剣の刃先を少年に向けたまま横へ動く。
少年は動かず、目だけでその動きを追う。
ここが戦場と言うのも感じさせない。
まるで周りの兵士や狼が二人の存在に気付いていないかの如く。
無音。
その無音を最初に打ち消したのは騎士、レイナードだった。
「フッッ!!!!」
短剣を上に掲げ、そして振り下ろす。
「斬れェェェェェッッ!!!!!」
その叫びと共に、
ブオォォォォオオオオォォォオオオオォォォォォォオオオンッッッッ!!!!!
短剣から風が発せられ、それがまるで斬撃の様に少年に向かって飛ぶ。
風の斬撃。
だが、少年は驚きもせずに自身の持つ短剣を突き出す。
何かが来る。
そうレイナードは思い、身を構える。が、
「団長ッッ!!!!」
もう一人の騎士、フロアが叫ぶ。
レイナードはその言葉で気付く。
「!?」
目の前に立っていた筈の少年が居ない事に。
飛ばした風の斬撃は少年が立って居た筈の所を既に通過し、霧散していた。
「遅い」
「!?」
心臓を掴まれる。
汗が一瞬にして引くのが解る。
声が聞こえたのは真後ろ。
死。死。死。
頭に浮かぶビジョン。レイナードは唇を噛んだ。
「舐める………なァァァァァァァァァァァァァァァァッッ!!!」
短剣を後ろへ振る。
キインッッッ!!!!
金属音。
短剣が宙を舞う。
「フッ!!」
舞う短剣は少年の短剣。
レイナードは少年の短剣を弾く事に成功した。
その成功で、一気に気が緩んだ。
いや、その気の緩みは見ただけでは解らない。
本人以外には解らない事だろう。
けれども、少年は兜の隙間から覗くレイナードの眼を見据えていた。
その落ち着き、冷静さは異常。
今まさに、レイナードは短剣を少年の胸へ突き刺そうとしている。
それなのに、その短剣を見ずに少年はレイナードを観察するかの如く見据える。
「貰ったァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアッッッッ!!!!!!」
レイナードが雄叫びに似た声を出し、短剣を少年に突き刺そうと、いや、このまま行けば確実に突き刺さる。
そう、このまま行けば。
「『王の定義』―――」
静まる。
いや、レイナードがそう感じているだけだ。
聞こえるのは、少年の言葉だけ。
まるでスローモーションの様に。
だが、少年の声は鮮明に耳に届く。
「―――『神秘なる森』」
その言葉が、レイナードには不吉にしか聞こえなかった。
まるで、今から自分が想定していない事が起こる様な。
まるで、今からこの少年に負ける様な。
短剣が少年の胸に突き刺さろうとした瞬間、黒い靄が少年から発せられる。
「!? なッ!?」
レイナードは眼を丸くした。
刺さる筈だった短剣は、黒い靄が発生した事により少年の体を通り抜ける。
短剣の刃だけではなく、短剣を握る右手までもが少年の体を通り抜ける。
「此所で使うつもりは無かったのだが、な」
少年は見た目に似合わない口調で軽く頬を吊り上げた。
レイナードはその挑発にも似た口調、そして言葉に叫んだ。
「舐めるなぁぁぁぁあああぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!!!」
短剣を引き抜き、振り上げ、振り下ろそうとするがそれよりも速く少年の掌がレイナードの兜に当たる。
ドンッ!!!!
「グッッッッ!!?」
振り上げた短剣はそのまま、レイナードはそのまま後ろへ飛ばされる。
飛ばされた勢いで地面に叩き付けられ、体を跳ね、地面を転がる。
「団長!!? き、貴様ぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁぁぁああああッッッ!!!」
フロアが叫び、地面に突き刺さっていた片手剣を引き抜き、そのまま少年に向かって駆けた。
走りながら片手剣を振り上げ、少年の頭上へ振り下ろす。
が、
「フッ!!」
少年は振り下ろされた片手剣の刃の側面に掌を当て、へし折る。
「なっ!?」
フロアは砕け散る刃の破片を見ながら驚愕した。
そして、その僅かな時間がミスに繋がる。
「ハッ!!」
少年の掌がフロアの胸に当たる。
鎧を着ているのだから、肉弾戦に措いて差ほどダメージは無い。
そう高を括っていた。それが裏目に出た。
「がはッッッ!!!」
空気が口から漏れ出す。
少年の攻撃は鎧を物ともせず、フロアの体にダメージを与えた。
「ぐあぁあぁぁあああぁあぁぁぁぁぁああああああッッッ!!!!!」
叫び、後ろに吹き飛ばされ地面を転がる。
ガシャンッ!!!
地面に叩き付けられた衝撃で兜が吹き飛び、短い金色の髪が現れる。
「うっ………うう………」
呻き、立ち上がろうとするが、体へダメージが思った以上に重く、脚に力が入らない。
少年はその姿を見ながら、ゆっくりとフロアへ向かって歩き出す。
トドメを刺そうとしているのか。フロアは唇を噛み、必死に立ち上がろうとする。
が、動かない。
「くそ………が………」
喋る事も辛い。呼吸が困難の中、姿勢だけは強く、少年を睨み付ける。
だが、少年は動じずにフロアへ近づく。
終わった。
フロアはそう感じた。
が、
「近づくなぁぁあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああッッッ!!!!」
叫び声。
「!?」
少年は咄嗟に後ろへ飛ぶ。
その瞬間、少年が立って居た場所に突風とも言える風が通り抜ける。
ドゴォォォォォォオオォォォォォオオォォォォォォオオオオオオンッッッッ!!!!!!
地面を抉り、木々を薙ぎ倒すその風。
フロアは笑みを浮かべた。
「団長!!」
フロアの視線の先には、短剣の刃先を向け、肩で息をしながら凄まじい形相で少年を睨むレイナード。
脱げた兜により、碧と蒼のオッドアイにウェーブのかかった金髪が露わとなっている。
「………まだ、終わりじゃない、ぞ?」
久しぶりだったので、色々と掴み掴みです。
目指せ100話!
書く前に色々と計算と言いますか、「何話程度まで行くかな?」と思って計算しましたら、どう頑張っても100は超えてしまう。
あれ?って思いました。
よくよく考えたらこの話も結構詰め込んだ話だったなぁ~と改めて思い出す。
因みに、この物語の主人公君にはハーレムを作ってもらうつもりです!!
夢にまで見たハーレムです!!
ギャグをね、シリアスに変えない様に頑張らないと………。
それでは、この物語が終わるまでお付き合いして下されば幸いです。