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間章 ep0 忍び寄る闇
帝国領のとある都市の外側
そこは1人の男がいた。
全身を黒いローブで身に纏い、何かを見下ろしているようだ。
彼の目線の先には、妖狐族の白髪の子供が血溜まりの中倒れていた。
衣服を何も身に付けておらず、身体中には切り傷がたくさんあり、塀の上から投げ捨てられたのだろう、首の骨は折れ、手足もありえない方向に曲がっていた。
それは無残な子供の亡骸であった。
「何故だ…」
男が呟く。
「どうしてーーがこんな目に合わなければいけない……」
男は亡骸を抱え上げると、都市の上に掲げてある帝国の国旗を睨み付ける。
「この報いは必ず受けてもらうぞ……帝国の人間供……そしてーーも……」
ポツリ、ポツリと雨が降り出す中、男は歩きだし夜の闇の中へと消えて行った。
その男の眼には、揺るぎない強い意思で真っ赤に燃える憎しみの炎が燃えているようだった。




