第22咬―助親
混獣人種人身売買の裏にどんな組織がいるのか?
それを探るため、差し当ってひとまず東京の恵福の会本部に訪界門を通って帰った。
「なんで戻る?」
「今回の獲物はこれまで請け負ってきた異世界での仕事の中で一番見つけやすいと思ったからな。」
「見つけやすい?」
「美玲。相手はケモ耳っ子達を誘拐してこの世界で売りさばいてる連中だ。異世界からの住人だ。行きつく先はどこか・・・おおよそ見当は付くんじゃないか?」
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「オークション会場。」
「正解。会場場所、日時、顧客・・・。情報のガードはかなり徹底されてるだろう。だけど、そんな変わり種を競りにかけるんだ。必ずそのガードに隙間が出て来る。」
「どうやって見つける?」
「いるじゃないか。この手のネタに敏感に反応する奴等が。」
美玲は一瞬ハッとした表情をした。
「ふぅ~・・・。なるほど。」
「ちょっとエントランスで電話借りてくる。一緒にどう?」
「私は、いい・・・。」
美玲の顔がちょっと赤い。
やっぱ照れ臭いか・・・。
「そうかい?じゃあ俺一人で。」
◇◇◇
エントランスの人から電話を借りて、俺は懐から手帳を出した。
牛革をなめした結構いいヤツなんだけど、小さい頃から使ってるせいでかなりボロボロだ。
「えっ~と・・・あっ、あった。」
見つけた番号に俺はすぐに電話をかけた。
恵福の会からかけると発着信元の特定や録音とかは一切できないからいざって時に便利だ。
俺が今から話す奴には、絶対迷惑かけらんないからな・・・。
「は~い。シンドラー宅配社~。」
「久しぶりニコライ。ちょっと声老けた?」
「誰かと思えばライ坊じゃねぇか。そっちは声変わりしたか?」
「その名前で呼ぶなよ恥ずかしい。」
シンドラー宅配社。
オークションにかけられた人身売買の被害者を買い取って親元や故郷に帰す裏会社。
バックに結構な数のパトロンがいて、競り落とすのに必要な金には困らないらしい。
コイツはそこの元締めやってるニコライ=ルドルフ。
子どもの頃に結構世話になった。
「連絡してくるなんて何年振りだ?聞いてるぜ。殺し屋オルトロスのご活躍は。」
「その関係でちょっとアンタんトコで仕入れてるネタを頼りたいんだが・・・。」
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「ほう・・・。並存世界の混獣人種の子どものオークションねぇ・・・。」
「そっちにはなんか情報入ってないか?こういうのには敏感に反応すんだろ?」
「ん~・・・。あ!」
「心当たりが?」
「最近アメリカ東海岸で妙なウワサを聞いてよぉ。なんでも人と動物の混ざりモンの珍種が競りにかけられてるって。しかもどれも子どもばかり。」
人と動物のハーフの子ども。
決まりだな。
「まだ確定はできないが、次にオークションをやる場所と日にちは掴んだ。」
「どこで、いつやる?」
「4日後。シカゴでだ。」
シカゴで4日後・・・。
「それだけ分かれば大助かりだ。やっぱすごいな。」
「潰してくれんのか?こっちもオルトロスと同じでヒマの方が世のためだからな。」
「仕事だからきっちりやるよ。じゃあまたな。」
「ああっ、ちょっと待った!」
「なに?」
「その・・・ミランダは、元気にしてるか?」
「名前も過去もすっかりどっかに置いてきて、俺の相棒として存分に揮ってるよ。」
「そうか・・・。あの子は俺とお前が最後に助けた子どもだからな・・・。久しぶりに声、聞かせちゃくれないか?」
「悪いけど今日はちょっと・・・。助けの親と十数年振りに口利くのは恥ずかしいみたいでさ。」
「相変わらずシャイだな。ちょっとホッとしたよ。これからも、アイツのこと頼んだぜ。そんじゃな。」
ニコライはそう言って電話を切った。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
「言われなくても分かってるよ。俺とアイツは、オルトロスなんだからな。」




