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King of the forest ~Improved version~  作者: 龍門 
【 森 】 ~ 邂逅 ~
12/21

Foolishness, woman, wolf, boy, and mystery of forest


スイマセンでした!

風邪です。

インフルエンザではなかったのですが、

高熱・頭痛・腹痛・気怠さ・バイト・バイト・バイト・「えっ? 来てくれ? 俺今日休み………あっ、はい。大丈夫です」と、NOと言えない日本人。

てか、私がチキンなだけですね。


スイマセンでした。

それと、今回そんな長くないです。

重ねてスイマセン。











 兵士達の死体が転がる中、三頭の『不確かな狼ゴースト・ウルフ』が佇んで居た。


 右側の牙が欠けているディガー。

 尻尾に鎖を巻き付けているバルデト。

 そして白い『不確かな狼』、クィス。


 三頭は遠目に少年、センと真っ黒に身を包んだ賞金稼ぎ、ナイトメアーを見ていた。


『………ケッ! 所詮あの女も能なしだろうよ。どうして王はあんな女を? しかも人間って来たもんだ』

 隠しもせずにバルデトが吐き捨てる。


 言葉の節々から人間への嫌悪感を滲ませる。

 昔何かあったのか。そう容易に想像出来る程に。


『『失われた魔法ロスト・マジック』を扱える人間だ。稀少価値はあるだろう?』


『その通りね。あの出来事から200年。随分と『失われた魔法』を扱える者が減った。それはこの森も同じ』


 ディガーの言葉にクィスが補足の様に付け足す。

 希少価値。現段階ではナイトメアーにはそれしか価値が無い。


 それが【森】の騎士『不確かな狼』の総意。

 元々相容れない存在。


 方や狩人。方や獲物だ。

 食物連鎖を無視した人間の行動はそれ以外の種族に取っては耐え難い。

 生きるか死ぬかを彷徨う獣達の住処を、人間は土足で入り込む。


 所詮人間は人間。

 それは今も昔も変わらない獣達の総意だ。


 希少価値以外で人間の価値を見いだせない。


『そうだろうけどよ………既に王を入れても森に三人も居るんだぞ? これ以上増えたら人間臭くて堪らねぇよ』


『その発言は王にも言っているのかしら?』

 バルデトの発言にクィスがもの凄い黒い笑みを浮かべながら尋ねる。


『んな訳ねぇだろ!? 王は特別だ。だけどよ、それでも少し多過ぎるだろ?』

 クィスの問いには直ぐさま反論したものの、矢張り譲れないらしい。


『そんなの私だって同じよ? でも、王の目は確かよ。屑とそうじゃないの位は見抜ける』


『………まぁ、その人間が使えるかどうかは兎も角、屑ではないな』

 ディガーがクィスの言葉を肯定する。


『使えないと意味ねぇだろ?』


『使える様に調教すれば良いじゃない』


『………お前の発言は時々恐ろしいな』


 三頭が話している最中、センとナイトメアーの話が終わったのか、互いに笑っている。

 その様子を見ながらバルデトが大きく溜息を吐いた。

『どうやら、あの女も王に取ってはお気に入りらしいな』


『そうみたいね。でもまぁ、まだ完璧に信用した訳ではないでしょうし、大丈夫よ』


『監視も兼ねて様子見だ。下手な事をしようとすれば、直ぐさま食い千切る』

 その言葉にクィスとバルデトが頷く。


『それじゃ、私は此所の死体を消す事にするわ。先に行ってて』

 地面に転がる兵士の死体を眺め、顔を若干歪める。


『解った』


『んじゃ、行こうぜ』


 クィスの言葉にディガーとバルデトが頷き、クィスを置いて二頭はセンへ歩いて行く。


『………事故に見せかけて殺るのは駄目か?』

 小声でディガーに尋ねる。


『阿呆。下手に殺してみろ。センはお前を殺しにかかるぞ? 殺るのならば、センが納得するシチュエーションにならなければならない』

 鼻で笑う。


