14話 これが欲張りすぎって事はないですよね
パーティーで駄犬の躾が決定される半日前
クリスマスパーティーが始まる日の昼過ぎまでライはゆっくり寝ていた
明け方前まで警備や飲み物、食べ物のデリバリーをしていた
今日は夜のお茶会をアーケロン商会の屋敷で開催しなさいと言われただけなので
予定としては、パーティーが始まるぐらいにあらかじめ色々とお願いしているアーケロン邸の厨房に行ってお菓子を作って、お茶会を開催
その後は夜の警備に参加して帰る事となっている
予定が決まっているのはいい事だと思いながら、キッチンで昼ごはんを食べて、着替えて玄関でダッフルコートとマフラーを持って立っているとサマンサがメイドと執事を1人ずつ連れて訪ねて来る
「ライ、今から行くの?」
「馬車が出払っていますから、歩いて行こうかと思っています」
「街も通るわね、だったら気を付けなさい
従者の中に内通していた者がいて、コチラの予定が漏れていたらしいの」
「どうしたら良いでしょうか?」
「狙っていた賞金首はほとんど狩れたので
本隊からは観察程度で良いって言われているわ
もし、観察が無理なら情報を出来るだけ持ち帰りなさい、手段は問わないわ」
「承知しました」
「お小遣いがあるからってあまり寄り道して、道草ばかりしたら駄目だからね」
「わかってます、遅刻したらそれこそ
どんな目に遭うかわかりません」
「お姉ちゃん達にね」
「サマンサ様!」
ライが抗議するとサマンサは笑い出す
ライが言った事は屋敷で働く者達に共有されているので、サマンサの後ろにいるメイドと執事も一緒になって笑っている
サマンサ達が本邸に向かって歩き出したので
ライはダッフルコートを着て、マフラーを巻きついて行く
サマンサはついて来るライをチラッと見て
「2本?それにしても質が悪いわね」
「そうでしょうか?」
「フリーに相談してみなさい」
「はい、わかりました」
「そのマフラーと同じでフリーお姉ちゃんと
お揃いにされるかもしれないけどね」
「もう許してください」
「昨日の夜も仲良くやったみたいじゃないの?
リーナもいたみたいだし、お姉ちゃん達と楽しかった?」
「コッチなんで失礼します」
ライは礼をして脇道に逸れて行く
サマンサ達はクスクスと笑いながら、本邸へと歩いていく
「だいぶ予定より遅れていらっしゃるから、時間との勝負になるわね
失礼と失敗の無いように全員に伝えなさい」
メイドと執事が笑顔から真剣な顔になり、一礼してサマンサを追い抜いて本邸へと急いでいく
サマンサが空を見上げると曇っていて、雪か雨が降り出しそうだった
ライは街に着いて売店に行ってみたら、閉まっていた
売店の閉まってあるシャッターの端に記号が書いてあった
たぶんだけど、おそらくなんだけどと
ライは目の端に捉えた記号の意味を歩きながら考える
街の西、植木鉢、団地、印に見えた
街の西に寄って行くと遠回りになるけど、時間は余裕を持っているから大丈夫だ
ライは歩く速度を上げながら
それにしても、なんであんな所に?しかも、うろ覚えの様な形で描いたんだろう?と考えていた
街の西側は旧市街となる
東側にある港からの物流の関係で、街の作り方が東に伸びていったので、元々あった街への物流に対する手間と東側に新しく作った広い道もあって、街の中心は後から出来た東側になっていった
だからといって、西側に人がいないわけでもない
空き家とかは多いが、店もあり、昔ながらの風景を残す街、旧市街となっている
西側に花屋は見当たらなかったので、団地を探していたら、2箇所ある事がわかる
距離が近い方の団地には、かなり人が住んでいたので、遠い方に足を運んでみる
団地に着いて敷地外から眺めると
人がいる気配はあるが、住んでる様な感じがしない
こういう慣れない場所では、気配も読みにくいからあんまり行きたくないけど、遠目に見た感じ植木鉢が結構ある
印というのが分からないが、せっかく書いた報告書を届けたい
