新生活(前編)
集まった人達への自己紹介を終えた俺は、アリシアさんと一緒に村を見て周っていた。
お爺さんと先程アピールしていた逞ましい人達は、ピンクの髪のお姉さんと一緒に荷車を押しながら村の外へ出て行ったみたい。
お爺さんの家は村で1番大きな家でここの村長さんなんだろう。さっきもみんなの前でいっぱい話してたし。
そして村長さんの家の前は、広場と噴水がありさっきみたいに何か話す時はここで話すのだろう。噴水の周りではちびっ子達がきゃいきゃい遊んでいる。
噴水の後ろには、物見櫓があり村の外の様子をここから見てるんだろう。あ、上に入る青年と目が合った。
こちらに向けて手を降っている。俺も降っておこう。
フリフリフリ お?降りてきた。
『アリシアー!それに、シェリーちゃん!』
『ロバート見張りは大丈夫なの?』
『アランも上に居るから問題ないでありマス!』
茶髪の青年がそう言うと右手を挙げて身体を斜に揺らしてからビシッと敬礼した。おぉ〜?警備隊とかそんな感じなのかな?かっこいい!!
『それ何〜?変なの〜!』
アリシアさんはケラケラと笑ってる。彼なりのおふざけみたいだ。よし俺もやってみよ!
「ん〜……まふっ!」
真似して右手を挙げて揺らしてビシッと敬礼…おっとと…ちょっとよろけたけど…こうか?
『あー!ロバートが変なことするからシェリーが真似しちゃったじゃない!』
『えぇー?いーじゃん可愛いよ?ほら〜?』
お?なんだ?青年が期待の眼差し俺を見てくる。もっかいやりゃいいのか?よしきた!
「…んっ!……まふっ!」
よし!今度はバッチリ出来た!どうよ!
『うっ……可愛い…可愛すぎるわ…!』
アリシアさんが呟くと同時にギュッて俺をハグしてくる。茶髪の青年も親指を立ててよくやった!と言わんばかりに笑ってる。
俺も親指を立てて返しておこう。この人とは仲良くなれそうな気がする。前世じゃ人との関わりが苦手で1人が気楽で良かったはずだ、なのになんだろう…楽しいのかな?こういうのも悪くは無いかな…?
『尻尾が左右に揺れてる、シェリーちゃんも喜んでるみたいだし良かった良かった!』
『もー!調子良いんだから…それよりちゃんとシェリーにしてあげて?』
『おっと忘れてた!、僕の名前はロバートだよ!ロバート!』
アリシアさんが離れたと思ったら青年が俺の前に来て自分を指差して何か言ってる。どうやら名前を教えてくれたみたいだ。ロバ…アトか?
「ろば…あと?」
『惜しい〜!ロバート!』
間違えたみたい?……あぁ!ロバートか!
「ロバート?」
『そう!シェリーちゃんは賢いねー!よく出来ました!』
青年がパチパチと拍手して頭を撫でてくる。あってたみたいだ!
『そうなの!シェリーは大人しくて、周りの状況とかちゃんと見てるんだよ?まだ幼いのにちゃんとしてて、本当に賢いんだよ〜!』
『わぁ〜…アリシアってばもう親バカ発動してる?でもシェリーちゃんが凄いのは分かるな〜!じゃあ僕は見張りに戻るよ、頑張ってね、お か あ さ ん?』
『何よー!あっコラ!逃げるなぁ〜!まったく…でもお母さんかぁ…ちゃんとしなきゃね!私も』
ロバートはアリシアさんに何か言うと物見櫓の方へ走って逃げて行った。お仕事中だったのかな?




