表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/41

13話 駄目な犬って事はないですよね

ここらへんは首都より離れている辺境という位置になる

大きな大陸でどこに向かえば首都に行けるのか

組織はどこにあるのか

ライはそんな事を思いながら

今は片手に大きいバケットを持ち、ショルダーバッグを持って夜の寒くて暗い森を歩いている


そういえば、前に船に乗って逃げようとしていたけど、どこに行こうとしていたんだろう

なんとなく逃げるにしても目的地を決めないといけない

逃げた先が相手の縄張りだったら、飛んで火にいるなんとやらになってしまう

そうなると勉強も大切な事なのではと考えながら、森の中にある小屋にたどり着く


明かりがついていない小屋に入ると、メイド服女性が2人、黒い皮で出来たピッタリとした服で黒い帽子を被った、スタイルの良い年上の女性が1人椅子に座っていた

バケットをテーブルに置いてライはため息を吐いて呟く


「お姉ちゃん」

「はぁい!正解」

「暗号は入る前に言うもの」

「あまりからかうのも考えものだけど

コレもそっちの流儀なのかしらね

ああ、初めましてがいいかしら

リーナっていうの、よろしく」

「前に倉庫で後ろにいた人ですよね」

「そそ、やっぱり、わかってたのね」


クロッサとフリーはバケットに入っている物を取り出している

リーナと挨拶を交わしたライはショルダーバッグからタオルを巻いた水筒と木のカップをテーブルに出して、水筒の中身を木のカップに入れていく


「暖かい飲み物はありがたいわね」

「でしょ」

「美味しい」

「パイは冷めましたけどね」


4人はアップルパイを食べて、ゆっくりとカップに入った紅茶を飲む

しばらく無言でいる

遠くから銃声が何発か聞こえて、それ以上は聞こえてこなくなる


「本邸からきた人達は優秀すぎる」

「やる事ないのはいい事じゃん」

「場所が場所だけに狙いにくるわね」

「毎年こうなんですか?」

「今年は躍起になってんだよね」

「一族が来年には首都に行くし」

「潰された商会の生き残りが自爆覚悟で

アーケロン商会を狙って、巻き込むように公爵をってね」

「そうですか、ウォーキングデッドって厄介ですね」

「一気に掃除できるから‥‥うんまっ」

「手伝っていってよ‥‥美味しい、今度作り方教えて」

「そうね、出来立てじゃないのが悔やまれるわね」

「ありがとうございます」


ライは食べ終わるとショルダーバッグから銃を取り出して、テーブルに置いてショルダーバッグを床に下ろす

クロッサとフリーはパイを咥えながら、銃を取り出して弾倉を確認してパイをングングッと手を使わずに食べていく

リーナは紅茶をゆっくり飲んで、カップをテーブルに置いてから、壁に立てかけてある長い銃を持つ


「また抜かれたのはイッカクかぁ‥猟犬ちゃん」

「直接5、西3‥‥番犬さん」

「リーナ姉はイッカクとかどぉ?‥持ってんのは3かな」

「あら、いいの?狙ってはいたけど、近いのに手を出すのは躊躇ってたのに‥‥私と番犬5、骨犬と猟犬3」

「アイツ、エグいの持ってる‥‥骨犬は嫌」

「リーナ姉の初狩りも年貢の納め時かなぁ‥‥猟犬ちゃん!発進!」

「猟犬ちゃん働き者ね、もう行ったわ‥‥じゃあ、あなた達のお姉ちゃんになれるのかしら」

「言い方が逆になってる、また後で」


小屋のドアが開いてライの姿が消えて、フリーも続いて消える

クロッサとリーナは残りの紅茶を飲むとゆっくりとドアから出ていく


「イッカクちゃんは童貞?」

「そそ、アイツはガッツクのに、途中でヘタレるからねぇ」

「あら、いいじゃない、そういうの」

「リーナ姉がロックオン!アイツも年貢の納め時かなぁ」

「狩りは楽しまなくちゃね」

「そだね、3もらうから」

「負けないわよ」


2人の姿が闇夜に溶けていった



木を背に座っている黒服の男の前にフリーがしゃがみ込んで男を見ていた

手足にナイフが刺さって両目が潰れた黒服の男が口に石を入れられて震えていた

男の前にはしゃがんだフリーが工具を持って、ジッと男を見つめていた


「ありがとう、もういいや」


そういうとナイフを男の首に刺してから

立ち上がると紙に鉛筆で何かを書き込む

紙を丸めてポケットから出した筒に入れて

フリーは後ろ側に筒を無造作に投げると誰かが受け取って森の奥に消える

フリーは工具を素早く片付けて、黒服の男が背にしている木の後ろの方をフリーが覗き込むと

ライが奥から歩いて来るのが見えて笑顔で手を振る


「どうだった?」

「処理した後に本隊がきたので引き渡しました

コッチは?」

「猟犬ちゃんが頼んだ通りに捕まえてくれたから、まぁまぁ引き出せたよ」

「さすがは骨犬さん」

「それ、嫌なんだけど」

「わかりますけど、仕方ないんじゃ」

「昼間だけなら可愛いのもらえたかな

陽犬とか、どぉかな?」

「なんか駄犬っぽくないです?

