30話 新たな鎖って事はないですよね
即席の結婚式が終わり
主役達は退場していった
ダルとルドラによってレプンには
今から10日間の休みが厳命された
色々な引き継ぎとダルが書いた物を公爵家に届ける為に執事やメイド達も数人を残して部屋から退散していく
騎士達もシアンを残して報告と教会応援の為に一緒に出ていく
ライはヨミとミカエルに肩を掴まれて一緒に退散できずに閉まっていく扉を見ていた
「さてと、残ったという事は
色々と聞きたい事があるようだな」
「はい、しかしその前に改めて謝罪とお礼を申し上げたい
サキ‥‥サキ・クルーズの事、本当にありがとうございました」
「俺らとしても、長年の悩みと最近の悩みが解消してスッキリとしている所だ
祝い事として解決するなら、それに越した事はねぇからな」
「それについては本当に申し訳ないと、父上と母上からのお言葉です」
「そいつはもう聞いた
時期教皇候補と先代聖女からのありがたいお言葉だ
忘れるわけがねぇ」
ダルが笑顔でシアンに適当に手を振ると、シアンもホッとしたような顔になる
ユキとウルが使用人に目配せして、紅茶を配らせると、ダルにとっては困った話題となる
「それにしても、どのように知り得て猟犬を放ったのですか?」
「‥‥‥さてな、ライ!
俺はなんて言ったけな?」
「‥‥‥えっと、そう!
カルナお嬢様、エリザお嬢様、マリアお嬢様からお手紙を持ってきたのでした!」
「おお!そうだった!
アレの続きか!早く持ってこい!」
「承知しました」
ライが慌ててダルに渡そうとした手紙の事を口走ると、ダルは乗っかってきた
というか、乗っかるしかできなかった
ライが部屋を出ていく時にシアンが呼び止める
「すまないが、猟犬の刀というのか?
それを見せて欲しい
ホウとチトリが、かなり誉めていたので
興味があって、良いだろうか?」
「‥‥はい、お持ちします」
何を余計な事を言ってんですか!
とホウとチトリを恨むが、しょうがなく3階の客室に行き、大きな紙袋とワキザシを持って部屋を出ると笑顔が怖いレプンがいた
レプンの腕に抱きついてるサキもいた
「ライ
あなたには言いたい事が沢山あります」
「本当にありがとう
アナタのおかげで、私‥‥夢みたいなの」
「私としてはこのまま、アーケロン商会に骨を埋める覚悟をしていたのですが」
「すべてを諦めていた時に
執事との恋、憧れていたし、素敵なレプンとならきっともっとたくさんできると思うの」
「いえ、今はライとの話を」
「結婚してすぐにメイドに浮気ですか?
負けませんから!私の方が‥‥ほら、レプン!
どうなんですか!」
「あの‥‥こんな所でですね」
抱きついて体を擦り寄せるサキと顔を真っ赤にしてタジタジなレプンにライは笑顔で礼をして歩いていく
「あ‥‥ちょっと待ちなさい!ライ!
そのサキ、色々と待ちなさい!」
「ヨミ様から教えてもらいました
強引に当てていけと!こうですか?可愛いレプン!」
「ヨミ!またアイツですか!誰か!ヤツを呼びなさ‥‥」
周りの執事とメイド達によって、分厚い扉の部屋に押し込まれて声が聞こえなくなっていった
最初に会った時はもっとキリッとした人でしたけどね
ライは呆れながら、階段を降りていくと応接室に人が増えている事に気づく
気付いたが、どうしようもない為に応接室の外にいる執事にワキザシを渡して、紙袋の中身を確認してもらってから、紙袋を持って応接室に入る
「ライ!私の猟犬がまたやったのね!」
「あの‥‥スノウ様」
「ねぇ!私の!猟犬よね!」
「‥‥‥」
「返事は?して!」
「お手紙をお持ちしました」
「もう!絶対に後で言わせてやるんだから!」
ライは応接室に入った瞬間にスノウに顔を掴まれて
問いかけられるが、ミカエルがスノウを引っ張っていってくれたおかげで、ダルとユキの近くに寄って手紙を渡す
次に出てきた紙袋は会長と会長夫人となっていたので、ライは紙袋を掴んで怖気が走った
コレを取りたくない!
