表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/41

12話 パブロフの犬って事はないですよね

カルナ、エリザ、マリアの学校が冬休みに入り、毎日午前と午後にお茶会が開かれるようになった

お茶会の間には昼食とライの勉強会が開かれており、夕食後にエリザとマリアを見送る

たまに屋敷までの護衛目的でライは拉致されて、疲れきって馬車で屋敷に戻ってくる

カルナに報告後、夜勤の人にお菓子やお茶を準備して、戦闘訓練を森で行う

1日がすぐに終わっていく



「明日はクリスマスね」

「お爺様とお婆様がくるんでしょう?」

「ここも賑やかになりそうね

年明けまでいるとかいないとか」

「そうね

今年はお父様やお母様も帰ってくるそうよ」

「じゃあ、ウチでパーティが開かれるって言うのはそう言う事なの」

「サプライズになってないわね」


ライは微笑みながら会話を聞いている

寒いので、部屋で行われているお茶会

暖炉の火が暖かく、欠伸が出そうになるが

3人の会話に注意を払っている

今、部屋に使用人はライしかいない

最近のお茶会は準備等が終わればライだけを残して全員いなくなる

セバスやサマンサさえいなくなってしまう

お菓子やお茶が用意されているワゴンには鈴が乗っており、何か足らなくなったらライが判断して鳴らす事になっている

それほどに忙しいのか、本邸からも人が何十人も派遣されてきており、年明けまでの準備が進んでいる

だが、いないのには他に理由がある


「ねぇ、ライ?」

「はい、カルナ様」

「ねぇ、ライ?」

「はい、カルナお姉ちゃん」

「もう一回」

「カルナお姉ちゃん」

「なぁに?ライ?」

「‥‥今日の出来はどうでしょうか?」

「チョコレートケーキの甘さ控えめで美味しいわよ」

「ありがとうございます」

「ライ?」

「ありがとう、カルナお姉ちゃん」

「まだまだね」


ライは顔が少し赤くなる

それを見てカルナ、エリザ、マリアはクスクスと笑い合う

この後にする勉強会もこんな感じで進む

咎められる様な事があれば、1人が怒り、後の2人が庇う

褒められる様な事があれば、3人が順にさっきみたいなやり取りをする

周りに使用人がいる時はライが絶対にしない為に3人が結託してライだけにしたのだ

ライは反対したが、忙しい事とセバスとサマンサが大丈夫と言ってしまったので、こうなった


「ライちゃんって、今までの子と違うのよね」

「なんか媚びないっていうのもあるし

緊張して失敗ばっかりする子とも違うし」

「遊びにくいわね」

「あ〜わかる」

「なんか軽くジャレたいみたいな」

「そうね、そんな感じ」

「ライちゃんは楽しい?」

「お姉ちゃん達に遊んでもらえて」

「おかわりをどうぞ」

「そうそう、こんな感じよね」

「微妙にいじめたくなるの」

「ライ、あんまり誘わないの」


紅茶のおかわりを注いでいきながら、ライは微笑んでいる

注ぎ終わるとライは少し後ろに下がって、扉の方に頭を下げる

扉の向こう側が騒がしくなり始めて、大股で歩いてくる人が足音でわかり、人の声も近づいてくる


「帰ったぞ!愛しき孫娘よ!」

「愛しき孫娘達よ!」


体格が良く短い銀色の髪を立たせている黒いスーツ姿の年配男性と

細身で金髪の髪をオールバックにしている白いスーツ姿の年配男性2人が扉を勢いよく開けて入ってくる

カルナは銀髪の男性に

エリザとマリアは金髪の男性に

お爺様!っと言って抱きついていく

ライは頭を下げたままジッとして会話を聞いていく


「ハッハッハッ!ヤンチャな孫娘よ!

元気いっぱいだな!良いぞ!」

「コッチは2倍だからな!

ヤンチャではすまんほどの元気だ!」

「こんな田舎では退屈だっただろう?」

「怖い思いもしたと聞いているぞ!」


扉の向こう側から腰まで伸びたストレートの銀髪で淡い青のドレスを着た年配女性と

肩までの長さで金髪、赤いドレスを着た年配女性2人がセバスとサマンサ、イザナを引き連れて入ってくる

年配男性に抱きついていた3人はお婆様!っと言って年配女性に抱きついていく


「本当に元気が良い事!

ちゃんと挨拶は教えたというのに

この可愛い可愛いカルナったら!」

「大きくなっても変わらないわね!

ここでだけ、私だけなら許してあげますよ!

