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第32咬―炸弾

ボディーガードが頭を撃ち抜いたはずの美玲が何事もなかったかのようにスクっと起きて、更に返り討ちにまでしてしまったことに、俺は勿論ドミニクと奴の手下までもが驚いた。


『さて・・・。』


ドミニクの方に踵を返した美玲に、奴は顔をみるみる青白くさせた。


手下は銃を持ったまま棒立ちになって、動けないでいる。


そりゃそっか。


あんな光景見た後でコイツに向かってぶっ放そうとは思わんわな・・・。


どっちみち殺られることには変わらんが・・・。


『私に奇襲をかけようなんて度胸あんね?でももっと骨のあるのを雇った方が良かったね。金が勿体なかった?』


『たっ、助けてくれ・・・!』


『できるワケないじゃん。そんなん。』


美玲がドミニクの顔をトンファーで貫こうとした。


その瞬間・・・。


「まだまだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


ドミニクの雇ったボディーガードが銃を撃ちながら土埃の中からこっちに飛んできた。


美玲は即座に振り返って銃弾をトンファーで弾き返す。


「はあ゛あ゛ッッッ!!!」


美玲に迫ったボディーガードは一瞬の蹴りでトンファーを落とすとC.A.Rシステムで銃を構えて、至近距離で撃ってきた。


美玲は涼しい顔をしながら、それらを全て避けていく。


「ぬあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」


身体中ズタボロなのに美玲と接近戦で渡り合えるとは・・・。


それにあの気迫・・・。


よっぽどオルトロス(俺ら)に怨みを持ってるようだなあの日本人。


なんてつい見入っていたその時だった。


美玲の脇腹に銃口が当てられ、ゼロ距離から撃たれた。


「ッッッ・・・?!?!」


美玲が激痛をこらえる表情を浮かべる。


まずいと思った俺は木刀を持って男の首を刎ねようとしたが、寸でのところで回避された。


「美玲!!大丈夫か!?」


「ちょっと・・・マズいかも」


その言葉の意味は、美玲の撃たれた傷を見て理解した。


弾は貫通してない。


だけど撃たれた傷が、何かが弾けたように大きく開いている。


「あのヤロー・・・!!ホローポイント弾を撃ちやがったな・・・!!」


弾の先端が空洞になってて、着弾と同時に弾頭が広がるタイプの銃弾。


貫通力を犠牲にする代わりに、内臓をズタズタにして殺傷力を上げる。


アイツこんなモンまで用意してやがったッッッ!!!


「まだ勝負は終わってねぇぞッッッ!!!」


ハッと我に返ると、ドミニク達がいるところまで回避した男が俺達に銃を向けていた。


『今だ引き上げるぞッッッ!!!』


まだまだやる気なボディーガードとは正反対に、ドミニクは撤退を命じた。


『何抜かしてんだよ?!?!奴等を殺す絶好のチャンスをふいにすんのか!?』


『お前自分の状況分かっているのか!?全身ボロボロなんだぞッッッ!!!これ以上やり合ったらその最中に死ぬぞッッッ!!!』


『ッッッ・・・!!オルトロスは親分たちの仇だ!絶対ここで殺すッッッ!!!』


『聞き分けのない日本人だな!!お前らそいつを連れ出せ!!』


ドミニクの部下に羽交い絞めにされ、ボディーガードは無理やり引き上げさせられた。


一瞬追おうか迷ったが、美玲のことを考えてこれ以上深追いするのはやめた。


「追えば良かったのに。チャンスを無駄にして・・・。」


「自分の心配しろよ。お前ホローポイント脇腹に食らったんだぞ!?」


「結構痛いけど、多分死にはしないと思うわ。」


「はぁ~!?おぅ・・・!?」


服を破いて撃たれた傷をよく見て驚いた。


なんかさっきよりマシになってる気がする。


「こりゃあ一体・・・。」


「大方これも並存世界(こっち)の世界で転移者(私ら)にかけられたバフの一種だろうね。回復力も上がってるっぽい。」


魔科が使えないっていうハンデの見返りがここまでお得だったとはな・・・。


でもそれは、あの日本人にも言える。


あんだけの重傷であそこまで動けるなんて現実世界じゃ絶対に不可能だ。


自分らより格下な奴でもあれだけの力を発揮できるなんて・・・。


悔しいが・・・。


()()()()()()()()()()()かもね。これから・・・。」


「え・・・?」


「最初の一発もそうだったけどさ、正直ここ最近たるんでた。この世界での仕事、もっと気を引き締めてかからないと。」


「美玲・・・。」


「何?そのなんか嬉しそうな顔は。」


「いや、別に。」


やっぱり俺達は、二人で一つ。


骨の髄まで一心同体ってことらしい。


「肩。」


「はい?」


「肩、貸してくんない?下半身に力入んないんだわ。」


・・・・・・・。


・・・・・・・。


「今度マック奢りな?」


俺は美玲を立たせて、引き上げることにした。


「にしても大丈夫なんかな~?俺達が助けた混獣人種(セリアソイド)達。」


「あの慌てっぷり。自分達だけで逃げんのが精一杯だって分かり過ぎ。頼太、手は打ってあるんっしょ?」


「まぁな。へびまるちゃんに、❝ボロドさんに夜明け前に踏み込むように伝えて。❞って言ってある。怒るだろ~なぁ~。余計なことすんなって釘刺されたのにこんだけ暴れて・・・。」


「クレーム対応も立派な仕事だからヨロね。」


「オメェも一緒なんだよアホ。」

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