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35話 嫌な事は忘れるって事はないですよね

ライは寮とされている屋敷で昼過ぎにカマクから長くて大きい木箱を2個

抱えて持てるぐらいの木箱1個の計3個の木箱を受け取っていた

カマクが木箱3個を寮1階の応接間にある机に置いてくれる


「それにしても大きいわね

ライちゃんより大きくないコレ」

「まぁ、これはこんなもんだろ」

「カマク様、ミカエル様

ありがとうございます

お茶をご用意していますので」

「ありがとう

ここでいいわよ

それよりもこれを早く見たいんですって」

「ライ!これを開けてもいいか?」

「はい、お願いします

お茶をお持ちしますので、失礼します」


ライはキッチンから紅茶のセット

今朝届いた瓶詰めのハチミツレモンとケーキをワゴンに乗せて応接間に戻ると

カマクが長い木箱2つから騎士の剣を1本ずつ取り出して、眺めていた


「おい!ライ!コレはスゲぇぞ!

かなりの業物だ!肉厚だしよ!いいな!

兄貴とかグラブが欲しがりそうだぜ!」

「‥‥そうなんですか」

「どういう注文したら、こんなのできるんだよ!」

「普段使いです」

「‥‥あん?普段‥‥ん?」

「ライちゃん?」

「普段使いですよ」

「ちょい、ここに立ってみ?」

「‥‥これを‥普段‥ぶっふふ」

「これは‥‥ハッハッハ!まぁ、アレだブッ!ハッハッハ!」

「ミカエル様!カマク様!」


カマクが鞘付きの剣先を床に立たせて、横にライを立たせる

鞘付きの剣の方がライより少し高いくなっていたのを見て、カマクとミカエルが何かを想像したのか、我慢できずに吹き出した

ライは抗議するも諦めたように紅茶を2人に出して、ケーキとハチミツ漬けのレモンを皿に出して2人に差し出す


「ハッハッハ!すまんすまん!

おっ!こりゃ、うまいな!」

「そうね、ブランデーケーキとライちゃん大好きハチミツ漬けレモン!」

「もう、なんとでも言ってください」

「そうスネんなって!次の箱はシアンからなんだろ」

「そうね、中身はハチミツかしら?

朝も届いたのに‥‥それもこんな大きい箱で?」

「ハチミツだと思います!

‥‥‥違いました」


ライは木箱を開けて覗き込むと少しだけしょんぼりとする

その様子に輪切りのレモンを何枚か食べたカマクがライの横から木箱を覗き込む

そこには銀色の拳銃が入っていて

銃を取ると2段目が現れて、同じ拳銃もう1つ入っていた


「スゲぇのが送られてきたな」

「そうなんですか」

「ああ、儀礼用で使う物と似てるが、実弾も入ってるって事は使えるヤツだな」

「‥‥そうですね」

「ハッハッハ!」

「そうね!ふふふ!ハチミツの方がいいもんね!」

「違います!持ち手の下に鎖がついてるから

なんだろうと思っただけですから!」

「儀礼用は飾りで、こういうのがついてるんだ

そんなに長いチェーンじゃないから

まぁ、邪魔にはなんねぇだろ

おっ?ホルターまであるじゃねぇか!

ワキザシをはずしてみろ、つけてやるから」


スネているライの頭を撫でてから

カマクがワキザシのついているベルトにホルターを固定していく

ライにベルトをつけて位置を調整して拳銃を2個ホルターに納める


「少し重いか?」

「まぁ、これくらいならなんとか」

「前や後ろから見ても目立たないわね

そのワンちゃんマントで隠れてるわよ」


ミカエルはそう言いながら、ハチミツがついた輪切りレモンを摘んでライに手招きする

ライはちょっと悩むが、ミカエルに寄っていってミカエルの摘んだ物を笑顔でパクッと咥える


「何してんのよ、ライ」


応接間の入り口にカルナが腕組みをして立っている

カルナの後ろではエリザとマリアがライとミカエルを睨みつけるようにして立っていて、横に立つサマンサはライに背を向けて肩を振るわせていた


「ほら、ライちゃん

指にもハチミツがついてるからね?」

「姉様!何してんの!」

「姉様!何やってんの!」


ライの口に指を押し込もうとするミカエルに

エリザとマリアが抗議する

カマクは笑いながら背を向けて咳き込んで、また笑う


「ライ‥‥お茶」

「ライちゃん‥‥ケーキ」

「ライちゃん‥‥瓶詰め」

「はい、準備します」

「はい?」

「準備?」

「します?」

「‥‥準備するもん!