エリザ!マリア!可愛い私の孫娘達!」


年配女性は笑顔で孫娘の頭をゆっくり撫でながら抱きしめていく

後ろではセバスとサマンサが笑顔で頷いて、イザナが微笑んでいた


「お爺様とお婆様!帰ってくるなら仰ってください!本当にビックリしたんですから!」

「本当に!孫娘の心臓を止めようとしてませんこと!」

「でも!会えて本当に嬉しいですわ!これなら心臓が飛び出してしまっても構わないくらい!」


ライは反応しかけるが、グッと我慢する

今はそんな事よりも目の前にいる方達の情報を収集する事に意識を集中させていたのに

急に話題になってしまった

金髪の年配男性が


「イザナ!そこのメイドか?

孫娘達の窮地を救ってくれたってのは」

「はい

結構な感の鋭い猟犬です

お嬢様方の窮地だけでなく、壁をやってる部下の命まで救ってくれやした」

「ほう、お前が猟犬呼びとはな

まぁ、壁の代わりを見つけんのは大変だからな

セバス!コレはいくらだ?」


呼びかけられたセバスは頭を下げて答えない

カルナは年配女性に抱きしめられながら、舌打ちをする

銀髪の年配男性は豪快に笑って、金髪の年配男性の肩を叩く


「あんまりいいとこ取りをしようとすんなって事だ!ルドラ!」

「そうじゃねぇよ!ダル!

ウチの孫娘達も欲しいって言ってるからよ

お前との仲だ、こういう商談は掛け合い無しで行いてぇからな」

「そいつはわかるが、コレで孫達の間に深い溝でもできたらどうする?

他の所にも影響が出るぜ

それにせっかく孫娘達が良い子にしてんだ

あまりかき混ぜてやんなよ!」

「わかったよ、悪かった」


ルドラとダルがジャレついているのを横目に

年配女性達は孫娘達を離してキチンと立たせる

年配女性達はコホンと咳払いをしてから

優しく話しかける


「そういう事を言うなら

コレも早い方が良いわね

来年から首都サイトのガイア学園への復帰が許されたわ」

「もうオイタしちゃダメよ!

次は辺境分校での謹慎ではなく

退学しかないんだから、今みたいに良い子にしてなきゃ駄目よ」


カルナ、エリザ、マリアは淑女の礼をして

声を合わせてありがとうございますと言う

その行動を見て、さすが我が孫娘よ

次は無いかも知れんが、存分にやりなさい等の言葉を孫娘達にかけている

そんな中、銀髪の年配女性はカルナに向かって尋ねる


「それでカルナ?そのメイドも学校に連れていくって言ってたから、ついでに入れたけど、本気なの?」

「ありがとうございます!お婆様!

ワガママを聞いてくださって

本当ですわ」


カルナは頭を下げているライの方を向いて


「ねぇ、ライ」



はい、止めてください

言い訳をするので、お待ちください


カルナ様、エリザ様、マリア様

色々と言っていたのに

猫を被るのは世の常ですので

そこに文句のつけようはございません

いえ、何もありません


聞いてはいましたが

ダル・ボーゲン公爵様

ユキ・ボーゲン公爵夫人様

爵位を譲った後でも呼び名は変わらないそうです


ルドラ・アーケロン会長

ウル・アーケロン会長夫人

社長職を次世代に譲った後でも

財界や政界の人脈は表も裏もスゴイらしいです


だけしか、わからない人達が目の前で話していらっしゃいます

混乱ですか?してますよ!ずっと!

私にジャレるとか遊ぶとかの会話からコッチ

カルナ様達にジャレつかれたら

甘噛みで、この世に骨すら残りません


いくらってなんですか?

どのくらいの価値があると思います?

スパイって、どのくらいで取り引きされるんですか?

逆に処理する代金とかかかりません?


あと、何したんですか?

カルナ様達が謹慎って事は

使用人がしたら処刑クラスのことですよね


そりゃまぁ、頭真っ白になります

だから、皆様そんな目で見つめないでください

お止めして申し訳ありません

続きをどうぞ



カルナの問いかけに

ライは顔を上げて目を開けたままの笑顔で言い切った


「はい、カルナお姉ちゃん!」


セバス、サマンサは横を向いて

カルナ、エリザ、マリアは一瞬頬をプクッと我慢してからの大爆笑

あとの全員は呆気に取られてライを見つめていた



もう!もうどうせバレてるんです!

処刑でいいです!

拷問は受けましたので、早く楽にしてください


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