行くか、行かないかを考えていたが、10個いや15個調べて駄目だったら、アーケロン邸に向かおうと決めて団地に入っていった
ライが3個目の小さい植木鉢を持って、しゃがんで底を覗いている時に後ろから男性に声をかけられた
「遅かったじゃないか」
ライはゆっくりと植木鉢を置いて立ち上がり、振り向くと短髪で細身の男性がニヤつきながら、ライを見ていた
「上手くやってくれたみたいだな
コッチだ、ついてこい」
「はい、わかりました」
ライはわからなかったが、コレが印なのかなと思って返事をして男性に付いていって後悔した
4階建てのマンションが少し広い道の両脇に立っている
見えるのは両脇のマンション3階、1箇所ずつに狙撃者がいる
なんで見えるの?って思うが男に付いて、向かって左のマンション1階部分の扉が外れた部屋に入って行く
荒くれ者みたいな3人の男性が部屋の椅子に座って、テーブルに置いてあるジョッキから酒を飲んだり、ナイフを見てゆっくりと頷いたりしている
「ソイツがそうなのか?まだガキなのにエグイこった」
「それほど憎まれているという事だ!つまりは当然の報いだ!」
「わかってるさ、そう思うから俺らに協力してんだろ?ガキ」
「ええ、当然の報いです」
ライが同調すると男達は笑い出す
ライをここに連れてきた男性は笑っていたが、ライの方に手を差し出してくる
「渡してくれるか?」
「‥‥さっきから探しているのですが、見つからず
ここらへんにある物の下に置いてあると言われまして‥‥」
「そりゃあ、そうかもなアレは持ってると危ねぇからそんなモンだ」
「どうすんだ?もうすぐここに来るぞ」
「引き続き探してみます」
「おい!お前も手伝ってやれ」
「えぇ、‥‥わかりましたよ」
ライはしれっと嘘をついてみると、通ったので探すフリをして逃げる気であったが、ここまで案内してくれた親切な男が手伝ってくれるらしい
1階の部屋から出て裏手に回って、少し離れると植木鉢が結構あった
「さっき植木鉢をなんかしてたのは探してたのか?」
「はい、拠点の近くなら、あるかもしれません」
「ったく、めんどくせ〜な」
そう言いながら、男は植木鉢を蹴っていく
ライは逃げる方法をどうしようかと考えながら、男に付いていく
拠点から死角になる、別マンションの階段にある植木鉢を男が蹴った後に、ライは男の背後からナイフを首に2本突き立てる
「おっ?コレ‥‥ゲッガ」
「ん?」
ライは男が倒れ込む方向を体で押し込んで位置を調整する時に壊れた植木鉢の下に黒い布があるのが見えた
男を出来るだけゆっくりと階段の方へ倒すと植木鉢の下から出てきた黒い布を土を払いながら拾い上げる
黒い布は手のひらサイズで、そこには記号が刺繍されていた
組織から教えられた暗号で、こんなものは見た事がないので、本当に男達が言っていた物が出てきたのか、となればこれも情報になるのかと思い、取り敢えずポケットにしまっておく
男性をやってしまった以上は観察は終わりにして、より多くの情報を持ち帰る為に取り敢えず
倒れている男からナイフを回収して血を男性の服で拭いて、男性の懐から銃を取り出して弾倉を確認する
「手当てとかありますかね」
そう言いながら、ライはマンションの3階を目指して歩き出す
これは回想のお話になります
お休みをありがとうございました
ライと申します
パーティー会場での続きが気になる方もいらっしゃるとは思いますが
まずは泣き言を言います
ここから、ああなるなんてわかるわけない!
なんで!最近は!
ありがとうございました
この時点では
手当てが出たら手袋を買いたいとか
あのカフェで食べてみたいお菓子があるから
手当てが出たら行ってみようとか
手当てと一緒にお休みとか出るかもとか
今思えば欲にまみれておりました
そういう事がバレたのでしょうか
一体誰に?何故?どこで?どうやって?
後悔とはバレてから来るもの
おかしな物言いですね
本当にここで引いていれば
いえ、なんでも‥‥なんでもありません
あと少しお付き合いください




