第37話 聖獣の森で遊ぼう 4
祭りとキノコ・タケノコが合体したら、キノコ・タケノコを食うと思うだろう?
そんな常識は、聖獣の森では通用しない。
そもそもココは異世界。
キノコも、タケノコも、食べるだけが楽しむ方法ではない。
『キャハハハッ。ほらほら、サラもおいでよー。キノコの上でポンポン跳ねるの楽しいんだから~』
『うほぉ~。タケノコサーフィンもなかなかだぞぉ~』
クロは笑いながらピンク色のキノコの上で跳ねてるし、バーンズも嬉しそうな表情でポンと生えたタケノコの頭に乗っかっている。
タケノコの先にバンビ。
グングンと伸びて竹へと育っていくタケノコの先から落ちないように、バーンズはゆらゆらと揺れながらバランスをとっている。
ピカードの背中でサラは顔を引きつらせながら異様でファンタスティックな光景を見ていた。
「なんだコレ?」
『なにって、春のタケノコ・キノコ祭りじゃないの』
シローネは生えてきたタケノコの先にピョンと飛び乗ると、ビュンと勢いよく伸びるタケノコの勢いを利用して空高く飛び上がる。
『そこは【春のキノコ・タケノコ祭り】だろ?』
銀色オオカミが紫色の大きなキノコの上でボヨンボヨンと跳ねた。
紫色の胞子がシルヴィの足元でボフンボフンと舞い上がる。
『ヒャッホー! そこは諸説アリよ、シルヴィ!』
シローネのはしゃいだ声が、とても高い所から聞こえる。
(確かに竹はしなるし、デカいキノコの傘には座ったり乗ったりしたくなるものだけど……なんだコレ?)
ヒクつくサラの下からピカードが我慢できないといった調子で叫ぶ。
『あー、ボクも行くー!』
ウッキウキしながらピカードは、サラを背中からそっと降ろした。
そしてカッと目を見開くと、次から次へと生えてくるタケノコに向かって突進する。
あっという間に高くなる竹の茎をユッサユッサと揺らすピカードは、金色に光っていた。
『わーーー⁉ やめろーピカード! 光るなぁーーーっ!』
『ちょっ、ちょっとおぉぉぉぉぉ! 興奮しないでよ、ピカードォォォォォ!』
タケノコの上にいたバーンズとシローネが悲鳴を上げた。
『わっはっはっ。今のボクを止められる者は、だれもいなぁ~い!」
ピカピカ光るピカードは、陽気に竹を揺らし続ける。
「なんだコレ……」
呆然とするサラの頭の上で、オカメちゃんがそうですね、とでも言いたげに「ぴぎゃっ」と鳴いた。
だがオカメちゃんも落ち着かない様子で、サラの頭を右に左と歩いている。
「でもキサマもあそこに混ざってはしゃぎたいのだろう? オカメちゃん、鳥の民よ」
「びぎゃっ!」
サラが突っ込むとオカメちゃんは返事をするようにひと鳴きして、頭の上からバタバタとキノコの方へ飛んで行った。
「やはり、キサマもアヤツらの仲間よの……」
(なんだこの喋りっ!)
サラは自分で自分に突っ込んだ。
(でも楽しそう~。これは混ざらねば損っ!)
「わたしも【春のキノコ・タケノコ祭り】楽しむっ!」
サラは黄色にピンクの斑点の入ったキノコの傘を目指して走り出した。




