第72咬―双奇襲
「ふぅ・・・。もう大丈夫っしょ。」
マンホールを開けると人がいっぱいいる大通りの歩道だった。
ラミアを撒くのに廃水道に通じてる下水に3時間も隠れた。
「やっぱ臭うかな?スンスン・・・。」
「あっ、あの・・・。」
「よし。臭わない。ラッキー。」
「だっ、大丈夫ですか?」
通りがかりのスーツ着たおじさんが声かけてきた。
「ああ気になさらず。社会科の課題やっててプチ遭難しただけなんで。」
そう言うと私はさり気なく人混みに紛れて歩き出した。
頼太は逃げ切ったっはずだ。
行先はホテル。
道路掲示板の地図を見る。
「ここから徒歩で一時間くらいか・・・。」
方角は分かった。
行くか。
「ありゃ?」
なんか先行ったトコで革ジャン来た男がこっち見てる。
中東系?
持ってんのは・・・スマホ?
「転移者・・・。」
怪しく思ったからホテルと反対側を歩き出した。
この視線・・・付いてきてんな。
◇◇◇
「はぁ~・・・!!」
部屋に戻るつったのはいいけど、美玲のこととかこれからのこと考えるとじっとしてらんなくなってきたな。
「ちょっと外の空気吸ってくるか。」
ホテルを出て、軽く深呼吸した。
「なんか飲み物でも買って・・・」
「募金お願いしま~す!!保護された野犬と野良猫に里親を~!!」
横断歩道の真ん中で募金活動やってた。
財布の中の所持金を見る。
「裏社会のお金しかないなぁ。そうだな~。」
堅気にも使える換金所の住所メモに書いて一緒に出すか!
俺は横断歩道を渡って募金やってる女の人んトコに行った。
なんかためにやることやって、ちょっとした縁起担ぎとしますか!
「あの~すいません。魔科貨幣じゃないですけどいいっすか?」
「大丈夫です!ありがとうございます!!」
「ちょっとワケありのお金なんで換金できる場所も一緒に教えますね。」
「「ワケありの人がワケありのお金渡すなんて可笑しいですね!」
「へ?今なんて?」
次の瞬間、女は募金箱からサバイバルナイフ出して、首をブッ刺そうとしてきた。
「ちょっ・・・?!?!」
慌てて女の手を取り押さえて、なんとか事情を聞こうとした。
「アンタどゆつもり?!?!強盗ならヨソ当たれよッッッ!!!」
「アンタ等殺したら3億ユーロ入んだよ!!オルトロスっっっ!!!」
「はっ、はぁ?!?!」
◇◇◇
大通りをそれて裏路地に入った。
男達はまだ付けてる。
「そろそろ仕掛けてきてもいいはず・・・うひょ!?」
❝パシュッ!❞て乾いた音がした後、脇腹を銃弾がかすった。
私は横にあったデカいゴミ箱を蹴って飛ばした。
3人の内2人は避けたけど、一番後ろの奴に直撃して吹っ飛んだ。
あとの奴等がサイレンサーを走りながら撃ってくる。
右の奴に一気に詰め寄って、手を押さえて下顎から撃った。
脳ミソをぶちまけて死ぬ男。
あと一人・・・。
『ぬああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!』
ラリアットしてきて、不覚にも受けてしまった。
「痛った。」
バク転してスタっと着地した私に、男は銃を構えながら『へっ・・・?』て言った。
私はそんなのお構いなしに、男の首を裏拳で360度ぐるんって回した。
向こうを見ると、ゴミ箱で飛んだ男が睨んでいる。
やっぱ並存世界だと中々死なないな。
「でもまぁ・・・いいや。」
足元のマンホールを持ち上げて縦に投げると、男の顔の真ん中にボコってめり込んだ。
◇◇◇
この女まさか・・・俺らと同じ!?
でもなんで3億ユーロなんてワード出てくんの!?
・・・・・・・。
「今はそんなの、気にして、られっか!こんなとばっちり・・・たまらんわ!!」
俺は女からナイフを奪うと彼女の頸動脈を切った。
「ぐぼっ・・・!!ぶじゅじゅ・・・!!」
血を吐く女の襟首を掴んで車道に放り投げると、ちょうどやってきた車に撥ね飛ばされた。
「はぁ・・・!!」
大きなため息を吐いた俺は慌ててホテルの中に駆け込んだ。
「頼太様、先程の音は・・・。」
「なんか募金装った変な女に殺されかけた!!俺殺したら3億ユーロ手に入るって!!」
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「なに?そのどうしよって顔は・・・。」
「先程、用があり東京の本部ビルに戻ったところ、こんなメールが受信されました・・・。」
へびまるちゃんが見せてきたメールを見て、俺は目をひん剥いた。
「なっ、何コレ?!?!」
◇◇◇
襲ってきた男のスマホを開くと、さっきまで見てたメールが表示された。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「へぇ~。こりゃ結構ヤバいね。」
◇◇◇
全く違う場所、全く違う刺客から襲撃を受けたオルトロスコンビは、奇しくも同時刻に自らが置かれている状況を知るのだった。
「オルトロスを殺したら3億ユーロ+称持ちの殺し屋に昇格ぅ!?!?」
「オルトロスを殺したら3億ユーロ+称持ちの殺し屋に昇格ねぇ~?」




