思い出作り10
十分後、買い物を済ませた俺は、礼に追いついた。
買った物はしっかりと鞄の中に入れている。
礼に見られたら、台無しな感があるからな。
「功成君、何か飲み物などは買いますか?」
俺の横を歩いていた礼が話しかけてきた。
今、俺達は映画館前の売店の近くを歩いている。
買うならば、今が一番のベストタイミングというやつだろう。
「そうだな、映画を見てる時に喉が渇いたら困るしな」
そう言って俺達は売店に近付いていった。
映画が始まる時間の前だけあって、かなり混んでいる。
売店には長蛇の列が出来上がっていた。
「むぅ、買うまでにかなり時間がかかりそうだな。……礼ちゃんお手洗いは今の内に――グホッ!!」
ドズッ、という音と共に礼のヒジが俺のみぞおちにめり込んだ。
(実際にやると結構危険な事になりかねないので良い子の皆は決して真似しないでね☆)
礼はプルプルと怒りに体を震わせながらも言ってくる。
「ほんっとーにっ、デリカシーが無いですね! 子供じゃないんですから、そんな事……」
…………………………?
急に黙った礼を不審に思い、涙目になりながらも礼を見た。
「礼、どうし――」
「やっぱり行って来る事にします。功成君、すみませんが、私の分の飲み物を買って置いてください」
一息にまくしたてる礼に疑問を感じながらも、俺は了承した。
「わ、わかった。えっ…と、礼はオレンジジュースでいいよな? 炭酸系は苦手だったから」
俺の言葉に頷くと、礼はスタスタとトイレの方向に歩いていった。
そして取り残される俺。
「一体、何なんだ……?」
一人呟いたその言葉に、応えてくれる人はいなかった。
※ ※ ※
トイレの個室に入り、バタンと扉を閉める。
軽く一息つくと、私は荷物を探り始めた。
正直、ここまでのデートの内容は完璧だ……!
最初の言葉責めの時点で、功成君は結構メロメロ状態だった。
こ、これ以上功成君がメロメロになったら……。
ダ、ダメ! はしたないですよ、如月礼!?
と、とりあえず落ち着こう。
私はスーッと深呼吸をした。
よし、と心の中で気を引き締めた声を出すと同時に、荷物の中から本を取り出す。
今日の想い出づくりの計画の大元となった、本。
私はすぐさまいつものページを開く。
”秋のドッキドキデート大作戦!!”
その見出しの後ろの方に書かれてある、デートの秘訣。
彼をメロメロにするテクニック。
私が頼りにしてるもの。
「えっと、確かここに……」
私は過去の記憶を頼りに、見出しを見ていく。
彼氏と会話を途絶えさせない方法。
違う。
彼氏とさりげなく腕を絡められる方法。
違う。
彼氏と既成事実を作る方――
違う!!
私は本を壁に叩き付けたい衝動を抑えながら、必死に探した。
そして、見つけた。
「あった……! 映画を見ながら、さりげなくアタックする方法……」
この方法があったから、私は功成君を映画に誘おうと思ったんだ。
これくらいの事なら、私でも出来るかもしれないって……。
――違う。
出来るかもしれない、じゃない。
出来るんだ。
きっと、出来る。
だって、他ならない功成君が相手なんだから。
お読み下さりありがとうございます。
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