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~一章~ ゲートの転移先


 結婚式が終わり、子供たちは控え室にて昼食を食べていた。


 大人たちは宴へと会場へ向かった。


 父様は、事後2週間は滞在する来賓方のお相手もありまだ帰れないが、母は明日の帰国を予定している。なので、フェン兄様とエリク兄様と共に、この後ゲートを使い3人で帰国することになっている。



「さっきのブーケトスのときの閣下の顔、凄かったよね。花嫁を睨み付けるなんて···さすがにあれはないよな。フェンも見ただろ?」



「うちの父親は親バカだからな。ブーケをフローが貰ったときに、絶対フローを嫁に出すものかって思ったに違いない。ウィルもうちの父親の前では気をつけろよ!多分、抱き上げ···いや···お姫様抱っこしているところなんて見た瞬間、魔術発動で殺される。もしくは呪い殺されるかもな」



 ウィル兄様は苦笑いをして「あり得そうで怖いな」と呟いた。



「そうだ!ウィルに聞きたいことがあったんだ

けど、来年から大学に進学するんだよな?俺も来年進学することにした!···魔術と魔法、どちらの大学にする?」


「結局進学するのか!僕は、魔術大学に推薦状を頼もうと思ってるんだ。人族は魔法がほとんど使えないからな。フェンは決めてないのか?」


「いや、せっかく魔世大に行くんだから、ウィルと同じ方に行こうと思ってさ!サフィニア国は王族制だから次の王も王族からだが、エメリラルドは指名制だから、母様が女王でも子供たちは民だからな!将来への思い入れが違うんだって、父様がたまに言ってるな!」


 10歳になると各国の推薦があれば世界大学に入学出来る。その推薦を取得出来るのはほんの一握りだ。毎年、世界魔法大学と世界魔術大学に各15名程度が入学する。この世界を担って行く若い世代の学びの場である。


 ウィル兄様は、王族の勉強もあり2年遅れての入学になる。フェン兄様も同い年だが、「ウィルが大学に行くなら俺も」と、二年間必死に勉強したのである。



「···フェンは凄いな!簡単に推薦枠をとれたのかい?僕は必死でここまでたどり着いたというのに···」



「えっ?何言ってるのさ!僕だって必死に勉強したきたよ!なんたって、家には天才がいるからな!努力しないと第一子のメンツがな···カッコいい兄様でいたいし!エリクなんて、フローを馬鹿にするためだけに猛勉強の日々だし!」



「フェン兄様酷いよ!僕はフローを馬鹿にするために勉強している訳じゃないよ」


 この後エリク兄様は、父親の筆頭と呼ばれるような魔術師に成りたいのだと熱く語った。



「フローは将来は何になりたいの?」


 ウィル兄様がフローを覗き込むと、顔を両手で隠し指の間から瞳をだして「動物のお世話係りになりたいです!」恥ずかしそうに言った。







 ゲートの前でお爺様とお婆様に挨拶を済ませた3人は、また近いうちに遊びに来ることを伝えた。


 来たときと同じく、3人は手を繋ぎゲートの上に立つとお爺様とお婆様の顔が消え、目の前には緑国の王城の壁が現れた。


 するとゲート前にいる見張りの騎士に


「お帰りなさいませ。···ご帰国は3人と聞いていましたが、フェンスリーグ様とエリクシエル様のお二方だけなのですね」



 フェンとエリクは顔を見合せた。



「ゲートには、フローも一緒に入ったんだ!きちんと手を繋いでいたはず···エリクも手を繋いでいたよな!」



「僕も左手を繋いでいたよ。兄様と僕の間にフローはいたはずなのに···なぜフローだけいないんだ!」



 ふたりは、突然の妹の失踪にパニックになった。



「フェアローラ様がご帰還されていないことをすぐ女王さまにご連絡と確認をいたしますので、客室にてお待ち下さい」


 見張りの騎士は、ふたりを客室に案内するように扉の外にいるひとりの騎士に声を掛け、その後で、すぐ宰相に事の顛末を報告するように話す。


 そして見張りの騎士は、後からゲートに現れるかもしれないフローを待った。







 初めて見た薄暗い壁に気がつけば、手を繋いでいたはずのふたりの兄様の姿はなく、目の前には黒い甲冑を着た人が3人いる。


「···お前は何ものだ!」


「···女の子が現れたぞ!」


「侵入者を取り押さえろ!」


 突然の招かざる来訪者に、甲冑を着た3人が声を荒げながらゲートに歩み寄ってくる。



 フローは奇声を発した。


「···こ···怖い!助けて!」


 その瞬間、フローから強い光が放たれ一面が真っ白になり、甲冑を着た3人は眩しさに目を閉じる。そして3人が目を開けたときには、光を放出した侵入者は目の前にはいなかった。




 気がつけばフローは大きな木の根元にいた。

 周囲を見回せば、沢山の木が立ち並んでいて、そこは森の中の様だった。

 目まぐるしく変わる光景にしばし我を忘れていたが、体がふらつき立っていることも出来なくてペタンと木の根の上に腰をつく。体力が消耗していたらしく、フローはいつの間にか深い眠りについていた。




本日、また投稿します

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