なんだろうか、撃たれるような
いや、もっと酷いような怖気
殺気ではなく、もっと嫌な気配
忘れていた何かがあるような
「ライちゃん?どうしたの?」
「俺らにもあるのか?」
「‥‥はい」
ウルとルドラに言われたので、手紙が入った紙袋を取って、次に出てきた文字を読んで固まった
駄犬へ1番
番号もさることながら
まだ、大きな紙袋は重さを残しているのが恐怖だった
とりあえず取ると
駄犬ちゃんへ1番
救いは無かった様に思える、だがまだ
愛しい駄犬ちゃんへ1番
ライは思い出した
鎖は3本あったのだ
「あら?固まっちゃたわね?」
「あ‥‥いえ、こちらですどうぞ」
「ライちゃん‥‥」
「いえ、その」
「ライちゃんはいい子よね」
「はい、どうぞ」
ウルとヨミに言われて大きな紙袋を渡すとユキ、ミカエル、カマク、スノウも寄ってくる
紙袋を覗き込んだ順に吹き出していき
最後にダルとルドラが覗き込むと紙袋の中を手で漁ってライを2度見する
ダルはライに見るがいいかと許可を取ってから駄犬へ1番の封筒を開けてサッと読んで
「ハッハッハッ!おい!ルドラよ!」
「なんだ‥‥!ハッハッハッ!そうか
そうかもな!ハッハッハッ!」
「ハッハッハッ!すまんが、シアン!
どのように猟犬を放っただったか?」
「あ‥‥はい、教えていただけると」
困惑気味のシアンを前にダルは笑っている
ルドラは駄犬ちゃんへ1番と愛しい駄犬ちゃんへ1番の封筒を開けてサッと読んでさらに笑っている
「ハッハッハッ!教えてやる事ができなくなった!すまんな!ハッハッハッ!」
「そうだな!これでは教えてやれん!
ハッハッハッ!孫達はスゴイな!」
「どうしてでしょうか?」
「猟犬の飼い主はカルナ・ボーゲン
俺の孫だ!知っているだろう」
「猟犬の飼い主はもう2人いる
エリザ・アーケロンとマリア・アーケロン
これも知っているだろう」
「‥‥はい、よく存じています」
ダルとルドラはシアンの前に3枚の紙を差し出す
3枚とも同じ内容で、大きな文字で書かれていた
王族、教会関連の者と話したり、仲良くするの禁止!破ったら‥‥
3枚ともそこで終わっていた
ライは青くなってどうしようかと悩んでいるとスノウに抱きしめられて、やっぱり私の方がいいよねと言われて揺らぎそうになる
「まぁ、そういうわけだ
飼い主である孫が来るまでお預けでいいんじゃねぇか」
「そうだな
おっ?それがワキザシか?見せてくれ!」
「はい、そうですね
私達がした事を見ればこうなりますよね
なら、せめて子供達にご飯を食べさせてあげた事に礼を!ありがとう!猟犬、いや、ライ」
ライはユキやウルにあたまを撫でられていたが、ルドラがワキザシを見て驚いているのをハラハラしながら見ていた
ダル、カマク、シアンもワキザシを見ながら頷いている
「猟犬!スゲェな!
