第15話 あつまれ聖獣の森 5
仲間が沢山いて飲食物も豊富にあるとなれば、始めるべきは宴だ。
「パーティだ、パーティ」
サラは、はしゃぎながら無限収納庫から食べ物やら器やらを引っ張り出した。
(不倫発覚やら離婚の騒ぎでバタバタしてたから、楽しいことなんて最近なかったなー。もっとも交際中も結婚式の前後も、仕事が忙しくて楽しくやれたことなんて……ま、いいや。過去のことなんて。ここはひとつ、賑やかにやろうっと)
女神が用意してくれた無限収納庫には、様々なものが揃っていた。
(聖獣さんたちは、何が好きかなー? 果物とか?)
そう思ったサラは、大きなガラスの器にリンゴやブドウを盛り合わせたりしてみたが、どうも観客たちは盛り上がりに欠けた。
(ん? コレじゃない? シャインマスカットやマスクメロン、大きな桃やマンゴーなんかも盛ってみたけど反応がイマイチだなぁ~……あ、コッチかも)
サラはパンやチーズも出してみた。
が、それでも盛り上がりはイマイチだったので、湯気の立つスープやオマールエビのグラタン、ガーリックステーキやハンバーグなどを出してみると『おおー!』と観客から歓声が上がり始めた。
(こっちだったか。じゃ、どんどんいくよー)
調子に乗ったサラはエビのカクテルやサーモンのマリネ、刺身の船盛など目についたものをやたらと引っ張り出し始めた。
『サラ、色々出してくれるのは嬉しいけど並べるところがないよ』
クロに言われて、サラはテーブルクロスの一枚すら出してなかったことに気付いた。
沢山の食べ物を、皿に乗せてあるとはいえ草原に直置きはない。
今まで出した数々の料理は、聖獣たちが手に持っていたり、背中に乗っけたりしている。
(いけない、いけない。段取り悪すぎ―)
無限収納庫のなかには、カトラリーはもちろん、家具も色々と入っている。
サラは大きなテーブルを見つけて、ヨイショヨイショと引っ張り出した。
『ちょっ、サラ⁉ そんな重たい物だすなら先に言って⁉ 手伝うから!』
クロが慌てて手伝うために手を差しだした。
(わっ。黒いモフモフ~)
サラは黒くツヤツヤしたモフモフの腕にうっとり見とれた。
それがよくなかった。
大きなテーブルを引っ張り出そうとしていた3歳児の小さな体がバランスを崩してグラリと揺れる。
「おっ?」
『危ないっ』
慌てて手を出した黒いモフモフの手の後ろから、モソリと薄茶色の毛皮が動いて、大きなテーブルとクロごとサラの体をポフンと受け止めた。
(うわぁ~モフモフ~モフモフに包まれている~。ここは、天国?)
お日様の匂いがするモッフモフに受け止められてサラは昇天しそうになった。
『危ないからぁ~。重たい物を動かす時は先に言ってねぇ~』
「ありがとう、ピカード」
ピカードの声は少し高めで、ゆったりした喋り方をする。
山のように大きなクマだが体の大きさに反して怖い印象はない。
そのうえ、とても優しい性格をしているようだ。
『ボクも助けようとしたの~』
「クロも、ありがとう」
サラはピカードに助け起こされながら、クロの毛皮を撫でた。
(ふふふ。モフモフ天国!)
サラはご機嫌で、ピカードが草原に設置してくれたテーブルの上に料理を並べ続けた。