『そんな事は解ってんだよ!? 唯聞いてみただけじゃねぇかッッ!!!』


『どうだか。貴様の脳は蟻並だからな』


『馬鹿にすんじゃねぇよ蟻を!!』


『………その発言が阿呆なんだ』


 バルデトに呆れながらディガーは大きく溜息を吐く。


「溜息? 幸せが逃げるぞ?」

 センが腰に手を当てながら微笑む。


『コイツが消えない限り俺に幸せはない』

 横目でバルデトを見ながら言うが、バルデトはナイトメアーを睨んでいる為、ディガーの視線に気付いていない。


 その姿を見ながら、再度溜息を吐く。


「………何よ?」

 バルデトの睨みに対してナイトメアーが眉を細めながら尋ねる。

 が、バルデトは何も答えずに睨み続ける。


 その姿を見ながらセンが言う。

「バルデトと目を合わせない方が良いよ?」


「それはどう言う意味?」

 バルデトから視線を外し、横のセンを見る。


「バルデトの目は生き物を壊すからね」

 センはそう答えるが、ナイトメアーには全く意味が解らない。


 首を傾げもう一度バルデトを見る。

 すると、バルデトはニヤリと口角を上げる。

『一瞬で貴様を肉塊か廃人に変えられるぞ?』


 その言葉の意味は解る。が、方法は全然解らない。

 だが、解り易く説明しないと言う事は私に教える気が無いと言う意味。


 現段階では、まだ私は信じて貰ってはいないと言う事。

 ………上等。


 ナイトメアーは心の中で笑みを浮かべた。

 彼女自身もこの場に居る少年と獣、そして【森】に居るであろう生き物と仲良しごっこをするつもりは無い。


 これぐらい警戒して貰わなければ、彼女自身のモチベーションが上がらない。

 取って喰う。それぐらいの勢いを彼女は心に押し込んでいる。


「………私を肉塊に変える事が出来るそれは、さっき君が使っていた力と関係しているのか?」

 教えてはくれないだろう。そう思いながらも情報を手に入れようと尋ねる。


「ん? さっき? ………あぁ、どうだろうね。近いようで遠い」

 首を傾げながら曖昧に答える。


 矢張り、まだ味方未満、か。

 改めて自身の立ち位置を確認。


『そんなに俺等の事が知りたいのか?』

 ディガーはナイトメアーの考えを読む如く、笑みを浮かべながら尋ねる。


「そりゃ、ね。敵か味方か解らない以上、相手の情報は大いに越した事はない」


『それは俺等も同意見だ。………貴様が二種類の『失われた魔法』を扱える事も。俺等に取って重要な情報。現段階では一歩俺等が飛び抜けているかな?』


「………チッ」

 ディガーの言葉に軽く舌打ちをする。


 あの場、隊長と戦ったあの場。

 ナイトメアーは戦いしか見えていなかった。


 その為能力を惜しみ無く使った。

 その結果、手札を見せてしまった。


『まさか二つも使えるとは思わなかったぞ? まだ持っているのか? それとも、アレがお前の切り札か?』


「どうだろうな。もしかしたら、お前を一瞬で死体に変える事の出来る切り札が残っているかも、な」

 笑みを浮かべ、ディガーを見る。


『ハハッ! そうであって欲しいな? 貴様を殺す時、手応えがなければ面白くない』

 心底楽しそうにディガーが笑う。


 それを尻目に、センは驚いた顔でナイトメアーに尋ねる。

「二つも使えるの!? 凄いね。森の中でもそうは居ないよ」


『ケッ! 俺等には『失われた魔法』を扱えなくともそれ以上の力があるんだよ。二つや三つある程度で、俺等がビビる訳ねぇ』


 バルデトの発言で、ディガーが顔を歪める。

 その反面、ナイトメアー心底嬉しそうな顔を浮かべる。


「ほぉう。お前等の力はどうやら私のとは違うみたいだな。てっきりお前等のも『未知魔法』の一種だと考えていたのだが?」

 ニヤニヤしながらバルデトを見る。


 ナイトメアーを見ながらバルデトは口角を上げる。

『クハハッ!! 傑作だな! お前如きの中途半端な力と俺等の力を同等に捉えているなんて………本当にけっ―――痛ッ! 何しやがる!?』


