第30咬―破宴
「そいやっ。」
まるでティッシュでも取るかのような軽いノリと威力で美玲は城の一階に入るためのドアノブをぶっ壊した。
「おい今バキって結構な音したぞ・・・!!連中にバレたらどうすんだ・・・!!」
声をかなり抑えて注意したら、美玲はヘラヘラしだした。
「オークションで湧いてるアホ共が離れたトコの物音に気付くワケないでしょ。へ~きへ~き。」
「だといいんだけどよ・・・。」
とにかく俺達は、仕事の準備を整えて城に侵入した。
なんか美玲が木でできた逆三のケースをしょってるんだが、まさかコイツ・・・ここで本気になるなんてないよなぁ・・・。
と、ドキドキしてると、廊下の右側の部屋から誰か出てきてそのまま向かいのトイレに入って行った。
「頼太、アレ。」
「ちょうどいい。この前の食べ残しだ。」
◇◇◇
「ゲストへの挨拶まわりのせいでロクに用も足せないなんて、レオンハルトの連中呼びすぎなんだ・・・ゴギャ・・・?!?!」
小便器の前に突っ立ってるそいつの顔を壁に思いっきり叩きつけた。
「はっ・・・!!お前達・・・。」
「その節は。勝手に帰るなんて水臭いですよ~。今はホントに臭いですけど。」
鼻血を出して怯える男は、この間殺し損ねた魔科技術発展省のお偉いさんの貴族だった。
「たっ、助け・・・!!」
「逃げんなし。」
美玲は貴族の男の首を鷲掴みにすると、バレないようにボコボコにし始めた。
「そいつはお前にやる。どうぞお好きに。」
俺から同意を得た美玲は男への制裁を再開した。
「ぶべほっ・・・!!おぼっ・・・!!やっ、止め・・・。」
美玲は殴る手を休め、男の胸倉を掴んで自分の顔に近づけた。
「お前が私らに残してくれた子ねぇ~結構可愛いよ。人間のままだったらもっといい人生送れたけど、バカ共に頼まれたお前がいじくり回したせいでパァになったじゃん?だからお似合いの最期用意してあげる。」
美玲は男の顔を大便器に突っ込んだ。
「おぼっ・・・?!?!ごぼぼぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
「うっさい。」
美玲は男の首の根元を便器の淵で折った。
便器に頭を入れたままの姿勢で、男はビクビク失禁しながら死んだ。
「汚っ。」
美玲は腐った生ゴミでも見るような眼で男に吐き捨てた。
「気ぃ済んだ?」
「おかげ様で。譲ってくれてサンキュ。」
「お前の方がエグく殺ってくれると思って。期待以上だったわ。」
「お気に召したみたいで?じゃあ、お次は?」
「向かいの部屋、どうもリラクゼーションルームらしいわ。まとめて狩っちまおう。」
音を殺してリラクゼーションルームに入ると、美玲はドアの持ち手を捻って縛って誰も外に出られないようにした。
中はえらく豪勢だった。
フルーツ盛りのテーブルにバー、ジェットバスまで併設されている。
いるのは招待された11人のVIPと、ボディーガード役のマフィアのメンバー20数人。
ゲストの傍らには、前のオークションで競り落としたと思われる混獣人種が。
全員目が死んでる。
『ホラ食べろよぉ。お前ウサギだろwww?』
VIPの一人がウサギ型の混獣人種の男の子の口にバナナの皮とかイチゴのヘタを無理やり押し込んでいた。
男の子は嫌がるワケでもなくボーっとされるがままだった。
『お前全然反応しなくなったなwww。家に帰ったら木でも放り込んでやるか。』
『テメェが食ってろ。』
俺はソファの後ろから木刀の柄を座ってる男の口に突っ込んで捻った。
顎からゴキっと音がして男はダランとした。
ウサギの男の子は生気のこもってない目で俺を見た。
