6-1.王女様、様子見です
空は蒼く澄んでいるのに、アイラの心は晴れないままであった。
ギルベルト侯爵家へお世話になるようになり、既に1週間も経過している――。
初日に起った謎ゴーレム襲撃のせいで――ほぼアイラが暴れたせいでもある――古代図書館跡はもちろん、他の遺跡も含めて厳戒態勢となってしまい、結局ソロの事も真実の歴史も調べる事が出来ない。
次の日も一応外へ偵察に出掛けては見たのだが、やはり無理だった。
騒ぎになっていないところを見るに、あのゴーレムは見つかっていないようだ。
通信が行える魔術で、朝陽とも定期的に連絡を取っているし、暇な時は視覚や聴覚を共有もしている。
やはりアイラ王女推薦のメイドとは言え、オーランの近くに寄る事は難しく――当初の作戦遂行は、難航を極めていた。
そんな状態では、アイラにできる事は限られている。
別荘より定期的に本宅の屋敷へ出向いては、花嫁修業のようなものをやらされ――それに費やされる時間もあり、なかなか物事は上手く運ばない。
1週間も大した進展がないし、本宅と別荘を往復する時くらいしか外にも出ないので、鬱憤が徐々に溜まっていく。
そんな中、アイラ達は――。
「はい、ストレートフラッシュ」
藤花とテーブルを挟んで、トランプゲームをしていた。
テーブルの上にはA、K、Q、J、10のスペードの数字の札が並び、それに藤花は愕然とする。
「それはロイヤルストレートフラッシュです……うぅ」
「あらそうなの?」
「また負けたぁ……」
「じゃあ、このチョコスティックは私が貰うわよ」
「ひーん」
リーシャは2人の為に紅茶を入れた後は、暇なのかナイフの手入れをし始めていた。
「これで私の29勝1負け。さすがに疲れたし、休憩しましょう」
「つ、次こそは……」
掛け金代わりのチョコスナック菓子をポリポリ食べるアイラ。
これで藤花の下からお菓子は全て無くなったのだが、それを哀れんだリーシャがクッキーを恵んでくれた。
『何やってんだお前ら』
「トランプよ。異世界のカードゲームらしいけど、意外と面白いわ」
そこらに投げられていたトランプを丁寧にまとめ、ケースへと戻す。
『いやそうじゃなくて……』
「……私もそこまで自由に動けないし、もうこうなったらアサヒ頼みなのよねぇ」
『はぁ……』
「トウカをメイドとして追加で送り込もうとも思ったけど……」
「むむむ、無理! 絶対無理です! そんなオジさんのメイドなんかになったら、色々大変なことされちゃいます!」
顔を真っ赤にして両手をブンブンと振る。
一体、どんな想像をしたのやら。
「オーラン付きのメイドになるところまでいければ良いけど……短期間でそれだけの信頼を得るのは、至難の業ね」
そうグチっていると、正面へ回り込んでくるソロ。
『じゃー、諦めるのか?』
「まさか……私はアサヒを信じてるわ。だって、私が喚んだ勇者様だもの――」
『ふーん……じゃあまぁ、今日もアサヒの様子を探るか』
「えぇ!」
いつものように魔力を送り、呪文を唱え起動する。
普段は自分の眼と耳へ共有しているが、藤花にも見えるように魔法陣へと投射する。
「さて……どうなる事やら……」




