Meaning of life and death
短いです。
まぁ、うん。この話から一気に書こうと思ったのだけれど、長くなるしぃ~。って事で次回へ。
ナイトメアーと少年&狼達が兵士を奇襲する数分前。
【森】の中から兵士達を見ていた。
『火を放ちやがって………喰い殺すぞ』
狼が殺気立ちながら顔を歪める。
「………その前にだよ」
少年は兵士達から視線を外し、腕を上げる。
ナイトメアーは何をしているか解らず、尋ねようとした瞬間、囲まれる。
「!!? ………狼」
周りに、100程の狼が彼女を睨みながら唸っていた。
すると、その狼の群れの中から尻尾に鎖を巻き付けた一頭の狼が前に出る。
その狼を見た瞬間にナイトメアーは気付く。
「………二頭目の『不確かな狼』………」
『さっきから何か臭うと思ったら、人間の臭いか』
小馬鹿にしながら笑う狼。
「こんなに大量の狼が近くに居たのに気付かなかったなんて………あぁ、獣臭くて逆に気付かなかったのかしら?」
挑発し、微笑む。
『んあぁ? 舐めてるのかゴラァ!!!』
狼は簡単に挑発に乗る。
すると、その狼の後ろから白い狼が現れる。
『落ち着きなさいよ?そんな簡単に挑発に乗ってどうするの?』
「なっ!? 白い『不確かな狼』!!?」
『あら? 白いのを見るのは初めて? ………あぁ、白じゃなくとも初めてよね』
そう言いながら白い狼は少年を見る。
『どうします? 此所でこの子を噛み殺しますか?』
『ハッ! 当たり前じゃねぇーか!!』
狼が叫ぶ。
『バルデト。少し黙れ』
最初から居た狼が叫ぶ狼を睨む。
『んあぁ?テメェー誰に命令してんだゴラァ!!!』
『本当に少し黙りなさいよ』
白い狼は溜息を吐く。
『クィスまで………解ったよ! 黙れば良いんだろッ!!』
そう言い、バルデトと呼ばれた狼が拗ねる。
『さてさて、煩いのが黙った所で………どうするのですか?』
再度白い狼、クィスは少年に尋ねる。
少年は何も言わずに、ナイトメアーを見ていた。
その場に異様な空気が流れる。
ナイトメアーは額から流れ出る汗すら拭える余裕は無い。
動けば殺される。その様な錯覚に襲われているからだ。
すると、少年が口を開く。
「………尋ねる」
その言葉に無言で彼女は頷く。
「貴様は死を恐れるか?」
「死を………恐れる?」
その問いの真意が解らず、彼女は考える。
だが、少年は答えを聞かずに続ける。
「貴様は生を恐れるか?」
少年は淡々と尋ねる。
「貴様は何を求める?」
問いの意味を理解出来ない。
すると、少年が短剣を腰から抜き、ナイトメアーに向ける。
硬直。鎌を造り出そうとしたが、周りには『不確かな狼』が三頭も居る。下手に動けば瞬殺だ。
その為、唯々短剣の刃先と少年の顔を交互に見つめた。
「答えろ。貴様にとっての生死を」
そう少年が言った瞬間、少年から殺気が放たれる。
「ツッ!!!?」
一瞬目の前が真っ暗になり、倒れそうになったのを必死に堪えた。
少年は光の宿らない目で彼女を睨む。
彼女は必死に考えていた。
どう言えば助かる?何を言えば殺される?
