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second Re:Life  作者: 天月シズク
2章「動き出す歯車」
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東の森

東の森


ここは私が初めてこの世界に来た場所であり、ママに出会った私にとっては特別な場所です。


死にそうになったり、お漏らししたりもしたけど…ね。


あの時出会ったグリズリーウルフは、本来なら南の街道を超えた、オーシア領と帝国領の国境付近に生息しているBランクの魔物ってママが教えてくれた。


魔物にはランクがあり、危険度を表している。


危険度はAになるほど危険で、Aを超えるとSランク、SSランクとなる。下はFランク。


また、この世界には冒険者という職業があり、冒険者にもランクがある。


ランクの付け方は概ね同じだけど、強さの上限がSランクまでで、下はEランクまでである。


冒険者とは、ギルドが出した依頼を受けたり、集めた素材や倒した魔物の素材を買い取って貰うお仕事です。


基本的には同じくらいのランクの冒険者同士が集まり、同じランクの魔物が倒せる。


1人だと魔物にもよるけど、大体2〜3ランクは下げて何とかなるくらい。


特に魔術師や回復師など後衛職のソロは、死にに行くようなものだ。


これを知るとBランクのグリズリーウルフを一撃でさようならしたママの強さが分かると思う。


ママは魔術師と回復師の魔法どちらも使える魔導師で、かなり有名なパーティに居たみたい。


恥ずかしいのか、あんまり教えてくれないけど…。


「…!ボアラビットはっけーん!」


ボアラビット


Fランクの魔物で、丸々と太った兎に猪みたいな牙がある魔物。


駆け出し冒険者の登竜門で、まずはボアラビットを1人で倒せてやっと冒険者と言える。


私は腰に提げている鞘から武器を引き抜いて構える。


少し反りがある細身の刀身に、円形の鍔がり握りて部分には青い布が巻いてある、つまるところ刀だ。


私の体格と戦闘スタイルを見て、ママとアラン先生が話し合って選んでくれた武器。


ロングソードだと両手持ちになり、妖狐族の敏捷性が失われ、ショートソードだと片手でもまだ重たい。


刀だと片手、両手どちらでも扱う事が出来て、敏捷性も損なう事なく扱えると、わざわざアラン先生が町まで行って買ってきてくれたのだ。


お金はママが出してくれたみたいでこの刀なかなか…いや結構いいお値段がするらしい…。


刀自体が希少な物であり、切れ味や耐久性なども含めるとそれはそれは……。


武器や身を守る防具は命に直結ため妥協せず良いもの使うべし、とアラン先生の教えである。


もちろん私の服も内側に魔術紋が施されていて、ただのワンピースに見えて実は、かなり頑丈になっている。こちらはママのお手製である。


お金をケチって命を散らしちゃ本末転倒だもんね。


「すぅー………はっ!!」


私は小さく息を吸うと、タンッと勢いよく蹴り出し、一気にボアラビットとの間合いを詰めて下から斜め上に切り上げる。


「ピギィ……」


ボアラビットは、こちらの存在に気付いたが私の速さに反応しきれずに、ボアラビットの首が宙に舞った。


私はその場で横薙ぎに刀を振り、刀に付いた血を振り払うとチンと鞘に刀を仕舞う。


そして落ちてきた頭をキャッチすると、胴体部分の後ろ足を持って、頭と胴体の切り口を下に向けて血抜きをする。


そう、私の戦闘スタイルは、間合いの外からの一撃必殺で、極限まで被弾率を落とした戦い方である。


基本的には常にこのスタイルで、安全マージンをしっかりと取り、隙を見付けて切り込んで離脱するの繰り返し。


これは心配性なママと、元は日本でぬくぬくと育ち、戦う事に慣れてない私が編み出したスタイル。


ある程度血抜きが終わったボアラビットを頭地面に置き、胴体は背中に背負っているカバンから布を取り出すと、布で胴体を包み鞄へと仕舞った。


頭の部分は、鞄からナイフを取り出し牙の付け根に差し込み引っこ抜く。


2本の牙を抜いたら、牙とナイフをカバンに仕舞い、残った頭は地面にそっと置いて、両手を合わす。ナムナム


再びカバンを背負って私は、どんどん先へと進んで行く。


途中で食べれる野草や果物、木の実などを集め、Yの字になっている枝を2本と丁度いいサイズの真っ直ぐな棒も拾い、程よく開けて見通せる場所にたどり着いた。


私は切り株の近くにカバンと集めたものを置いて、Yの字の棒を程よい間隔で地面に突き刺す。


次に周辺から枯葉や落ち葉を集めてきて枝の間に敷き詰める。


今度は枯れ木をその上に置いて、カバンの中から先程仕舞ったボアラビットの胴体とナイフを取り出して首元からお腹の下までを切り開く。


内臓と残った血を取り出して、背中側からお尻の付け根まで薄く切れ目をいれる。


そしたら、そこをつまんで引っ張って皮を引き剥がす。


お次は、香草になる野草と予め用意しておいた調味料をカバンから取り出してお好みで振りかける。


最後に真っ直ぐな枝をお尻から首に向けて突き刺す。

ブスリ


後は中身が出ないように押さえつつ、Yの字の枝に引っ掛けて、指先を枯れ木に向けて火を付ける。


「魔力を抑えてっと…ファイアーボール!」


指先に魔法陣が現れて、そこからポッと小さな火の玉が飛び出る。


火が燃え出したら、軽くクルクル棒を回して肉に火を満遍なく入れてく。


ある程度火が入って来たらあとはゆっくりクルクルと回して完成!ジョウズニヤケマシター!!


これが今日の私のご飯です!

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