鼓動
〈sideシェリー〉
私は…どうしたんだっけ?
誰かの声がする…なんだろう?
大好きな匂いだ…落ち着くんだぁ…この匂い。
「……シェリー………大好き」
そっか…私…死んじゃったんだ。
ごめんね…私…頑張ったけど。
何かが体を貫く。
…ばいばい…ママ………大好きだよ。
暖かい何かが私を包む…。
カチャンと何が砕ける音がする。
ドクン…ドクン…
鼓動が聞こえる。
「おい!大丈夫か!しっかりしろ!!」
声がする。
「生存者だ、手を貸してくれ!!」
うっすらと目を開けると、誰かが私を見ている。
横を向くとママが寝ている。
ママの身体が薄らと光ってた。
その光は風に霧散して空に消えていった。
「回復師は治療魔法を!あとはありったけのポーション持ってこい!!」
あ、もっと暖かくなった。
身体にべちゃべちゃと何かがかかる。
「…ぐぅぅ………ゲボッ!」
「よし、息を吹き返した、飲めるか?ゆっくりで良い」
口に何か流し込まれる。
「んぐ……んぐっ…ゲホッゲボッ……ヒュー……ヒュー……」
「耐えろ…!もうちょいで…!」
「行けるわよ!ジーク!!」
「頼む!リラ!!」
「いっくわよぉぉぉ!リザレクション!!」
温かい光がどんどん私に集まってくる。
「はぁ…はぁ…どーよ!もう大丈夫?」
「あぁ!もう大丈夫だ!」
声が鮮明に聞こえる。
私は目を開いた。
そこには、長い紺色の髪をした青年と、紫の髪をしたお姉さんがいた。
「それにしても、よくこんな蘇生方法知ってたわね!」
「へっ…元騎士団に居たからな。」
「さっきまでね!あと私も!」
「じゃあ分かるじゃねーか!」
「分からないから聞いてるんでしょー!」
騒がしい人達だなぁ…それよりもママは?
「まだ動くなって!痛むだろう」
痛い…でもそれよりも今はママの側に居たい。
私は、ふらつきながらも、痛みに耐えて立ち上がる。
カチャ…何かが落ちた。
「あぶね!じっとしてろって…」
ジークって呼ばれてた人が支えてくれる。
「落ちたわよ、あら綺麗なロケットね?」
リラお姉さんも何か拾ってくれた。
ごめんね、ありがとう。
「…ママ?」
私は支えてもらいながらママの前に来た。
私はしがみついてママをゆする。
「ママ?」
「うそ…」
リラお姉さんは、私の行動をみて何か驚いてる。
「そう言うことかよっ!ちくしょう!」
ジークさんも辛そうにしてる。
分かってたよ。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
私の悲鳴にも近い絶叫が響き渡る。
そして私はそこで気を失った。