夜目が効かないのも考えものです」

「目指せ!来年には寿退社」

「後2年って言ってませんでしたっけ?」


2人は持っている武器の状態を確認しながら、軽口を叩いて夜の森に消えていった



アーケロン商会の屋敷で開かれているパーティー会場では、スコーパー社長が乾杯の挨拶をして立食とダンスが楽しんでいる

ボーゲン公爵と懇意にしている辺境伯はいるが、あとは周辺諸侯の貴族達である

王都で勤めがある者は年末はそうでもないが、年始は忙しく、息つく暇も無くなる

せめて、その前に英気を養う目的でアーケロン商会が王都にいる者に休みを、王都に向かう前に、ここに集う者には良い食事と休息をと企画したものだった


この後は公爵付きの騎士達に護衛されながら、安全に王都に新年の挨拶に向かえる上に公爵家や大商会に挨拶できるとあって、少ない枠に安くはない参加費を払って貴族達はここにいる

騎士達にも商会の人にも年末の特別手当がこうやって生まれていく


そんなパーティーの冒頭に挨拶を何回も何回も行って、少し疲れたカルナ、エリザ、マリアは上機嫌の笑顔でキレていた

久しぶりの社交場なので空気を読む感覚が鈍ったのだろうか

食事をしたいのに、取りに行く時に挨拶に来られたり、親族に話しかけられたりして、ヌルい紅茶ばかり飲んでいる


「ねぇ、あの人、エリザばっか見てない」

「カルナでしょ、婚約破棄した後だから狙い目だと思われてんのよ」

「さっきのなんとか男爵に妻が先立たれてって話をしつこくされたんですけど」

「はぁ、屋敷でくつろぎたいわ」

「さっきのケーキ美味しかったわよ」

「ドレスで締め付けられてるから、少ししか食べられなかったけど」


3人は持っている扇で口元を隠し、周りに笑顔を振り撒きながら小声で喋り合う


「終わったら、ライを呼んであるから寝室でお茶会ね」

「あら、寝る前にライが開くお茶会だなんて、誘われてもよろしくてよ」

「お聞きになりました?親族の前でお姉ちゃんって呼ばせて、ご満悦の有頂天で商会の双子にそれはもう何回も何回も聞かせて喜んで

カルナには妹がちゃんといるじゃない?

私達にライをくれてもよくない?」

「あんな生意気な妹はいなかったのよ

それにね、ライはわかったのよ

誰にすり寄るべきかってね」

「ヤンチャな妹にはキツイわね

でも、あなた達はライに言わせただけよね」

「あの子はなんでもハッキリ言うから

あら、言ってもらった余裕なの?エリザ?」


目線をそこらに配りながら3人は歩き出す

テーブルに置かれている料理を小皿に取ろうと扇を畳んで手を伸ばす

パーティー会場の扉がゆっくりと開かれて、扉の両脇にいる使用人が言う前に入ってきた男性が興奮気味に名乗りを上げる


「遅れて申し訳ない!

元公爵家次男カマク・アーケロンと

その妻ミカエル・アーケロンが参りました」


銀髪を後ろで束ねた細身の男性

着ている白いスーツには赤い染みが多数付いていた

男性の腕に抱きついている女性は腰まであるウェーブのかかった金髪

青色のドレスを着て優しい笑顔を浮かべているが、ドレスのところどころに赤い染みがつき、スカートの裾が赤で染まっているので、優しそうな笑顔なのに迫力がある


周りから歓声とドヨメキが上がる中

カマクとミカエルは笑顔で立ち止まって、ボーゲン公爵夫婦とアーケロン会長夫婦の方を向いて礼をする

次に扉から入ってきた女性はメイドの手を引いて駆け足で入って来る


「遅れて申し訳ありません!

スノウ・ボーゲンが参りました!」


元気に挨拶すると淑女の礼をする

背中まであるストレートの銀髪

黄色のドレスを着て上から安物のダッフルコート羽織っているが、どちらもところどころ赤い染みがついており、スカートの裾が赤く染まっている

そんなスノウがメイドと繋いでいる手をブンブンと振りながら、引き寄せようとしているが

メイドは体をのけぞらせて逃げようとしている


スノウはガッチリメイドの手を掴んで

ボーゲン公爵夫婦の方を向いて興奮気味に大きな声を上げる


「お爺様!お婆様!コレ欲しい!」


青い髪のメイドはボーゲン公爵夫婦の方を見ておらず、ある方向を見て小さく顔を横に振っている

スノウは青い髪のメイドの視線を追って見つけた姉達に対して言い放つ


「謹慎されたような駄目な姉様達だもん!壊す前にライは優しくて賢い私がもらってあげる!感謝して!」


ライの視線の先で3人の女性がそれぞれの方法でハッキリとした仕草で

後で躾けてやる駄犬がと伝えてきた



駄犬のライです

言い訳ぐらい聞いて欲しいのですが

誠に申し訳ありません

今回はお休みでお願いします

話がわからないと思いますが‥‥

休暇をお願いします

失礼します

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