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第75咬―頭揃う

『神田。神田です。お降りの際、足元にご注意下さい。』


電車を降りてホームの階段を上って改札階に行く。


駅が落ち着いてるのを見ると、何かしら事件が起きた気配はない。


「頼太はまだ来てない・・・か。」


柱にもたれかかってスマホをいじりながら、とりあえず待ってみることにした。


「あんま待たせるなよぉ~?」





◇◇◇





三越前を発車した。


やっと次が神田かぁ~。


車内で仕掛けてくるとは思えないが、用心するのに越したことはない。


「まぁ連中もそこまでイカれちゃいねぇだ・・・ん?」


俺の左右にサラリーマンが座ったのだが、すごく違和感がある。


なんで()()なの?


そう思った次の瞬間、両方から折り畳みナイフで脇腹をブッ刺そうとしてきた。


「ッッッ!!!」


とっさに両手で止める。


「あのぉ~すいません~。電車の中に危険物持ち込まないでくれますかねぇ?」


俺も帯刀して乗車してるけど・・・。


『黙ってさっさと死ねよ。』


『3億ユーロ捻り出せ。』


うっわ東南アジア系かよ。


よくもまぁ~日本人そっくりに整形したもんだ。


なんか埒が明かなくなったので両脇の二人の手首をへし折って立った。


『あぎっ・・・?!』


『ぐふゅっ・・・?!』


双子は利き手が使いモンにならなくなったが、それでも脇腹からサバイバルナイフを取り出して襲ってきた。


俺は腰から刀を抜いて刃の側面でそれを防ぐと、ほぼ同時に弾き飛ばした。


そして双子の脇腹を串焼きみたく刀で貫いて繋げた。


『あ・・・ふぐっ・・・?!』


『ぶっ・・・ふぶっ・・・?!』


血を吐いて叫ぶそうになる双子の口を塞いだ。


『車内ではお静かに。日本はマナー厳しいから。』


10秒くらいバタバタともがいて、双子は足をだらんとさせ息絶えた。


『神田。神田です。お降りの際、足元にご注意下さい。』


同じ車両に乗ってた人達が逃げるように降りていった。


いや実際逃げてたんだけど・・・。


「俺も降りるか・・・。」





◇◇◇





ホーム階からなんかぞろぞろ人が上がってきた。


「あの、なにか?」


「通り魔だよ通り魔!!高校生のッッッ!!!」


()()()()()()()・・・。


その言葉に取っ掛かりを覚えた直後、後ろから声をかけられた。


「よぉ。待った?」


血染めの刀を持った、すごく見慣れた顔。


「意外と早かったね?」


「いやめちゃくちゃ大変だったよ。そっちは?」


「おんなじ。すごく群がってきた。」


「お互い様だな。にしても、よく俺の考えが分かったな?」


・・・・・・・。


()()()だからね。」





◇◇◇





やっぱり美玲は俺の読みを見抜いてたか。


持つべきは一心同体の相棒!!


ってか?


「で?この先は?」


「そうさな~。東京でこんだけ騒ぎ起こしたんならうかうか街を歩くにも行かないし、こっからもまだまだ金に目が眩んだ連中が襲ってくるからな~。」


どっかにいい隠れ場所は・・・。


・・・・・・・。


・・・・・・・。


「あ・・・。」


「なに?あんの?当て。」


「いやぁ~あんま気が乗らないんだけどなぁ・・・。かと言って他に頼れるトコもないし・・・。ちょっと付いてきて。」


混乱に紛れて俺達は神田駅の改札を飛び越えて外に出た。


「ちょっとどこ行くん?」


「いいから黙って付いてこい!」


後ろの美玲に言った瞬間、観光客風の白人男性3人が追ってきてるのに気づいた。


「やべっ!!」


早く見つけないと!!


くっそ確かにここらに・・・あ!!


「いたいた!!」


探してた人が見つかって急いで向かった。


「何か御用で?」


柔和な声色の女の托鉢僧。


「頼太、この人は?」


説明してる余裕はないのでいざって時に備えてポケットに入れっぱなしにしてた物を鉢に入れた。


「何これ?寛永通宝?でもちょっと見た目違うような・・・。」


鉢の中を尼僧が黙って覗き込む。


()()に会わせろ!!()()()()()の弟子だ!!」


尼僧が後ろの工事現場に入るよう促したので、俺達は扉を開けて中に入った。


「頼太。バレるんじゃない?」


「バレたって別に問題ないよ。」


どうなるか見せるために俺達は隙間から覗いた。


『おい。ここに若い男と女が入ったろ!?』


『お前中に入れたよな?とっとと出せ!!』


「ほらやっぱバレてんじゃん。」


「しっ!」


詰め寄る男達に尼僧は首を傾げる。


「生憎、異国の言葉は分かりませんゆえ。」


見かねたリーダーが大きなため息を吐いた。


『もういい。お前ら開けろ。』


男達が銃を出して押し入ろうとしたその時、尼僧が錫杖の仕込み刀を抜いて男達を斬った。


「わ?」


「なっ?言ったろ?」


間もなく黒装束に身を包んだ男達が出てきて、殺した連中の死体を工事現場に運び入れた。


彼らに続いて外の尼僧も入った。


「どうぞ。こちらへ。」


彼女に案内され、俺達は建設中のビルの地下部分に降りて、隠してあった階段で更に下に降りた。


「ねぇ頼太。どこ向かってんのコレ?」


「俺の古巣。」


「古巣?」


「地下に存在する影の日本政府・・・()()()()()って言った方がいいか?」

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