第50話 魔法陣酔い
(酔った)
転移魔法陣の中に飛び込んだ一行は無事神殿へと着いたが、サラは魔法陣酔いを起こした。
『大丈夫?』
クロたちが心配げにサラを覗き込んでいる。
「転移魔法陣は乗りなれないと酔いやすいから……特に子どもは」
金髪に金の瞳の王子さまは困惑して3歳児を眺めていた。
(あんなの、酔いやすいとか酔いにくいとかの問題じゃないでしょっ⁉)
何か言ったら吐いてしまいそうだったので、サラはミハイルをキッと睨むだけにとどめた。
魔法陣を逆に辿るという転移魔法陣は酷かった。
やや下がったかな~、というところから一気にバーンとかなり上がって、ちょっと下がったかと思うと、またやや上がる。
(どんなジェットコースターやねんっ!)
エセ関西人のサラの突っ込みが入るくらいには酷かった。
そもそも魔法陣なのでジェットコースターのように乗り物に乗っていたわけではない。
なんかふわっとした足元だけ支えてくれるような物のうえで、上がったり下がったりしていたのだ。
酔うなというのは無理である。
やや下がってやや上がったかと思うと、今度はめっちゃ下がってめっちゃ上がる。
周りは特に何かあるわけではない。
真っ暗というわけでも、ハッキリ見えるというわけでもない薄ぼんやりしたなかで、どっちに行くか分からないまま振り回されるのだ。
最後はスッとちょっとだけ下がって止まって、魔法陣の青白い光がおさまると、そこは神殿だった。
(もうっ、もうっ、もうっ!)
サラはちょっとだけ吐いてスッキリした。
戻したものは浄化作用でサラサラと消えていったが、サラのニンゲンとしてのプライドは傷付いたままだった。




