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11話 甘すぎると火傷って事はないですよね

12月も半ばを過ぎて、寒さも本格的になってくる

もうすぐクリスマスという祭が開かれて、次の週には年が明ける

使用人にとっても大忙しの1カ月間となる


ライは体調が良くなったので、お茶会の準備の為に、ハクゾーのお店に来ていた

店内に入ると暖かい空気に包まれたので、少し厚手のマフラーを外す

さっき街に来てすぐに買った物で、めっちゃ暖かいけど、少し高かった

迷ったけど、今は懐は暖かいので奮発した

ライの後ろから黒髪で少し気だるげ、ロングスカートメイド服の上にトレンチコート、黒いロングブーツを履いて、ライとは色違いのマフラーをしている女性フリーも店内に入って来てマフラーを外して、体をブルブルして雪を落としている


「失礼します

こんにちは、ハクゾーさん」

「おう、いらっしゃっい

てか、外は雪か?頭が凍ってるぜ」

「ああ、失礼しました」

「いいよ、楽にしな

なんだ?護衛付きか?

茶を出してやるぜ、苦いやつをな」

「今回はその事も含めてきました」


頭の雪を払いながら、ハクゾーと笑い合う

ライが紙袋を持ち上げるとハクゾーは奥に入っていって盆に茶器を乗せて持ってきて、カウンターに盆を置く


「コレは父さんが使ってた」

「おう、そうだ

ライが茶に興味がありそうだって言うと

すぐに飲んでみたいから、道具をよこせってんでコレと同じような物を渡したんだよ」

「すっごい苦かったから、飲みたくない」

「まぁ、そう言うなって

慣れりゃ‥‥なんとかいけるぜ」


ハクゾーとフリーが茶器を見ながら渋い顔をしているのを見て、ライが紙袋をカウンターに置く

中から箱を取り出して開けると、黒くて四角形の物が出てくる


「なんだこりゃ?石鹸か?」

「食べ物ですよ」

「さっき買ったカタソーなヤツ」

「羊羹と言うそうです

硬くはなかったですけど

その甘すぎるっていうか」

「甘いの!?」

「そういや、人気のカフェが妙なモンを扱ってるって話があったが、コレか?

「サマンサ様からの勧めで、さっきフリーさんとお茶してきたんです

それとハクゾーさんの所からお茶を仕入れている人がカフェをやっているって」


ハクゾーとフリーはマジマジと黒い羊羹を見ている

ライは奥の部屋から湯が沸いたような音が鳴ったので、ハクゾーに礼をして、奥のキッチンから火にかけてあったヤカンと木の板を持ってカウンターに行き、木の板を敷いてヤカンを置く

ヤカンから出ている蒸気に

懐から取り出したサヤを外したナイフを当ててから黒い物を少しだけ切り分けてハクゾーとフリーにどうぞと促す


「甘!」

「こりゃ‥‥甘すぎるな」

「そこでコレを飲むそうなんです」


茶葉を入れた急須にヤカンからお湯を注いで、しばらく待ってからカップに淹れる

2人は茶を飲むと、ん〜っという感じで微妙になる


「まぁ、そうなりますよね

最初の一口目は私もそうなりました」

「だが、こういうのも紅茶にもあるからな

なんつーか、甘みと渋みの落差を楽しむっていうのか」

「甘いのだけでよくない?」

「それはそうなんですが、次は少し大きめにどうぞ」


ライが切り分けた少し大きめな羊羹をハクゾーとフリーはモグモグと食べて、茶を飲む

ハクゾーはうんうんと頷きながら

フリーは眉間にシワを寄せて、2回に分けて少し茶を飲み、カップを置く


「可もなく不可もなく」

「まあ、こういう楽しみ方もあるんだなって感じか」

「ありがとうございます

参考になりました」

「えっ!屋敷で出す気なの?」

「セバス様がなんか癖になったそうで」

「お父さんだけにして!」

「俺もこんな菓子があるなら、たまには」

「ハマる一歩手前じゃん」


軽い感じで話し合っていると、フリーがポケットから金色のコインを取り出してカウンターに置く

ハクゾーは頷いてカウンターの棚に向かって、小さな紙袋に茶葉を手早く入れていく

ライは羊羹を箱にしまって、紙袋に入れていく


「そういえば、イザナがライちゃんの事を珍しく褒めてたせ」

「あの方もコチラに来られるんですか?」

「ウチはコーヒー豆も扱ってるからな

アイツの好みは安いから利益が薄いがな」

「コーヒーですか

黒い飲み物ですよね」

「なんだ、飲んだ事ねぇのか?

