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妖精物語(ふたつの世界)  作者: ぺるしゃ
夏の章
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夏の章その3:わたくしと夏休みの計画


夏休みのはじまり。


正確には、はじまる直前。

わたくしと舞さまは、学校にいます。


教師さまからは『進路について』の話が出ました。


このあつさのなかで

長々とした話は、めまいがするようで。

実際、具合が悪くなった生徒さまもいましたわ。


・・・でも、舞さまは、まったく動じずにいました。

いや、動じないというよりは、聞いていないのか。


舞さまは『進路について』どうお考えなのか。


ちょっと、簡単には触れちゃいけないような気もして。

舞さまは、自分のこと、あんまり話したがらないですし

繊細なお方ですもの。


教師さまは、変わらず話を続けています。


『学校見学会』なるものですか。ふむふむ。

ちらっと舞さまを見ると、多分聞いていなそうなので

わたくしが代わりに話を聞きます。


==============================================


教師さまの話は、終わりましたが・・・。


わたくしは、あいまいに知っていた

『進路について』を、はじめて詳しく知りました。


聞けば聞くほど、奇妙な話です。

学校を卒業するのに、学校に入学することになるなんて

なんて奇妙な構造なのでしょうか。


わたくしは、そう思いながら

誰も見ていない、机に置かれた

"資料"を少し、くすねます。


念には念を。"備えあれば憂いなし"ですわ。


熟考するわたくしを横目に

無情にも、舞さまは家へ帰ろうとしていました。


そんな舞さまを、わたくしは若干強引に

机の前に引き戻しました。


レシラ「夏休みの、作戦会議ですわ。」


舞「・・・いや、いいよ。

  だいたい家に居て、だらだらしてるから。」


レシラ「"学校見学会"のこととか、翔さまのことは?

    どうお考えですの?」


舞「え、まあ、適当に。」


舞「翔くんとも、機会があったらいいな

  くらいに考えてるから。」


舞「レシラちゃん、頑張りすぎなくてもいいよ。

  心配しないで。」


"頑張りすぎなくても"という言葉と

舞さまの適当な返答に、わたくしは

結構ないらだちを感じました。


お姉さまと会ってからか、この暑さのせいか

いらだちを隠せないことが増えてきた気がします。


舞さま、真っ直ぐ、真面目ではあるはずなのに

変なところで適当というか。なんでしょうか。


舞さまが幸せになれなければ

わたくしの課題も、失敗になってしまうのですよ。

とか、若干思ってしまいました。


・・・いえ、考え方を変えましょう。

"その言葉を聞いて、わたくしは俄然やる気を出しました。"

こういうことに、しておきましょう。


みんなが帰った教室で

ぽつんと座る舞さまに、わたくしは熱弁します。


レシラ「・・・で、"火曜日"の午後は

    翔さまは、ほぼ確実に図書館にいらっしゃいます。

    奥の"フリースペース"へ。」


舞「火曜日? ほかの曜日は違うの?」


舞さま、"機会があったら"とか言っておきながら

結構乗り気じゃありませんか。


レシラ「ええ。まず、月曜日は図書館の休館日。

    そして、火曜日、日曜日以外は、午前いっぱい

    "バスケットボール"の部活動があります。」


レシラ「ほかの日も、図書館へ居る確率は

    ゼロではないですが

    可能性は大分低くなります。」


舞「翔くん、バスケットボール部だったんだ・・・。」


レシラ「もちろん、予定が変わる可能性はございますが

    "7月度・8月度バスケットボール部予定表"

    によれば、8月10日が、最後の大会ですわ。」


レシラ「8月初旬は、部活動に入れ込む

    可能性が高そうですわね。


レシラ「あとは、8月11日以降の生態については

    再度調査する必要がありますわ。」


舞「え、あの、ええと。」


舞「いろいろ突っ込みどころはあるけど。部活もやってて

  翔くん、図書館でなにしてるの?本読んでるの?」


レシラ「翔さまは、図書館では勉強していらっしゃいます。

    "フリースペース"は、飲み物を飲めて、静かなので

    お好きなようですね。」


舞「勉強してるんだ・・・受験勉強、かな。

  どこの学校なんだろう。」


レシラ「翔さまが勉強しているのは

    この『中央高校過去問集』ですわ。」


舞「えっ。中央高校なんだ。私立か。

  ていうか、なんでレシラちゃんが持ってるの。」


レシラ「で、これが"学校見学会"の申込書ですわ。

    ここと、ここ書いて。」


舞「えっ、えっえっ。」


舞さまは、わたくしに言われるまま

申込書に名前を書きます。


書きながら、舞さまは話します。


舞「レシラちゃん、なんか、すごいね。」


舞「妖精の、しかもお姫様とは

  段々思えなくなってきたけど・・・。」


舞「かわりに、すごいって本当に思うよ。」


レシラ「それ、どういう意味ですの。」


なにか、存在を少し否定された気もしますが

まあいいでしょう。


ともかく、あとは実行に移すのみですわ!


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