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第57咬―嬲食殺

「ぎぃぃぃぃ・・・!!!くそぉ・・・!!!」


吹っ飛ばされた左手首に破いた袖を巻き付け、マリサムは必死に止血した。


「さっすが元冒険者。ワイルドで大胆な止血方法だな。」


「きっ、貴様ぁ・・・!!!決闘の申し出もなしに斬りかかるとはぁ・・・!!!どういう了見を・・・ッッッ!!!」


二撃目を弾きやがった。


思ってたより腕あるかもな。


「勝負?何か勘違いしてるようだな。これは()()だよ。俺がオオカミで、アンタはシカだ。❝はい襲います。❞って首にガブっとするアホなオオカミがいるか。」


「おっ、面白い!!ならば・・・!!」


マリサムが森の方まで一気にジャンプしたから。俺はそれを追いかけた。


森の中に入ると、そこかしこからガサガサという音とともに、木の葉が落ちてくる。


森中を跳び回ってかく乱させてる気なんだろう・・・。


「どちらが狩られる側か、その足りぬ頭に思い知らせてくれるッッッ!!!」


左手無くなってんのに余裕だなあのジジイ。


ここで向こうから来るのを待つ・・・というのは俺の主義じゃない。


耳を澄ませ、居所を探す。


・・・・・・・。


・・・・・・・。


「ッッッ?!?!」


「見っけ。」


マリサムの跳んでたトコまでジャンプして、今度は右耳を削いでやった。


「ぐはぁ・・・!!!」


体勢を崩したマリサムが背中から地面に落下した。


俺も奴の傍に着地した。


「どう?どっちが狩る側、狩られる側か分かった?」


「おっ、おのれ・・・おぶっ・・・?!?!」


立ち上がろうとしたマリサムを、最初にいた場所まで蹴り飛ばした。


「ゔっ・・・?!お゛げえええええええええええええええええ・・・!!!」


血反吐をブチまけるマリサムに、俺はゆっくりと迫った。


「悪いが約束なんでね。ルビガロカ(依頼人)にアンタの死ぬところを見せんのが。」


「ひっ・・・!!!こっ、このおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」


顔面蒼白になりながらも斬りかかってくるマリサムの右足首から下を斬り飛ばした。


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」


「アンバランスになったな。揃えてやる、よ!」


両足の太ももを斬られ、マリサムは肢をもがれた虫みたいにもがいた。


「あっ・・・!!ああっ・・・!!」


仰向けに倒れるマリサムの胸に、俺は足を置いた。


「安心しろ。アンタは後生大事に持ってる(それ)には何もしない。依頼人の子どもなんでな。」


「なっ、なぜ・・・!!俺の・・・理想が・・・理解でき・・・!!ッッッ?!?!あぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」


剣を持つ右腕が皮一枚で繋がるように深く斬り込みを入れた。


「オオカミに人間のお願いが分かると思うか?」


真顔で迫った俺に、マリサムの股を生暖かいモノが濡らす。


「わっ、悪かった・・・!!たっ、助けてくれッッッ!!!俺には妻が・・・!!ッッッ・・・?!?!」


「独身つったじゃん。」


次に飛ばしたのは左耳。


「なっ、なんでもやるッッッ!!!金でも家でも剣でもッッッ!!!持ってるものは全部・・・!!!」


次に肝臓。


「おっ、お願い・・・します・・・!!こっ、殺さないで・・・!!たっ、たしゅけて・・・くださ・・・!!」


次に大腸。


小腸。


胃。


左目。


右目。


睾丸。


口。


右肺。


左肺。


マリサムの身体の部位を、俺は一個すつ潰していった。


まるで肉食獣が、捕まえた獲物をバリボリ食べるように。


そして心臓を一突きし、首を斬り飛ばすと、マリサムは❝ビクン・・・!!!❞と大きく痙攣して全く動かなくなった。


「怨み、喰わせて頂きました。()()にな。」


マリサムの首は、ルビガロカの方まで飛んでいき、舌がでろんと出て白目を剥いた苦悶の生首に鋭く伸びた爪を突き立てた。

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