40話 オマエが邪魔って事だ!
ライはアルマに手を引かれながら
長い廊下をビクビクとしながら歩いている
周りには10人の騎士がライとアルマを囲いながら堂々と歩いていた
やがて、騎士が数人いる大きな両開きの扉前まで来るとアルマが礼をして
「アルマ・アコンカグアが参りました」
そう告げると扉の両端に立つ大柄な騎士が頷いて扉を開けてくれる
扉の向こうは王との謁見の場となっており
扉をくぐった瞬間、ライは異様な雰囲気に寒気が走った
扉から直線に伸びた赤いカーペットの両脇を騎士が並んで立っている
赤いカーペットの終わりには5段の階段があり、その壇上には立派な椅子が2脚置かれていた
片側には王冠を被り、勲章のついた軍服の様な服に赤いマント、口髭を蓄えた男性が座っていた
もう片方の椅子には優しい笑みを浮かべた白いドレスの女性が座っていた
ライが歩く速度を遅くするとアルマも合わせて遅くなるので、アルマはライと並んで赤いカーペットの真ん中を歩いていく
どこで止まっていいのかがライにはわからなかったが、横で歩くアルマが立ち止まったので、そこでライは止まって跪いて頭を下げる
「聖女様からの申し出により、ライ様をお連れしました」
跪いているライの横で、アルマは立ったままで礼をしながら、王に告げる
「うむ!聖女トゥルーよ!そなたの要望はこれであるな」
「はい、陛下
実際に見て、この者で間違いないと確信いたしました」
その場に鈴が鳴るような、心地の良い声が響く
気持ち悪い!
ライは素直にそう思った
声を聞いた瞬間に鳥肌が立ち、吐き気までする
寝不足で、ボッーとしていたが
声を聞いた時に逃げるか、ヤルかの選択肢までがライに浮かび上がるまでになっていた
「では、面をあげよ!ライとやら」
ライは跪いたままに顔を上げると、王の横に並んで立っている男女と目が合う
その中で特に女性がライを上から睨みつけるように見ていた
ライは意味がわからないが、何故こんな疑問が湧き上がってくるのかもわからないが
本当にアレは人なんだろうか?
そんな事を思って、銃もワキザシも持っていない事を後悔した
この世界に転生して18年が経った
最初はわからなかったが、10歳を迎える前にとある地名を聞いた時に
この世界がやった事があるゲームに似ている事に気付いた
色々と調べると恐ろしいくらいに一致していた為に確信に至る
女主人公のハーレム物だったゲーム
名前は自由に決めるシステムだったから
名前では気付けなかった
もし、もっと早く気付いていればやりようがあったのではないかと思ったが
今からでも遅くはないと思い、やれる事を始めた
私は主人公で、聖女と呼ばれる予定の女だ
プロローグで知った事や、ゲームの最中に語られる事で問題となる事を先に解決していった
奇跡を起こす女の子
人を慈しむ女の子
神に愛される子
色々な名前で呼ばれて、トントン拍子に辺境伯の養子になった
王都サイトにあるガイア学園に入学したら
このゲームの1作目がスタートする
別にいいんだけど
このゲームには続編が存在する
私が好きなのは3作目
2作目も好きなんだけど
やっぱ3作目が最高だった
それというのも
2作目から色々な機能が追加され始めたからかもしれない
1作目では、剣と銃の世界観で、流行りのシンプルに悪役令嬢を追い出す恋愛物だったのに
2作目からいきなり魔法が使えるようになったり、モンスターが現れたり、ダンジョン攻略、釣り、アイテムコンプ、村の経営までが追加された
かなり笑い物にされる改変だったが
コレが現実味があり、またシステムも面白くできていた為に爆発的にヒットした
3作目では自分で国を起こすまでできるようになっていた
その他にも人気投票で順位が高かったキャラのスピンオフまで出て、バージョン2.1とか3.1で発売されていた
全部やったけど面白かった
正直言って1作目は黒歴史だけど
パッケージで買うと付いてくる
その方が安かったし、興味があったから
やってみたけど‥‥
ガチで斜め読みで進めて、選択肢も最初は悩んでいたけど、最後は連打で飛ばしてた
1作目の最後
ガイア学園1年の終わりに悪役令嬢を学園から追い出して、1番仲良くなったキャラとめでたしめでたしだった
2作目の始まりは
前作で追い出された悪役令嬢が亡くなった所から始まる
そこで世界が嘘のように変わり、魔法が使えるようになり、モンスターが現れる
はずだった‥‥けど、悪役令嬢は生きている
たしか、夏前に変な男から婚約破棄されて
屋敷の2階から飛び降りる
そんなプロローグで2作目が始まっていた
2作目は何回もやり直したから
よく覚えている
試しに夏前に魔法を唱えてみるが発動しなかった
2作目で強い武器や超レアアイテムを手にいれる為の近道である帝国へと至る道
これを早く完成させたら、2作目は無双できる
それを知っていた
だから、周りのあらゆる反対を押し切って
帝国への道を建設しようとした
犠牲は結構出るのは知っている
ゲームでもバンバン労働者が死ぬけど
すぐに補充して建設してた
魔法で掘削とか怪我人の治療が出来ないから
苦労するとは思っていたけど
失敗するなんて思わなかった
なに?事故がわからないかって?