サマンサにでも聞いてみるといい」

「お母さんとクーがたまに飲んでるよ」

「今度聞いてみます」

「それでイザナが面白いモンを置いて行きやがったんだ」


何個かの紙袋に茶葉を詰め終わると、棚の下にある引き出しから、銀色の金属の板に何かめり込んでいるのを取り出してカウンターに置く

金属の丸い板は、この前ここにきた時にライがハクゾーに渡した物で、帰り際に紙袋に入れてくれた物だった

その真ん中を何かが貫こうとして途中で止まっている

覗き込むとその何かは銃弾だった


「ここに来る連絡をもらってると言ったら置いて行きやがった

改めて、部下の命をありがとうだとよ」

「でも、コレは注文する時に使う物ですよね

すいません、こんなにしてしまって」

「何コレ、珍しいじゃん、面白くない?ライちゃんコレ面白くない?」

「店前でドンパチやった後で、片付けてたら

あったんだとよ

俺も初めてみたが、おもしれーだろ」

「‥‥そうですね」

「カウンターに飾ってても良いか?

なかなかお目にかかれねぇからよ、こんなモン」


ライは微笑んで頷くとフリーがナイフをいつのまにか持っていて、笑顔でカウンターに差し込んで切り込みを作って、その切り込みに金属板を差し込んで立たせる


「ちょ‥‥フリーさん」

「おいおいおい!良い方法じゃねぇか!

どう置こうか、悩んでたんだが‥‥

もうちょい真ん中寄りが良かったんじゃねぇか?」

「ここにあった方が物の受け渡しに邪魔にならないし、目につくよ」

「そうか、それもそうだな」


ライは微笑んで、汗をかいている

あまり深く考えない方が良さそうだと思って、雑談しながら、今回はお茶とコーヒーを個人的に買い、屋敷からの注文の品を受け取って店を出る


「また来いよ」

「はい、失礼します」

「じゃあね、アイツによろしく」

「おう、わかった」


ライは話に突っ込んで火傷するのは嫌なので、何も言わずに屋敷に向かって歩き出す

フリーが後ろから両肩を持ってくるので縦に並んで歩く事になる

ライは大きな紙袋を持って、後ろからフリーが両肩を持ち、雪がゆっくりと降る中を仲良く歩いている


「何個?」

「8個」

「当たり」

「尾行?」

「訓練」

「何の?」

「来客用」


フリーが笑顔で会話しながら遠目には仲の良いメイドを演じる

この先は聞かない方が良いかなっと思ったので、思い付きで話しかけてみる


「ハクゾーさんって気さくな方ですよね」

「でしょ!もうすぐお義父さんになる人なんだよね、エヘヘ」

「へぇーそうなんですね

おめでとうございます」

「うん!でも子供が出来るまでは働くよ

後、最低2年は働きたいとは言ってるけど、授かりものだからわかんないけどね

あとねぇ〜、夫に‥‥あ!違った!旦那って呼ばないと拗ねるんだった

がね、照れながら、新婚旅行に行かないかって言ってくれて、結婚は年明けてすぐなんだけど、ほんとに楽しみ!暖かくなったら、行こうって‥‥どうしようっかなぁ」

「いい旦那様ですね」

「でしょ!でしょ!お母さんも褒めてくれるから、結婚には前向きなんだけど、お父さんが少し渋ってる感じなのよね

アイツ、マジウザイし、ほんとなんなん」

「クロッサさんはなんて?」

「クーはね!めっっっちゃ悔しがってる!

私が先に結婚決めちゃったから、焦って彼氏に話振ったらちょっと引かれちゃたんだって

でも、前向きには話が進んでるから良いらしいんだ・け・どぉぉ

私が先に幸せになっちゃいます!エヘヘ」


この後、屋敷に着くまで、ときおり肩を前後にガタガタと揺らされながら話は続いていた



盛大に火傷してしまいました

ライと申します

知らなかったんです

フリーさんが結婚する事

あんなに喋る事も


祝い事なんで良いから聞いていましたけども

なんで、あんなイキイキと内部情報をベラベラと喋るんですか?

来年は手薄になるって言ってる様なもんじゃないですか

ハクゾーさんの所でフリーさんの身柄を特定‥‥やめておきます

コレで手を出したらボロが出そうなんで

やめておきます

いまさらって、なんですか?


セバス様とフリーさんの不仲を狙ってみるのもいいのかもしれませんが

現状維持でしたね


最近は勉強ばっかりで、こういう話題を聞くと癒されます

‥‥しかし、ハクゾーさんの息子さんってどんな人なんでしょうか?

ちょっと暇な時に調べてみるのも‥‥ハッ!?

罠でしょうか

誘われてますでしょうか

危ないですね、火傷するところでした


‥‥でも、フリーさんがあんなに惚気る人物ですよ

ちょっとくらい気になりません?


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