「どうした? 貴様にとっての生死を尋ねているのだぞ?」
少年が言う。
その言葉に、彼女は気付く。
そう、こんな問いの答えなど尋ねた者のさじ加減でどうにでもなるのだ。
そんな答えが疎らな問いに、完璧な答えなど無い。
彼女は唇を軽く噛む。
そして、少年を見据える。
「………私にとっての生死は意味を探す事さ」
「意味?」
「あぁ。まだ、人間は完璧な生死の意味を理解していない。人の命を軽く見ているのも、それはどうして人が産まれるのかを理解していないからだ。私自身もそうだ。もし、人は神が産み落とした神秘と言うならば、人は人を殺さないだろう。だが、そんな事は有り得ない。だから人は殺し合う。私自身それでも十分だと思うんだけどね。でも、私は理由も無しに殺されるのはまっぴら御免なんだよ。私はまだ自分が産まれた意味を理解していない。そして、奪う意味も。だから死ねない。これが私の考える曖昧な生死さ」
彼女は生死を求めている。
産まれた意味と、死ぬ意味。そして奪う意味を。
生死などと簡単に言うが、世界の何割の人間がその意味を理解しているのだろうか。
自然の摂理だと片付けているのではないだろうか。
それで納得する者も居るだろう。
だが、彼女はそれで納得は出来なかった。
だから彼女は死を感じる。
その意味を求める為に。矛盾した探求。
それこそが戦闘狂の異常さの根源。
「………傲慢だな。求める為には人を殺すのもやむを得ないと言うのか?」
少年が睨む。
彼女は退かず、怯えず答える。
「傲慢じゃなければ、私は既にこの世とさよならをしているよ。私は強欲なんだ。だから生きたい。だから知りたい。それを失えば、私は私ではなくなる」
聞いただけでは彼女は唯の強欲な殺人鬼だ。
そんな彼女の生死についてを聞いた所で、心は揺れない。
だが、この世界は綺麗事で片付けられる程簡単では無い。
人殺しは駄目など、解りきった事。
それでも奪う。己の中に信じる何かが在るから。
「………そうか。それがお前の生死か。意味を求める為に死に触れる事を選んだ・・・か」
そう言い、少年は横に居る狼を見る。
『………ハッ!! もっと綺麗事を並べると思ったんだがな。まさかこんな答えが返ってくるとは思いもしなかった』
最初に出会った狼が忌々しそうに言う。
「ハハッ! そうだね。逆に清々しいくらいだ」
笑いながら短剣をしまう。
その様子を見ていたナイトメアーが恐る恐る尋ねる。
「………私は助かったのか?」
その問いを聞いて、クィスは愉快そうに笑う。
『フフフッ。あんな風に言っていたのに、貴女は自分の命に対しても貪欲ね』
何か言い返そうと思ったが、その通りだった為彼女は苦笑した。
「さてと、んじゃ自己紹介をさせてもらうよ」
少年は微笑みながら言う。
「俺の名前はセンだ。そして、コイツがディガー」
そう言い、隣に居た右側の牙が欠けている狼の頭を撫でる。
『よろしくはしないぞ? 下手な事をすれば即殺だ』
そう言い、ニヤリと笑う。
「んで、そっちの白いのがクィスだ」
白い狼はナイトメアー見る。
『よろしくねお嬢ちゃん』
「そしてそっちで拗ねているのがバルデト」
そう言い、センが指さした先には未だに拗ねている狼が居た。
『フンッ! 俺は認めてねぇーよ』
「それじゃ、君の名前は?」
そう言いセンがナイトメアーを見る。
「あっ、私はナイトメアー………だ」
そう彼女が言うと、バルデトが吠える。
『ケッ! 偽名じゃねぇーか!! やっぱり信用出来ねぇーッ!!』
『別に本名だろうが偽名だろうが良いだろうさ!! 問題は名前が在るかどうかなんだからね』
クィスがバルデトを見て、ナイトメアーを見ながら言う。
『悪夢か。随分大層な名だな』
ディガーは鼻で笑いながら茶化す。
「良い名前じゃん! んじゃぁ~………メアって呼ぶわ」
少年は微笑みながら言う。
「メア………?」
彼女は突然のフレンドリーさに困惑した。
「ん? 気に入らなかった? ん~でもナイトメアーって長いじゃん」
彼女の困惑をあだ名が気に入らないのだと勘違いするセン。
「いや、別に………何とでも呼んでもらっても………」
頭を掻きながら彼女は苦笑した。
「んじゃま、自己紹介も終わりましたし―――」
センの雰囲気が変わる。
その雰囲気に慣れないナイトメアーは体を硬直させる。
「―――愚者共へ死と言う制裁と―――」
狼達の雰囲気も一瞬で変わる。
センは空を見上げる。
「―――絶望への導きを」
【森】の本気が始まる―――………。
生死についてのアレは結構滅茶苦茶ですよね。
書いていて意味が良く解りませんでした。
次は前回の戦闘シーンの続きです。
それではでは・・・・