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10話 雇い主がほったらかしって事はないですよね

屋敷にある執事長室

夕食も終わり、カルナが寝静まる時間にセバスは紅茶を飲みながら、執務机にある革造りの椅子に深く腰掛けている

ノックの音が響いたので、返事をするとサマンサが部屋に入って来る


「どうだ?」

「ぐっすり寝てたわ

明日には元気になると思う」

「そうか」

「どうするんですか?

カルナお嬢様がお怒りですよ」

「そちらは謝罪済みです」

「怒り続けているから言ってるのよ」

「半分以上はライのせいでは」

「カルナお嬢様がエリザお嬢様とマリアお嬢様にオモチャを取られたから拗ねていると」


セバスはカップを持ったまま立ち上がると

バルコニーへと続くガラス戸の前に立つ

サマンサはため息を吐きながら紅茶セットが乗っているワゴン車に向かい、自分の紅茶を淹れる

ワゴンに見慣れない陶器でできたお湯入れ?ポットが置いてあった

サマンサはさして気にせずに紅茶を飲む


「これ以上はしない約束を守ってくれる気はある?」

「それは当然」

「あなた自慢のイッカクに立たせてみたら」

「6時間立っていましたっけ」

「4時間持ちませんでしたよ

それも秋の晴れた日にね

そろそろ身内に甘いのは辞めたらどうですか?」

「甘いつもりは」

「イッカクが処分されていないのは?

ライの待遇が上がらないのは?」


セバスは振り返ってサマンサを見る

サマンサが静かに怒っている

怒りはもっともだと思う


「すまなかった」

「味方に甘いのは毒です

即効性であり、遅効性でもある

対応と報酬に感情を入れるな

私達が歩いた道で学んだ事ですよ

そんな事も忘れたんですか?」

「耳が痛いな」

「さて、どうします

耳が痛くて、優秀な手足まで腐り落ちるなんて

冗談にもなりませんよ」

「それについては考えがある」


セバスはもう一度バルコニーの方に振り返る

サマンサは思った

また現状維持って言うだろうな




日々の業務お疲れ様です

初めまして

サマンサ・バラクーダと申します


先日、私の夫である

セバスチャン・バラクーダが説明した事と

被る事がありますので、色々と割愛させて頂きます

まずは今後の方針としては

現状維持だそうです


組織という中身はありませんが、形を残した所から発信された命令、指令、依頼なんでも良いと思いますが

それらを今まで通りに末端、ライに届ける

組織に届ける手段も、送る手段も何箇所も経由していた為、本体が壊滅した事などわかっていませんでしたので、組織本体に近い所を潰して乗っ取って行きました

私達が欲しかったのはライの連絡系統のみですから、最終的に近所の街での連絡先を乗っ取れば終わりでした


ライは組織が生きていると思っている以上はここに残ると思いますが、我々にバレたと思ったらすぐに何処かに行くでしょう


そして今回、バレたと思ったのでしょうね

ライは組織の場所がわからないと思ったので、街の連絡先に来るかと思ったら

いきなり港に行ってるだなんて本当に

子供の考えがわからないのは

大人になったのだから当たり前と思っていた

あの頃を思い出します

いや、脱線しましたね

街でライを発見できなかったのですが、代わりにエリザお嬢様とマリアお嬢様の誘拐が発生したと聞きました


協力要請に行ってお嬢様方に良い所を見せたがった馬鹿息子が対応をミスった挙句に夫に泣きついた

泣きたいのはコッチです

せっかく良い子を見つけたのに

あんな子は2度と会えないのに


誘拐犯の行く先を馬鹿息子に聞いて辿り着いた山小屋

オトリだと一目瞭然でした

クロッサとフリーに調べさせてやっとの思いでお嬢様方を受け取りに行く奴らを補足、拷問して場所を聞き出した時には日が変わる前

クロッサに急いでイザナに知らせに行かして、馬鹿息子と夫を向かわす


拷問した連中が悔し紛れに言い残した言葉

お嬢様方を誘拐した奴らは女と見れば見境がないと何人も言っていました

誘拐して特定した場所に着いたとされる推定時刻から、今の時間まで3時間くらいは空白の時間がある

本当だとしたら‥‥‥気を確かに持ってもらうしかありません


疲れました

屋敷に帰って、クロッサとフリーに休んでもらって、連絡を待っていると夫と馬鹿息子

それにフラフラなライが帰ってきました

手伝うと言ったのですが、断って寮に入っていきます

さっき触ったのですが、すごい熱でした


30分に1回慎重に部屋に入って濡れたタオルを額に置いて、汗をかいていたら拭いて着替えさして布団を足してあげる

朝方になって落ち着いたので、元通りにして引き上げる

お風呂に入って寝て起きて、ライの様子を見に行ったらこの世の終わりみたいな顔をしながらクロッサとフリーにご飯を食べさせられていたけど、私の顔を見るなり小声で


「昨日、着替えさしてたのってサマンサ様ですか?」

「着替え?ライが頑なに拒否して、私を追い出して自分で着替えてたわよ」

「えっ?自分で?」

「ええ、自分で」


バッチリ見たし、拭いてあげたわよ

安心してるけど、ごめんなさいね

言う順番が逆かしら?まぁ、言いたい事は先に言わないとね


その後は顔色も良くなってきたので、明日は昼からで良いのでセバスの所に顔を出す事を言って、頭を撫でる


馬鹿息子とはいえ、子供を救ってもらった

娘達のお気に入り、娘のように思っていたお嬢様方を救ってもらった

熱でうなされた時に手を握って安心したみたいに丸まっていた姿


やばいなぁ、マズイなぁ

ちゃんと蓋できるかなぁ


最近?いや直近の悩みができました

仕事中は情に蓋をして溢れて来ないようにするのですが、少しガタが来ているようです


歳なのかしら?まったく嫌ね



ライと言います

なぜでしょうか?

まだメイドをできております


昨日、起きた時に服が変わっていたので、絶望しましたが、夕方前に来たサマンサ様に言って頂いた言葉で安心できました

今まで記憶がなくなった事はなかったのですが、病気とは怖いものです


体の調子も良くなって、動けるようになっていますが、今日の昼にセバス様とサマンサ様に執事長室で言われた内容を考えています

もちろん、スパイとかは言われていませんよ


言われた内容は

屋敷のお茶会(夜も含め)を取り仕切る事

夜勤対応ある時は出勤時間応相談

使用人慰労のお菓子作り

上記の経費申請は必須

お給金10倍

学費免除

学校に行っても待遇は変化せず


急に良くなりました

どういう事でしょうか?

飼い殺し?と言うやつでしょうか

それとも組織にいるよりコッチの方が良いぞと言う事でしょうか

いや、確かに良いですね

そういえば、組織からの報酬ってなんでしたっけ?

そもそも組織になんで、アレ?

いや‥‥違う‥‥いや、違わない

ん?なくないのか?


コレが引き抜きってヤツですね!

危ないですね、惑わされる所でした

ヘッドハンティングというヤツでしょうか?

残念ながら、私はヘッドというヤツではありませんので、違いますね


えっと、待ってください

引き抜くって事を考えるって事は

どこかに所属している事がバレてるって事でしょうか?

いや、ヘッドではないから‥‥

ペット?ペット‥‥?それも違います

断じて違います!絶対に嫌です!


じゃあ、ただ単にすごく待遇が良くなっただけですね


‥‥なんで?いきなり?こんなにも?


それにしても何か順番を間違えているような気がしますが

まさかそんな事ってないですよね

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