第16咬―探求
「おっ、オルトロス?」
私の素性にカーラは見当ついてないみたいだ。
「魔物界隈じゃオルトロスの名前は行き届いてない・・・・か。」
「何?そんなにすごいのアンタ?」
「知りたい?じゃあ見せてあげる。たまにはモグリも相手にしないとね。」
「キャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!人間・・・それも魔科も使えない異世界人が、夢の中で女夢鬼に勝てるワケねぇ~んだよッッッ!!!」
女夢鬼本来の姿である翼と尻尾、角を剥き出しにして、カーラは私のすぐそばまで迫ってきた。
「くれないんだったらアンタの生気・・・力づくで吸い取っ・・・ぶべっ?!?!」
「遅っ。」
私はジャンプして、アッパーで吹っ飛んだカーラをサッカーみたく壁にゴールさせた。
「グボォォォォォォォォォォォ・・・!!!」
口からボトボト血を吐くカーラの横で私は足ドンした。
「角どんな風に生えてんだろ?」
カーラの顔を掴んで、私は右の方の角をぶっこ抜いた。
「はぎゃあ・・・!!!」
「ふぅん・・・。歯みたくなってんのね?興味深い。」
「ひっ、ひぃ・・・!!!」
「おいおい逃げんなよ。もっとバラさせてよ。お前のカ・ラ・ダ。」
飛んで逃げようとしたカーラの背中を踏みつけて、私はバラバラにし始めた。
「ふんっ!」
尻尾をぶっこ抜いた。
「スベスベ。感触はヘビに似てるな。それっ!」
翼を根元から引き千切った。
「こっちはまんまコウモリだな。だけど皮膜の強度が強い。さて・・・。」
這いつくばって逃げようとするカーラを、私は足でゴロンと仰向けにした。
「んっ!」
牙を指でつまんで抜いた。
「サメのようだしトラやクマにも見える・・・。あとで部屋の頭骨と見比べてみるか。」
「やっ、止めて・・・。」
「ダメだよ。まだまだ観察したいところがいっぱいあるんだから。次は・・・胃の内容物だな。」
カーラが歯をガチガチ言わせた。
「なっ、なんでこんなことを・・・。」
「44。」
「え・・・?」
「お前が殺した人間の数だよ。なら私はそれと同じ数にお前をバラしてその身体を調べる。等価交換だよ等価交換。」
腹に手を当てた直後、恐怖のメーターが振り切ったカーラの、全身の穴から液体が漏れ出た。
「何食べてん・・・だ、ろ!?」
右手を胃に突っ込んだ瞬間、カーラのブチブチ切れた悲鳴が響き渡った。
やかましいな。
◇◇◇
夜原のババアから得た情報を頼りに、俺は目的地に到着した。
「まさか・・・動機まで頂き女子だったなんてな。ああいうのの考えは俺にはサッパリだよ。」
電飾でビッカビカに光る店の看板には、『天の夢園館』と書かれていた。
今は違法になってる夢鬼の接客店。
要はホストクラブだ。
「さてと・・・。元凶を叩きに行くか。」