第43咬―専門外
散歩と朝食を済ませた俺達は、8時くらいに宿屋に帰ってきた。
電光掲示板には、クエストの品定めをするために冒険者たちが集まって依頼書に釘付けだ。
「相変わらずここはゴチャゴチャしてんね。」
「まぁ~この人らも稼ぐために頑張ってんだよ。俺達はヒマなことが何よりだけどな。」
「その点私らラッキーだよね。未成年で、しかも学校休みだし。」
「お前はちょっとバイトの一個くらいしろよぉ~!表の世界の社会勉強も大事だぜ。」
「やだよ。せっかくの連休満喫したいもん。」
「ど~せ寝てばっかするんだろ~が~!!」
俺達がガヤガヤしながら歩いてると、レディース用のフォーマルスーツを着た女の子が近づいてきた。
「おはようございます、お三方様。」
「よっ!おはようへびまるちゃん!」
「モーニングはご堪能頂けましたでしょうか?」
「う~ん♪満足満足だった・・・♡」
「おめぇはセロリ抜いてたじゃねぇか。」
のんびりした笑顔と声で言う美玲にうんざりした。
「まるおねえちゃんおはよう!!」
ヒナが巻き尻尾を取れんじゃないかってくらいブンブン振りながらへびまるちゃんに抱きついた。
「おやおや。今日も元気いっぱいですね、ヒナ様。」
最初の頃に面倒任せたから、俺と美玲と同じくらいへびまるちゃんにはベッタリだ。
ぐりぐりとお腹に顔を埋めるヒナを前にしても、凛々しくて優しく接するへびまるちゃんに、俺は改めて一流のフロントガールの所作を感じて感心した。
「お二人はあれですか?シルバーウイークはずっと並存世界に?」
「まぁ~そうだね!今日から8連休。親は祝日関係なく忙しいかんね!!」
「家でボーっとしてるよりヒナと遊んでる方が有意義。」
ホントはヒナを俺達の世界に連れてきてやりたいけど、さすがに今は難しい。
ヒナにとっても、本当のふるさとだから早く一緒に行きたいんだけどなぁ~・・・。
「そうですか・・・。」
へびまるちゃんの顔が少し神妙になった。
「どったの?」
ピンと来てない俺と違って、美玲は察しが付いてるみたいだ。
「なんとなく分かる。」
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「お二人に、殺しのご依頼が入っております。」
ッッッ!!!
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「のんびりしたかったんだけどな。この連休。」
「愚痴っても仕方ないだろ?こないだ夏休みの追加依頼があってから依頼ゼロだったんだ。むしろ十分羽は伸ばせただろうよ。」
「それも・・・そうか。」
手早く終わらせたら残りの休みを満喫できる。
今はそれを目指して、久しぶりの狩り、締まっていこう。
「それでへびまるちゃん。今回の獲物は?ヤクザ?マフィア?それとも半グレ?」
「それがですね・・・。」
◇◇◇
「それホント?先方に言ったの?俺らがどんなのを相手にするのか?」
「断ったのですが、何分頑なで・・・。どうしてもお二人にお願いしたいと。」
へびまるちゃんも、ちょっと困惑してるみたいだ。
だけど依頼内容が・・・魔生物の駆除なんて。
専門外にも程があるんじゃないか?