たぶん、あそこらへん?
現場に行って、士気を高めてくれ?
嫌よ!死にたくないもん!
中止?なんでよ!やめないでよ!
これは必要な事なの!
お金?人?アナタ達が集めてよ!
やれるでしょ!
なんで必要?そのうちわかるわよ!
なんせ私は未来を見通す目を持つ聖女よ!
全て上手くいかなくなった
なんで?ゲームの通りにいかない
やっぱりプロローグ通りにしないといけないの?
悪役令嬢であるカルナ・ボーゲン公爵令嬢が
生きてるからダメなのかもしれない
ガイア学園にいる時からめんどくさいヤツ
学生の時におこるイベントは学園祭以外、全部先取りしてしまったせいで、アーケロン商会の娘達と仲良くなれなかった上に、敵対してしまった
家の事で悩んでいたサキの内容はうろ覚えだったけど、話ししてあげるとこっちにすぐに私になびいた
あまりにもイベントが少ないから
なんとか似たような事件、事故を起こそうとしたけど、上手くいかない事が多く
そんな時は嘘とか未来がハッキリ見えなかったとかで誤魔化していた
それでも無理矢理に辻褄を合わす為
厄介な連中に頼むことも増えてきた
もうでっち上げていかないとクリスマスパーティまでに間に合わなくなる
婚約者である第1王子から
悪役令嬢に婚約破棄を言い渡してもらうために
取り巻きの親までそそのかした
そのおかげで上手くいった
あちらからも糾弾されだけど
王子、宰相の息子、司法長官の息子に
泣いて縋ったらゴリ押せた
私に惚れている?アンタ達の親に紹介?
冗談言わないでよ!2作目や3作目には出てない奴らに用はないよ!
それに半年ぐらい隠し通せば魔物が出現して
うやむやにできる事ばかりだから
何故かモンスターは現れなかった
魔法も使えない
厄介な奴らから報酬の催促
私の嘘を信じた奴らからも金の催促
そんな奴らに倍の報酬を出すと言って
辺境にいる悪役令嬢を殺させようとした
その途中で商会崩れの奴らが逆恨みで
アーケロン商会を狙ったけど失敗していた
何故こうも上手くいかない
ほとんどの奴らが殺されたから
支払いが少なくなったのに
今度は金策でしていた人材発掘が
人身売買って告発を受けた
なんで?優秀なユニットを見つけて
鉱山や未開の土地へ派遣
そこで経験値とか金を稼がせる
余ったユニットや優秀じゃないユニットはお別れする
確かに2作目からできたシステムだけど
なんで?ダメなのよ?
名前は忘れたけど
侯爵家が主導でやっていた事にした
色々と裏切り者が出たけどしょうがない
段々と出せるカードが少なくなっているけど
教会と帝国の太陽
これだけは手放せない
聖女である以上、国と教会が守ってくれる
帝国へのパイプは2作目以降は絶対に必要
帝国の至宝はヤンデレだからいらないし
2作目では少し出てきて3作目では出てこない
だから、争いの種になってもらう
悪役令嬢を直接やれないなら
難癖をつけて公爵家ごと潰す
どうせ2作目の途中で悪役令嬢の兄弟が、私を狙う中ボスになっている
また上手くいかなかった
予言と称して帝国の太陽を強引に動かして
王子と3作目の厄介な敵まで動かしたのに
帝国の太陽から疑われて
嫌な笑みを浮かべた帝国の至宝がお礼を言ってくる
予言通りに運命の人と会えたと
ソイツだ!
何故か確信があった
ゲームのバグ的存在がいる
ソイツさえ!ソイツさえ消せば!
全て上手くいく!
そういう確信が湧いてくる
国王や教会から疑われているけど
まだ間に合う
目の前で跪きながらこちらをみているメイド
コイツをなんとか処刑できれば
まだ!まだ私はこの世界で楽しく暮らせるんだ
だって、主人公は何をやっても肯定され
全ての中心なんだもん!




