第51話 大人の事情により聖女さま御一行は一回休み
神殿に突然現れたサラたちに衛兵や神官たちは慌てた。
それを金髪に金の瞳の王子さまが一喝する。
「騒ぐなっ! 聖女さまは私がお連れした。聖獣さまたちもだ。大神官さまたちを会議室へ集めてくれ。聖女さまたちは、しばし休息を」
ミハイルは指示を出すと、サラたちをメイドに任せて何処かへ行ってしまった。
メイドたちは嬉々としてサラたちを豪華な一室へと案内する。
「ささっ。聖女さまはこちらへ。聖獣さまたちもご一緒にどうぞ」
「何か召し上がりますか?」
「聖獣さまたちは何を召し上がるのかしら?」
(なんだかキャッキャッしてるな、メイドさんたち)
楽しそうで何よりと思いながら、サラは無限収納庫を開けた。
「あーお気遣いなく。自分たちのものは自分たちで用意しますから」
メイドたちから大きな歓声が上がった。
「あーーーーっ、それは無限収納庫!!!」
「なんと! 憧れのアイテムですわ!」
「私どもも中を拝見させていただいてよろしいでしょうか? 聖女さま」
メイドたちはサラの無限収納庫にも興味津々だ。
(ここはお城だから、トイレの心配とかは必要ないね)
サラはコクリと頷いた。
「いいよー。あとね、わたしのことは聖女さまじゃなくてサラでいいよ」
メイドたちは頬に両手を当てたり、胸の前で腕を組んだりしながらハートを飛ばす勢いで感動している。
「まー、サラさま⁉ サラさまとおっしゃるのですね?」
「あぁ、聖女さまは名前まで可愛らしいっ」
「よろしいのでしたらサラさまとお呼びさせていただきますー」
(ノリのいいメイドさんたちだ。この感じ、女神さまと似たものを感じる)
勢いの良いメイドたちに少々たじろぎながらも、サラはコクコクと頷いた。
(そこまではいい。なぜにわたしは今、お着替えさせられているのだろうか?)
サラは首を傾げる。
「サラさまが着てらしたご衣裳も素敵でしたけれど。こちらで用意させていただいた聖衣には、加護がかかっていますの」
「ええ。大事な、大事な、聖女さまを守る加護がかかっている聖衣です」
メイドたちは顔を見合わせてウンウンと頷き合っている。
サラは白地に銀刺繍の入ったゆったりとしたドレスに着替えさせてもらったが、3歳児の体には少々大き目の衣装でダボついていた。
(元の服にも女神さまの加護がかかっているんだけど……)
だがそれを言うと面倒なことになりそうな気がしたので、サラは黙っていた。
「あら? もともと着ていらした服にも加護がかかっているのですか?」
「そうなの? 私にも触らせて……アッ、凄く柔らかいっ!」
「本当にそうね。それにこの服には自動で浄化してくれる加護がついてるみたい……」
メイドたちはサラに構ったり、サラの着ていた服に驚いたりと忙しい。
サラは着替え終えた聖衣とやらをまじまじ見ながら思う。
(コレはアレか? 戦隊モノで衣装を揃える的なやつ? でも女神さまがくれた服のほうが高性能なんだけど)
サラはダブダブの聖衣を着て、背もたれのない椅子に座らされた。
冷遇されているのではない。
様々な提案をするメイドたちに四方を囲まれているのだ。
「あーサラさまの髪、サラサラ~」
「本当っ! 幼女独特のサラサラの髪~」
メイドたちはサラの髪をブラッシングしながら騒いでいる。
聖獣たちのブラッシングを担当しているメイドたちも騒いだり、その手触りに蕩けたりと忙しい。
「髪型はどういたしますか?」
サラは聞かれたものの、髪型にこだわりなどない。
「どうでもいいよ。わたし、ココでの普通がワカンナイから」
サラの返事にメイドたちは騒めいた。
「それはお任せということですねっ」
「まぁ、この髪を好き放題に?」
「綺麗な銀髪で長さもありますし、どうしましょう。アレンジし放題だわ」
メイドたちはキャーキャー言いながら、ああでもない、こうでもないとサラの髪をいじっている。
(アレだな? 美容室とかは噂話の宝庫だし。メイドといえば情報通と話は決まっている。こーゆー時に情報を集めるべきだな?)
王子のことや聖女イザベルの事、王国の事情などサラの知りたいことは沢山ある。
(わたしは聖女として召喚された理由を知りたい! これはそのための王国の情報収集です! 興味本位の噂話をしているわけではない、ですっ!)
する必要もない言い訳を心の中でしながら、サラはメイドたちから情報収集した。




