表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
second Re:Life  作者: 天月シズク
2章「動き出す歯車」
31/41

覚醒

私は手紙を読み終えると、その場にぺたんと力なく座り込む。


私の手からハラリと落ちた手紙をルークが拾いあげる。


書いてある内容に目を通したルークは、リアラに手紙を渡してアランの遺体に話しかける。


「…安心してくれ、あんたの想いは…確かに受け取ったからな」


そう言って船の方へ向かうルークと入れ替わるように、リアラが私の肩を抱く。


「良いお師匠様でしたね…」


「…うん」


せめて安らかに眠れるようにと、私とリアラはアランの遺体を横に寝かせて手を組ませた。


祈りを捧げていると、ルークが戻って来て黙祷を捧げてから私達に話しかける。


「行こう…アメリアに」


「えぇ…!」


「…うん!」


こうして私達は船に乗りこむと、アメリアを目指して海に出たのだった。





イースタル大陸からセントラル大陸に向かうには、まずイースタル大陸から内海を出て外海に出なくては行けない。


ここから真っ直ぐ西に進み、ベーネチア経由で外海に出るのが手っ取り早いが、あちらはルークの指名手配の事もあり、北側経由のラキア樹海を抜けて外海へ向かう事にした。


ラキア樹海、そこはトトラ村から海を跨いで北部に存在する樹海だ。


獰猛な魔物が多く生息していて、この水路を通ろうとする船はそう居ない。


なぜなら…。


ドンと船に衝撃が走ると、水面から何かが船に飛び乗ってくる。


魚に手と足が生えたような見た目に銛を構えたモンスターが3匹居た。


そう、サハギンである。


サハギンはこうして水中に身を潜めて、獲物が頭上を通ると浮上して襲うのだ。


「ちっ…サハギンか!リアラ船の操縦を頼む!」


ルークが操舵場を飛び越えて甲板に着地する。


私も刀の柄に手を乗せて甲板に飛び込む。


「えぇ〜?!私、船なんて操縦した事無いよ〜?」


リアラがわたわたと舵を握る。


「とりあえず岸にぶつからなければそれでいい!」


ルークが剣を抜きながら叫ぶ。


「くるよ…!」


サハギン達が銛を携えてこちらに来るのが見えたので、私はルークに伝える。


「来やがったな!2匹は俺が相手するから、シオンは1匹を惹きつけてくれ」


「あい!」


そう指示を出しながらルークは、サハギン達に突っ込んで行く。


上手い事2匹を惹きつけたようだ。


残りの1匹が私目掛けて銛を振って来る。


私はすぐさま黒い鞘から刀を抜き、銛を受け流す。


予測していたのだろうサハギンが、振り抜いた勢いのまま回転して尾びれで私を跳ね飛ばす。


「うぐっ……!」


2回程バウンドして、船のマストに叩き付けられた私は、背中からの痛みに顔を顰める。


「シオン!、癒しの力よ!ヒーリング!!」


リアラがすぐさま回復魔法を使ってくれた、痛みが引いていく。


サハギンすら満足に倒せないのか…こんなんじゃ私は…。


ルークもまだサハギンと戦ってる、何とか時間を稼がないと…。


私を飛ばしたサハギンの追撃が来る。


私はギリギリの所でそれを転がって避ける。


再びヒレで叩きつけてくるが、刀で何とか防ぐ。


サハギンは、私が体制を整えるのを防ぐためか、銛とヒレによる蓮撃を繰り返してくる。


何とか防いでいるけど、鋭い鱗が肩や太腿に当たり、傷口が増えていく。


「くっ…こんな所で躓いていられないのに…」


防ぎながら隙を伺っていた時だ、痛みのせいか力が緩み、サハギンの攻撃を防ぎきれず私は、刀を弾かれて落としてしまう。


「しまった…!!」


慌てて白い鞘から刀を抜こうとするも、そんな隙をサハギンが見逃す筈もなく、鋭いヒレが私の身体を切り裂いた。


赤い鮮血が舞う。


「シオン!!くそったれぇ!」


「船の上じゃなきゃ…魔法で吹き飛ばせるのに…私は、妹1人守れないの…?」


私は弱い…何も出来ずに終わるのかな…


悔しい…守られてばっかりで情け無い。


強くなるって決めたに…!






『大丈夫』







そんな声が聞こえた気がした。







私の身体が光り輝くとサハギンを吹き飛ばす。


辺りを見ると、ルークとリアラも光っているみたいだ。


「なんだ…?力が漲って来る!」


「私も…魔力が溢れてくる!」


ルークの動きが変わる、さっきまでとは比べようも無い速さでサハギンを切り付けた。


途端に仲間を切り付けられた2匹のサハギンは、危険を悟ったのか海に飛び込む。


「逃がさない…!ライトニングストリーム!」


上空から凄まじい轟音と共に一筋の光が水路に落ちる。


バリバリと音を立てて紫色の稲妻が広がる。


稲妻が過ぎ去った後、水面には先程のサハギンだけでは無く、隠れていたサハギンも合わせて10匹以上もの魔物達がプカプカと浮かび上がっていた。


「やったね…ルー兄…リア姉も凄いや…」


そう呟いて私は、その場に倒れた。


私の両肩には、2つの刻印が浮かんでいた。


右肩にはルークの右手の甲と同じ、五芒星とその中心部に太陽の印が。


左肩にはリアラの左手の甲と同じ、五芒星とその中心部に月の印が。


「「シオン!!」」


2人がこちらに駆け寄ってくるの眺めながら私は、気を失った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