未知との遭遇
目が覚めてから辺りをみたり自分の体を確認してそれなりに時間が経ったはずだが…。
女神様現れませんね?
コレはアレですかい?目覚めたらいきなり異世界で後はお好きにどうぞパターンってやつでは…?
え?転生特典のチートは?神の声は?RPG的なステータスやらスキルは?無しですかい?
「ぉおぅ…まぁぃぃがうっと…」
俺はその場に膝から崩れ落ちた。 orz
いやいや今時のゲームでもチュートリアルくらいあんべ?
昔のド◯クエでも女神の質問から始まったじゃん!夢の中だけど!
初期武器すら無しとか手抜きにも程があるじゃろう!どないしろってんだいー!
そんなこんなで、絶望感に泣きそうになってると茂みの方から何やらガサゴソと音がした。
「んぅ?………ピャッ⁉︎」
「グルルゥゥゥ…」
音の方を向くとそこには黒い大きな狼がギラギラした目付きでこちらを見ていた。
どう見ても魔物じゃん…最初はスライムとかゴブリンとかじゃないの?熊サイズの狼とか鬼かよ…死んだなこれ。
「あぁぁぁぁびゃぁぁぁぁぁぁっぁぁぁ!」
元32歳おっさんのガチ泣きが辺りに響き渡った瞬間であった。
俺のガチ泣きと同じくして狼も大きなお口を開けて噛み殺さんと突っ込んでくる。
『大変!フレアランス‼︎』
涙で視界がぼやける中、こちらに飛び込んで来た狼の端に大きな杖を構えた金髪のお姉さんが何かを唱えたのが見えた。
お姉さんの杖が赤く光ると同時に、真っ赤な棒のような何かが狼目掛けて飛んでいくとドンと爆ける音と共に狼を貫いていた。
「ギャン⁈」
狼は急に斜め後方から飛んできたソレに対応出来なかったのか、お腹に丸い穴を開けて吹き飛び甲高い断末魔を上げて動かなくなった。
急にやってきた死の恐怖で、狼が動かなくなっても俺は泣きながらその場で縮こまるしかなかった。
『ねぇ大丈夫⁈何でこんな場所に女の子が…』
縮こまる俺に何かを言いながら、先ほどのお姉さんが駆け寄って来る。
『よしよし…もう大丈夫だからね?ゆっくり呼吸しましょ?すぅー…はー…すぅー…はー』
お姉さんは俺を抱きしめると、頭を撫でながら背中をトントンとあやしながら話しかけてくる。
何を言っているのか聞いたこともない言語だか、深呼吸しろと言ってるんだと思う。
とめどなく溢れる涙と恐怖によりガクガクに震えながらも一生懸命深呼吸を繰り返した。
『そうそう上手!すぅー…はー…すぅー…はー…』
それから10分以上はかかったが、何とか落ち着く事ができた。情け無い限りである。
『よしよし…大分落ちついたわね、それにしても獣人族の子かな?こんな場所に1人なんて…名前は言えるかな?私はアリシア!君は何ちゃんかな〜?』
お姉さんは俺の頭を撫でつつ、顔を覗きながらニコッと微笑みながら話しかけてくれるが…やっぱり言葉が分からない…。
後お姉さんの服が俺の涙でビショビショだ。
ついでに俺のお股もビショビショだ…おしっこで。