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second Re:Life  作者: 天月シズク
2章「動き出す歯車」
22/41

欠けた破片

〈sideジーク〉


俺は目の前の光景をただ見つめるしか出来なかった。


リラが少女を抱きしめて泣く姿に何て話しかければ良いのか…分からなかった。


大丈夫か? 大丈夫な訳がない。


大丈夫だ 何が?


この少女は、シェリーは、村の人を1人1人それぞれの家へ返そうとしていたんだ。重症な身体でだ。


騎士団の連中もこの光景に、皆絶句していた。


俺はそっとリラ達から離れると、騎士団の方へ向かう。


「ジークさん……」


1番最初に村に入った騎士団の団員が俺を呼ぶ。


「どうした?」


「俺…俺…はどうすれば良かったんですかね…?」


嗚咽混じりに何とか言葉を絞り出してやがる。


「俺にも分からねぇよ…ただ…どんなに頑張っても、がむしゃらになってやっても、こんな事は何処でも起きる…」


他の団員も近くに集まってきた、こりゃ相当参ってんな…。


「だからこそ、俺達が出来るのは、救える命は救う事…なんじゃ無いかって思うぜ、こんな思いをする人を無くす為によ」


「そうですね…」


「シャキッとしろ、今は助けれた命を守って行こうぜ!」


そう言って俺は、騎士団を見回す。


「「「「はい!!」」」」


騎士団は整列すると、同時に敬礼する。


俺も敬礼して、命令する。もう大丈夫だな。


「各員、作業再開!」


「「「「はっ!!」」」」


騎士団は、各自の作業に戻って行った。


俺は、リラ達の方へと戻る。


こっちも大分落ち着いたみたいだ。


「おかえり、騎士団の方をまとめくれて、ありがとう」


リラは、此方に振り返り話してくる。


「別に大した事はしてないさ」


そう言って俺は、シェリーの様子を見る。


もう無理に動こうとする気配は無く、ぼーっと地面を眺めてる。


さっきまで無理に動いていたせいか、魔法で塞いだ傷口は開いて血が滲んでる所も何ヶ所かあった。


俺が騎士団と話してる間に、リラが手当てしたのだろう、所々包帯が巻かれている。


元は綺麗だった銀髪も、所々ついた血が乾燥して黒く汚れてる。


服も血で汚れ、所々ボロボロで、損傷が酷いのは、お腹と背中が破れてるくらいだった。


「これからどうしょっか…」


リラはそう言って、空を見あげている。


「そうだな…ターレスに行って、冒険者でも始めるか」


俺も空を見上げてそう答えた。


「良いわね、ノルドランド領なら獣人族に排他的じゃないし、この子…シェリーもゆっくり休ませてあげれるもんね?」


リラは、シェリーの首に下げてあるロケットを見つめて話す。


「ま、そういう事」


「それじゃあ私は、シェリーを身なりを整えてくるわ、何時迄もこのままじゃ可哀想だからね。」


「あいよ。」


リラは、シェリーの手を引いて、シェリー達が住んでたであろう家に歩いて行った。


「……俺もやり残した事を片付けるとするか。」


離れて行く2人を見送り俺は、村の入り口へと歩いていく。

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