 高らかに笑いながら自慢げに話すバルデトの額にディガーが蹴りを喰わした。

『阿呆め。お前は喋るな』


『なっ!? 別にこれぐらいは良いだろうが!!』


『情報にこれぐらいもクソもあるか。出して良い情報と駄目な情報ぐらい考えて喋れ』

 バルデトを横目にディガーは溜息を吐いた。


「お喋りな狼さんで助かったよ」

 挑発しながらナイトメアーは笑みを浮かべる。


『テメェ!! マジで肉塊にしちまうぞ!!』

 吠えるバルデト。


「ところで、さっきから『失われた魔法』って言っているけど、それは何?」


『テメェ! 俺を無視すんじゃねぇ!!』


 バルデトの叫びを無視し、ナイトメアーはセンとディガーに尋ねる。


『貴様の力の事だ』


「力って、『未知魔法』の事?」


「俺等森に住まう者は『未知魔法』の事を『失われた魔法』って呼んでいるんだよ」


『俺等に取っては未知ではないからな。使える者が少なくなったと言う事で『失われた魔法』と呼んでいる』

 センとディガーが説明する。


「成る程ね。私からしても未知って言われるよりそっちの方が響きは良いな」

 適応能力が高いのかどうなのか。ナイトメアーは腕を組みながら二、三度頷く。


「ハッキリ言って、森とその外では色々と違う所があるから。気を付けた方が良いよ」

 ナイトメアーを横から見ながらセンは笑みを浮かべている。


「違う所?」


『油断したら喰われるんだよ』


「………それは森で流行ってるギャグか何かか?」

 ディガーの満面の笑みを向けられ、引き攣りながら尋ねる。


「気を付けてね。余所者ってだけで皆敵意剥き出しだから」

 遠回しに「Yes!」と答える。


「私も油断したら殺される様な世界で生きてきたが………獣が言ったら洒落にならないな」

 少し………いや、既にかなり後悔しながらナイトメアーは深い溜息を吐く。


 そんなナイトメアーを尻目に、センとバルデトはさっさと歩き出し森の中へ向かって居る。


 その後をディガーが追う様に歩き出す。が、ナイトメアーは気が引けているのか、その後ろ姿を見ながら表情を引き攣らせていた。

 それに気付いたディガーが立ち止まり振り返る。

『………怖じ気付いたのか? 女』


 見え見えの挑発。そして未だに満面の笑みを浮かべている。

「そんな訳ないだろ。獣の一匹や二匹。毛を剥ぎ取ってやる」

 直ぐさま表情を凛々しく変え、歩き出す。


『気を付けろよ。俺等『不確かな狼』は不味くて人間の肉など食べないが、好物が人間の肉って言う奴も住んでるからな。隙を見せた瞬間に食道通って胃液の風呂へダイブだ』

 満面の笑みで脅し続ける。


「………狼って奴は………醜悪な笑みをそんな露骨に出せるものなのか?」

 ディガーの横を通り過ぎながら尋ねる。


『笑ってたか? どうやら貴様の朽ち果てた姿を想像して笑みが零れたらしい』


「『不確かな狼』は妄想癖が強いらしい。私は薬を持っていないのだが、………獣にも人間の薬が効くのかな?」


『森での最良の薬は若い女の生き血だよ………貴様からどれ程取れるか』


「狼の肉は固いが保存が利いて旅人には必需品なんだ。お前を捌けば小遣い程度の金が私の懐に入るな」


 一人と一頭は立ち止まり、互いに睨み合う。


『………女、その短い愚かな時を此所で終わらせたいらしいな。もっと早く頼めば貴様の首筋に綺麗な赤い花を咲かしてやったものを』


「………日常会話が人間の言葉って時点でお前等と私達の間に差は無いんだよ。あるのは体臭の臭さの差さ」


 互いに青筋を浮かべ、笑みを浮かべ、挑発しあう。


「『………殺るか?』」


 どうして此所まで馬が合わないのか。

 レベルが低い。


「おぉーい!! 何してるの!? 置いて行くよ!?」

 気付けばかなり離れていた。センが背伸びをしながら手を振って叫んでいる。


「『……………………』」

 ナイトメアーとディガーはセンを無言で見つめ、そして再度睨み合う。


