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第12話 あつまれ聖獣の森 2

 サラは肩にとまったオカメちゃんの頭をコチョコチョとくすぐるように撫でた。

 

(頭でっかくて肩幅狭いけど、子どもの体は柔らかいから簡単に肩が見える~。便利~。腕はちょい短いけど。快適~)


 肩にとまっている小鳥は気持ちよさそうに撫でられている。

 サラは自分の小さな指先で黄色に染まった頭をモッフリモッフリ撫でながら、黄色の冠羽が気持ちよさそうにふわわぁ~と上がっていくのを眺めていた。


(冠羽が上がると頭皮見えちゃうのね。頭皮が求肥(ぎゅうひ)みたいで美味しそう~)


 求肥とは柔らかくて甘い餅のような和菓子である。

 白玉粉や餅粉などに砂糖や水飴を入れて練って作る菓子だ。

 餡を包んであるものはもちろん、アイスを包んだアイス菓子などもある。

 

(あー、思い出すとヨダレでちゃう)


 色々な欲を感じたり、満たしたりしながら小鳥の頭を撫でるサラであった。


『いいな~。ボクも後で撫でて欲しい』

「いいよー。順番ね」


 クロが羨ましそうに言うので、サラは笑って答えた。

 サラの息が当たったオカメちゃんは羽全体をふわわぁと立てるとブルブルと全身を震わせた。


「ふわっ!」

『羽すごっ!』


 小さな白い羽が辺りに散らばってクロの黒い毛皮にくっついた。

 一瞬、呆然とした2人だったが、次の瞬間には顔を見合わせ笑った。

 オカメちゃんだけが、もっと撫でろとばかりに「びぎゃっ」と目を三角にして肩の上で騒ぎ立てている。


「あーハイハイ。撫でるよぉ」


 サラは再びコチョコチョとくすぐるようにして、オカメちゃんの頭を撫で始めた。


(ふわふわで(ぬく)くて気持ちいい~。生の羽毛の気持ちよさ、半端なーい)


 ゆるゆると小さな命を愛でながら、サラは視線を正面に向けた。

 そこにあるのは、ただっ広い草原。

 日はまだ高いが、そろそろ今夜の寝床のことを考えなければいけないだろう。


(食べ物は女神さまがたっぷり持たせてくれたから心配ないけど。簡単に家を作れるキットとかあるかなぁ? テントとか、寝袋とか無理。キャンプみたいなのも苦手なんだよね、わたし。インドア派だから)


 万が一テントに寝袋だった場合、どの辺なら快適に寝られるのかを考えながらサラは呟いた。


「そろそろ家をどうするか考えないと、寝る場所に困っちゃう」


 するとクロはサラが考えていたよりも大胆な提案をしてきた。


『えー、今日は天気がいいし。ここで寝たらいいじゃん』

「ここって、草の上で?」

『うん。草の上で寝るのって気持ちいいんだよ』


 クロは草原で寝ることを本気で推しているようで、無邪気な様子でニコニコしている。


(テントで寝袋より高度なアウトドア、キターーーーーー)


 内心焦りつつも、サラは笑顔で答える。


「えっと……。わたし、感性だけは現代人だから野宿はキツイ、かも」


 遠慮がちな否定は自信満々で邪気のない聖獣には効かない。


『そんなことないよ。外で寝るのって気持ちいいんだから。天気さえよければ。今日は天気がいいから、絶対気持ちいいよっ』


 クロは大きな目をキラキラさせて、サラに草の上で寝ることを推してきた。


(無邪気なキラキラの黒い瞳っ。断り辛い~。わたしが気に入ると信じて疑っていない表情だー。でも断らないと、わたしが大変なことにーーー)


 サラはオカメちゃんを撫でる手は止めることなく、冷や汗をダラダラかきながら苦悩した。


「えっと……わたしは一応、女の子だし? 外で寝るのは危ないし、ちょっと……」

『でも、この辺は宿屋どころか民家もないよ。それに、みんなと一緒に寝たら危なくないから、いいんじゃない?』

「みんな?」

『ん、みんな』


 クロがアゴで差した先へサラが視線を向けると、森の中から何かが覗いているのが見えた。

 

(うっ。モフモフ御一行さまだっ)


 そこには木陰から白ウサギやバンビ、オオカミやクマといった森の仲間たちが覗いているというファンシーな光景が広がっていた。



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