「お兄さん達が悪者みんなやっつけるから大丈夫!でもちょ〜っと目つむってくれると嬉しい・・・かな?」
ウサギの男の子が手で顔を覆った瞬間、俺は姿を晒してくつろいでるゲストを片っ端から殺し始めた。
「なっ、なんだコイツ!!どっから入って・・・ふぐっ?!?!」
銃を抜こうとしたボディーガードの後頭部を美玲が指で突いて、男の脳みそが眉間から噴き出した。
「なっ、何?!?!にっ、逃げないと・・・!!」
身の危険を感じたVIP達が、出入り口に殺到した。
だけど当然逃げれるワケがない。
だってドア使い物にならなくしたから。
「なっ、なんで開かないのよッッッ!!!」
「ドアの取っ手が壊されてる!!おいこじ開けろッッッ!!!」
VIPに呼ばれてマフィア達もドアへと急いだ。
「逃がしゃしねぇ~よ。」
俺は木刀でマフィアと連中が守ってるセレブ達をどんどん真っ二つにしていった。
「こっ、来ないでッッッ!!!」
最後の一人、30代くらいのケバイ女が自分が持ち主の混獣人種のこめかみにデリンジャーを突き付けていた。
「きっ、来たらこの子を・・・え?」
「アンタ、トロ過ぎだぜ。」
俺は八艘飛びで女の真ん前まで行って、後ろのドアごと首を落とした。
「あっ、勢い余ってドアまで斬っちゃった。美玲の奴はどうかな?」
◇◇◇
「こんのクソガキャ・・・!!ぐげっ・・・。」
こめかみを指で突くだけで死ぬ。
私が戦ってんのはケーキかなんか?
「好き勝手にやってくれんじゃねぇかッッッ!!!」
上半身裸の2m越えのマフィアが私に吠えてきた。
「声デカいよ。バレたらどうすんのさ。」
「ナメた口利きやがってッッッ!!!」
大男は近くのソファを軽々持ち上げてぶん投げてきた。
避けたり弾いたりしたら音響くだろうし、どうしよ?
「あっ、じゃあいっそのこと・・・。」
私は投げつけられたソファを片手でキャッチして横に置いた。
「なっ・・・?!?!」
「お返しだよ。」
私は近くの鉄製のイスをボール状に潰して男のみぞおちに命中させた。
男の巨体は吹っ飛んで、ジェットバスの前で倒れた。
「ふっ・・・!!ぐぅぅ・・・!!」
まだ死んでない。
頑丈だなぁ。
「ぜっ、絶対・・・殺してや・・・!!」
「あ~いいからそういうの。」
男の前まで行って1秒間の間に10発腹を殴って、フィニッシュでアッパー食らわすと、ジェットバスにドボンして、泡に当たりながらプカプカ浮かんだ。
「ちょっと手順が多かったな。省略するようにしなきゃ。」
◇◇◇
『10万ドル!!10万ドルが出ました!!更に値を付けたい方はいますでしょうか!?』
ボスの期待に応えようと、ジャスティンはオークションを必死に盛り上げていた。
それに呼応して、招待客の熱狂も徐々に増していく。
『20万!!』
『ならこっちは50万!!』
『僕は100万ドル出す!!』
客席からの反響に、ステージの中央で両手足を鎖に繋がれて立つクマ型の混獣人種の少女は怯えを隠せないでいた。
『500万出すわ。』
『ああ~っとついに500万ドル出ましたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!他に!?他に値を出すお方はいますでしょうか!?』
打って変わって、会場を沈黙が包む。
『いないようなので、今回の商品はマダムストーンが500ドルで落札・・・』
『タダ。』
『はっ、はい・・・?』
全員の注目がオークション会場最後方に集まった。
そこにいたのは、全身返り血まみれの若い日本人の男女。
『ここにいる混獣人種の子ども達、俺達・・・殺し屋オルトロスが全部タダでもらう。参加賞は、お前ら全員の命で。』