『………気を付けろよ。此所は俺等のホームだ』


「自分のホームだからと言って油断したら『悪夢』を見るぞ?」


 青筋を互いに浮かべながら歩き出す。


「『チッ!』」

 互いに舌打ちをする。


「『んあぁ?』」

 互いに歩きながら睨み合う。


 その姿を遠目から見ながらセンは呟く。

「仲良いね。あの二人」


『ケッ! 人間如きと仲良しごっこかよ。アイツも堕ちたな』

 仲は良くないし、どっちかと言うと今にも殺し合いを始める仲。


 声が聞こえない為、仲良く見つめ合って話している様に見える。

 ………声、聞こえなくとも解るんじゃ?


 そんな険悪な仲の一人と一頭。

 そんな抜けている一人と一頭。


「………はぁ。これからお前みたいな獣と大量に会うのか」

 露骨に嫌そうに溜息を吐く。


『フンッ! 好きこのんで会わせる訳では―――ん? 始まったか』

 毒を吐こうとした時、ディガーは足下を見て歩く速度を速める。


「始まった? 何がだ?」

 その後を追いながら尋ねる。


『教えるか。………此所に残っても良いぞ?』

 何か思いついたのか、笑みを浮かべる。


「………その露骨な笑みは私を世界からお別れさせるモノじゃないか?」

 眉を細め、走りながら下を見る。


「………この白い靄は何だ?」

 思わず口に出して尋ねてしまった。


 下。つまりは地面。

 兵士の死体と血で塗れた地面を這う様に白い靄が広がっている。


「………これは」

 速度を緩め、その靄に触れようとした時、

「触れるな! 走れ!!」

 センがそれを止める様に叫んだ。


「!! ………」

 驚き、センを見て再度靄を見ながら速度を上げる。


『チッ! 触れていれば良いものを』

 悔しがるディガーを見ながら益々意味が解らず首を傾げる。


「その疑問は後で教えてあげるから、行くよ?」

 苦笑しながらセンが【森】の奥へ飛び込む。


『………触れちまえ。ハイになれるぞ?』

 バルデトが吐き捨てる様に言い、センの後を追うように【森】へ飛び込む。


『バルデトの言う通りだ。自然の一部となれるぞ?』

 笑みを浮かべたままディガーも【森】へ飛び込む。


 その姿を見ながらナイトメアーは後ろを振り返った。

「ハイだの一部だの、何が言い………た、い………んだ?」

 振り返り、その光景に絶句した。


 地面を這う様に広がる白い靄。

 その靄は転がる兵士の死体を包み込んでいた。そして、包まれた死体は纏う鎧、肉、骨すらも灰の様な粉に変わり、風に飛ばされ消えた。


「………ハイって灰か………一部って言うのは………肥料って事か」

 冷静に考えているが、内心焦っていた。


 この白い靄は触れたモノを悉く灰に変えている。

 溶けているのではない。白骨化とかその様なモノでもない。

 触れた瞬間に灰と化している。


 触れた対象を灰に変える力?

 余りにも卑怯過ぎるだろ。

「………これが『失われた魔法』………それとも、それとは違う力………」


 まだ、【森】の奥にすら足を踏み入れていないのだぞ? 

 入り口でこれ程か。


「………今日は………驚く日だな」

 内心焦りながら、それでも何処か楽しみながら、ナイトメアーはセン達の後を追う様に【森】へ飛び込んだ。


 まずは、あの白い靄の説明をどうしても聞きたい。

 自然と浮かぶ笑みを堪えながら、闇に溶け込んだ。
















今一番書きやすい作品。

そして、一番練られている作品。


主人公の視点が著しく無い作品。

ヒロインは彼女なのか?未だに解らない作者。


阿呆め、この作品はハーレムなのだ!


………えっ? 獣と人のですか!?

違います。きっと………きっと!!


早く人間の女性キャラを出したい作者。


それでは、それで~は。



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