あのダトスとやり合ってこれで済むのかよ」
「やり合ったと言っても、1回?1合?受けて吹っ飛んだだけです」
「あん?1回?本当か?」
「あ‥‥いえ、その後1回斬り込みました」
「そっか、今度よ!俺とやらねぇか?手加減とかはす‥‥イテッ!わかったよ」
「カマク!どっちも怪我したら怒るわよ!」
カマクがミカエルに脇腹を摘まれて注意を受けている時にシアンはライの近くに寄ってきてライの両肩を持つ
「本当か!ダトスの1撃を受けたというのは!」
「いや、あの
左足に銃弾を打ち込んでましたし、万全では無かったので‥‥」
「奴の1撃は騎士の鎧すら両断する
組織した団もやられた事がある」
「‥‥‥組織ですか‥‥‥直接ですか?やりとりは?」
「ん?そうだな、ダトスが直接だと思う」
「はい!そこまで!」
ミカエル、スノウが間に入って、シアンとライをゆっくりと引き剥がす
シアンは、あっ!となり、謝罪する
「すまない!話すのも仲良くするのも禁止だったな」
「あ‥‥いえ、でもッ!スノウ様!ちょっと!」
「駄目!私があげた物を壊したんだからお仕置きなの!黙って、抱きつかれなさい!」
「飴も欲しいわよね?はい!アーン!」
ライはスノウに抱きしめられて振り回され、ミカエルには飴を口に入れられていく
「すまねぇな、というわけだ
3人の飼い主に許可を得てくれ」
「ふふふ、3人の飼い主にですか
あんな可愛いのに‥‥いえ、失礼」
「なんだ?そんなにおもしれーのか?」
「3本の鎖が付くのは、3本の首を持つ猟犬
なんか私の知っているのとはかけ離れていて
恐ろしいはずだったのに‥‥こう見ると可愛らしくて」
「ハッハッハッ!そうだな!
案外、無害で飯をくれるいい奴かもな」
「そうですね、今度飼い主達に掛け合ってみます
可愛い3つの首を持つワンちゃんをくださいって」
「ハッハッハッ!新たな争点になりそうだ!
怖いぜ!まったくよ!ハッハッハッ!」
コロコロ
コロコロ、コロコロ
コロコロコ!コロコロコロ!
バキッ!バキッ!
ふぅ〜
マズイです
いえ、飴ちゃんは美味しいかったのですが
なんか、レプン様から
余計な恨みを買ったような気がします
‥‥‥はい
まぁまぁ忘れてましたよね
私が誰であるのかを
駄犬のラァイと申します
最近、自我の芽生えすぎで
本当に大草原になっております
なんで?こうなったか?
そうですね
とりあえずは、もうすぐ飼い主が戻られるという事なので除草作業に移りたいと思います
女装?作業?知りませんね
シアン様は上機嫌で帰られましたが
スノウ様は不機嫌で夜中までお茶会を開催されました
なんで、ユキ様、ウル様、ヨミ様、ミカエル様がいるんでしょうか?
笑顔で退出して行かないでください!
メイドの先輩方!あの私はおと‥‥なんでもないです
なんか薄らと叫び声のような声が聞こえますが
うるさい部屋がありますね
まぁ、何かあれば夜中の警備担当である方達が対処してくれると思います
ヨミ様とミカエル様は顔を赤くして早めに退出されていきました
ユキ様とウル様は若いわねと呟いて、キョトンとしているスノウ様と私の口に飴ちゃんを入れて、よくコロコロするのよって言ってきます
コロコロすると音が聞こえづらくなるんですが、美味しいので構いません
明日からお菓子作りもお茶も再開して
お待ちしております
駄犬のライより3人の飼い主様へ
手紙の2ページ目は‥‥いつか読みます
このシャンプーとリンスって本当に良い匂いだし、髪がスベスベになります!
しかし、色々な方向からうるさいですね!
野犬でしょうか?野良猫でしょうか?
低い鳴き声だから、雄犬?雄猫?
躾がなってませんね!
まったく!
あ‥‥組織‥‥
あ‥‥暖かい布団‥‥
あ‥‥いつか考え‥‥す




