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第80咬―蛇棲館

後ろを振り返るアベルは、配置した部下が全てオルトロスに狩られたことを察した。


『・・・・・・・クソ!!』


舌打ちをし再び前を向くと、アサルトライフルを持参した増援が駆けつけてくるのが見えた。


『ボス!!』


『来たかっ!!』


『オルトロスは?』


アベルが黙って後ろ向きに親指をクイってすると、リーダー格の男が仲間を引き連れ向かっていった。


『そうだラミアは?』


『脱出口の前の部屋です。俺達が万が一やられた時に備えて。』


『分かった。ひとまず合流する。』





◇◇◇





周囲を見渡し、フランス人どもがいないのを確認する。


「やっぱさっきの奴等で最後だったみたいだ。」


「そう?先を急ご・・・あっ。」


美玲が俺の襟を引っ張って物陰に避難させた。


「な゛っ、なんだよ急に・・・!!」


❝タン!!タタン!!❞


直後に鳴り響く軽くてリズミカルな銃声。


「増援か?」


「だね。アサルトライフルだよ得物は。」


「そうか・・・。」


ふむ・・・。


・・・・・・・。


「俺は右やるから。美玲は左で。」


「おっけ。」


合図して一斉に飛び出す俺達。


柱に隠れてた黒服の男がこっちに向かって撃ってくる。


床をスライディングして弾を避けると、そのまま男の両足首を斬った。


『あぎっ・・・?!?!』


体勢を崩して膝を付く男の頭を、俺は横にカットした。


ドシャっと斃れる男の背から別の男がぶっ放す。


刃を逆手に持ち替え、弾幕を突破する。


『おい待っ・・・!!!』


『誰が。』


突っ込み際に男の胴体を輪切りにする。


ふと美玲の方を見る。


突進しながら男の胴体を拳で貫き、そのまま死体を盾にして包囲網を突破している。


『だっ、ダメだ!!コイツ等止まらないッッッ!!!』


すでに空になった銃の引き金をカチカチして一人が絶叫した。


『こんっの・・・!!!』


リーダーと思しきガタイのいい男・・・確か俺達の家にも来てたな。


そいつが半狂乱になりながらライフルを乱射する。


『止まれバケモノぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!』


狙いがほぼ定まってない弾を避けるなんて造作もないこと。


俺は一気に男との間合いを詰める。


『人に化け物が止めれるワケないだろ?』


『ひぁ・・・!』





◇◇◇





施設6階・ドームシアター。


ここのスクリーンの下に秘密の脱出口がある。


アベルは席をかき分けながら急いでそこへ向かう。


『きしし!ご無事でぇ?』


ラミアの声が聞こえる。


今の段階で完璧に姿と気配を消している。


『奴等は包囲網を破ってくるだろう。始末を、任せてもいいか?』


『最初っからそのつもりでしたよ。ど~せ雑魚じゃ相手になりませんからねぇ~。ししっ!』


・・・・・・・。


・・・・・・・。


『礼ははずむ。あとで好きなものを言ってくれ。』


『忘れないで下さいよぉ~?』


アベルは返事をすることなく、スクリーンの下の隠し扉を開け、地下まで続く階段を降り始めた。


『ししっ!さ~てと・・・。』


ラミアはチャクラムに鎖を繋げ、のこのこやってくる狼どもを、息を殺しながら待った。





◇◇◇





「襲ってきた連中を辿るに、アイツは多分この中。」


ドームシアター、か・・・。


「なんでこんなトコに?逃げ場ゼロだぜ?」


「設計図にも載ってない脱出口がある。それがセオリー。」


大金持ちなら公共施設にそんなの作るのも簡単ってワケか。


「慎重に行くぞ。何が出て来るか分からんからな。」


「りょ。」


扉を開けて中に入る。


明かりが点いてるってことは・・・やっぱさっきまで誰かいたんだ。


「とりあえず、その脱出口ってのを探そう。話はそこか・・・」


その直後、中が真っ暗になってスクリーンに映像が浮かんだ。


『❝宇宙とギリシャ神話❞。これから皆さまを、神秘的な両者の、縁の世界にご案内します。』


「なんだ?勝手に上映始まったぞ?」


「なんか意味ありげな内容。」


確かに・・・。


と思ったその時・・・!!


『きしゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!』


奇声とともに丸い刃と鎖が目に入った俺達は急いで避けた。


鎖に繋がったチャクラムが、シートを破く。


『はぁ~いお元気~?きししっ!』


そのヘビの威嚇みたいな気味悪い笑いを忘れたことはなかった。


『ラミア・・・!』


『やっぱここで出たか。』


チャクラムを繋ぐ鎖2本をじゃらじゃら両手で引っ張り、ラミアは舌でペロペロと唇を舐める。

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