お姉ちゃん達の為なんだからね!」

「よくできました」

「はい、ぎゅー」

「はい、ぎゅう」

「ヤメ‥‥」


カルナ、エリザ、マリアに抱きしめられて

ライが抗議しても離してくれなかった

そのまま抱きしめられながら、ライは3人に連れていかれた


「最近、甘やかす方に方向転換したのかしら

何か知ってる?サマンサ」

「強制するより、甘えさせた方が懐くのが早いと思ったんでしょう」

「変な方向に成長しているわね、あの子達」

「カマク様に習ったんではないでしょうか?」

「‥‥カマク?」

「おいおい!サマンサ!

ミカエルが甘えてきてるんだぞ!

2人っきりの時にアマアマにな!」

「カマク!」


サマンサは笑いながら

ワゴンを押して、だんだんと甘い雰囲気になりつつある部屋を出ていく



ライは応接間から出て、執務室に連行されていき

マリアに抱きしめられながらソファーに座る

ライは何が起きているか

これからどうなっていくのか

不安でしょうがなかった

こんな事はなかった

恥ずかしいけど、いつも望まれている事を言えば、それで終わりだったはずなのに


「あのね、ライ」

「ライちゃんはね」

「ライちゃんってね」

「は‥はい」

「なんで毎回そういう事をするの」

「それも言う事を聞かなかった」

「あれだけ王族と教会は駄目って手紙で書いたのに」

「それは‥‥その」

「よりにもよって、めんどくさいのに好かれたわね」

「そうね、本当にこんなものまで」

「そう、送ってくるなんて、噂はホントかもね」

「‥‥どういう事ですか」


カルナ、エリザ、マリアの視線はライの腰、脇の下あたりにある拳銃に注がれている

ライが聞き返すとサマンサがワゴンを押して入ってくる

カルナとエリザはライの腰から拳銃を1つずつ取るとサマンサに見せる


「サマンサ、これってなんの銃なの?」

「‥‥儀礼用で使われる物に似ていますが

持ち手の下から伸びる鎖が小さく短くされて

実際に使えるようにされている物です」

「なんの儀礼?これは珍しいの?」

「物が珍しいというか

持つ事を許されるのと実用にされているのが珍しいと思います

それと儀礼というか‥‥

教会でも位が高い人の結婚式で使われますね」

「はぁ‥‥やっぱりね」

「何がですか」


サマンサが喋りながら、紅茶とブランデーケーキを配り、カルナとエリザから拳銃を受け取って、ライに渡す

ライは3人の顔を見るが、難しい顔をしている


「なんというか、重いのよ」

「そう愛がね、噂では」

「それが原因で婚約者候補が逃げ出すというかね」

「じゃあ、コレは使わない方が‥‥」

「絶対!周りに言いまくってるし」

「それに許可出してもらうためにライの事も」

「言いまくってるでしょうね」

「え‥‥どうすれば」


4人の会話を聞きながらサマンサが口を挟む


「拳銃としてはいい物よ

試し撃ちして良かったら

普段使いしてもいいんじゃないかしら」

「普段使い‥‥」

「ふふ、工房からの業物は使えなかったから

いいんじゃないかしら」

「あれはカマク様が使ってくれます

でなければ、飾っておきますッ」


ライは言いながら、マリアから解放されようと動くが、マリアに強く抱きしめられる

それを見たカルナとエリザがハチミツのついたレモンを摘んでライの前に出す

レモンからハチミツが垂れる前に迷いなくライが、パクパクと食べると

カルナ、エリザ、マリアがふふっと笑う


「そういえば、忘れてないわよね」

「そうね、ライちゃんは忘れてないわよね」

「ちゃんと頑張っているわよね」

「‥‥‥はい」

「忘れてたのね」

「もう!大丈夫なの?」

「少しはしてたんでしょう」

「あの‥‥」

「本当に手紙を見てないのね」

「明後日にテストなのよ」

「どうしてあげようかしらね」

「ごめんなさい!お姉ちゃッ‥‥グッ」


ライはマリアからもがいて出る事は諦めて

3人に笑顔で謝るもマリアに締め付けられ

カルナとエリザには頭を叩かれた



すっかり忘れてました!

誰か覚えてましたか!

正直、公爵家だから、イケるかと思ってました!

これが飼い慣らされるという事でしょうか


しかし、なんでテストを受けなきゃならないんでしょうか

本当に学生として通うんですか

カルナ様、エリザ様、マリア様はもう1度通うのとか大丈夫‥‥はい、集中します

無理に入らなくても良いのでは‥‥

公爵家の‥‥はい、集中します

今日は夜の警備班で‥‥はい、集中します


今から勉強で缶詰だそうですが

夜ご飯は食べさせてくれるそうです

食べさせてくれない事もあるんですか

そうですか‥‥集中してます


どこか甘やかしてくれる所はないでしょうか

できれば、ご飯もくれて、ハチミツをくれて、暖かい寝床が用意されて

甘やかされたいです

すいません‥‥間違いました‥‥やり直します


家出しようかな

どこかないでしょうか


ミカエル様、リーナ様が体調不良?

それは心配ですね‥‥はい、勉強します

するから、ご飯は食べさせてください


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