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~一章~ 第三魔獣騎士団3


 沢山のワイバーンが降り立った場所の塀の外側では、グレイ副団長と2頭の子魔狼が上を見上げながら、フローとリゼ団長が降りてくるのを待ち構えていた。


「最高だっただろ!」


「楽しかったか?」


 2頭の白と黒が、グレイ副団長の前に出てきて、しっぽを"ブンブン"振って出迎えてくれた。

めちゃくちゃ可愛いが、しっぽがグレイ副団長の顔に当たっている。怒られてショボくれている姿も可愛い。



「色々、凄かったです」



 2頭はフローに頭を突きだして来たので、「待たせてごめんね」と"ワシャワシャ"撫でてあげれば、摩り寄せてくる2頭の頭に挟まれて身動きがとれない。



「ビックリしました。先に教えてくれればよかったのにぃ!」



 膨れっ面で「意地悪です」とグレイ副団長を睨むと、騎士団員は突然の出来事にも対応できるようにしなければならないと言い「お前ら、力を加減しろ!」と、2頭に挟まれたフローを救出した後、人に対しての力加減を説くのであった。


 リゼ団長は、貴重な体験が出来たね「普通、他の団員はワイバーンに乗れないのよ」確かに、大変貴重な飛行だったと思う。今回の飛行はグレイ副団長が、フローに一生の思い出になるような特別なプレゼントをしたいと考えて、リゼ団長に頼んだという素晴らしい贈り物だったのだ。


 送られる側としては、特別過ぎて前置きが欲しかったが、素晴らしい体験をしたことも事実だし、グレイ副団長の好意として受け取ることにした。



「グレイ副団長、ありがとうございます!」


「最初は怖かったけど、とっても素敵な時間でした。宝物にします!」






「ちび2頭も挨拶がすんだことだし、帰るとするかー」


 魔獣騎士団のみんなが待っている場所まで、ワイバーンが乗せてくれることになった。


 フローは、リゼ団長と一緒にカイさんに乗せてもらう。第三魔獣騎士団に着いてから、一気に沢山の出来事があり、いくつか疑問に思ったことをせっかくなので質問してみた。



「厩舎には魔鳥がいましたが、第三魔獣騎士団の魔獣は魔鳥ですよね?」



「んー、おしい!」


「魔鳥は、全騎士団の連絡係りって感じなの」


 ワイバーンは厩舎を使わないから、代わりに魔鳥の待機場所となっているみたいだ。


「はい、ハズレ!次は?」



「では!ワイバーンは、小型のドラゴンって言いましたが、大きいと思います。どこが小型なんですか?」



「確かに、大きいよね!」


「頭から尾の先までで、約10メートルあるのよ!」


 小型が10メートル、中型は20メートル、大型は30メートルあると言われているが、リゼ団長も大型は見たことがなく、伝説とされている生き物だと教えてくれた。


「次は?何でも聞いて!」



「はい!」


「あと、先ほど崖に沢山の穴が開いていました。どうやって、あんなところに穴を開けたのですか?」



「あぁー、穴ね!」


「あれは、カイ達のお家よ!」



 自分たちで巣を作るから厩舎が必要無く、穴の開け方は···ブレスで"ドカン"って感じらしい。


「次に遊びに来たときに、"ドカン"見せてあげるわね!迫力あるのよ!」


 ブレスでと聞き、顔がひきつる。「見なくても大丈夫です」さすがに遠慮したい。



「······最後に、ワイバーンはみんな黒くて目がシルバーなのに、カイさんは体が濃いシルバーで目が金色です。どうしてですか?」



「今日は子供のドラゴンしかいなかったの!みんな、訓練中でさ!······産まれてから30年くらい経つと、カイみたいに色が変わるのよ!」


「魔狼は、産まれてから28日で成獣になるけど、ワイバーンは大人になるまでに時間が掛かる生き物なの」



「あんなに大きくて、子供なのですか?」



「そうよ!まだまだ言うこと利かなくてヤンチャなの。今日はフローのために、カイを呼び戻したのよ!」


「ちなみにカイは、60歳くらいよ!まだまだ若いドラゴンなのよ」


 子供のワイバーンは、気性が安定していない。人を背に乗せても、飛んでいると忘れてしまい自由に活動し始めてしまうので、飛行訓練中のカイさんを呼び出したという。



「もう質問は終わりかしら?」



「えっと······カイさんに、お聞きして欲しいことがあります」


「大変失礼かと思いますが、カイさんから頂いたこのプレゼントは······何ですか?」


 カイさんからのプレゼントを見せて尋ねた。

 それは、何かの茎の束にリボンが巻かれているものだった。


 それを見たリゼ団長は、みるみる鬼のような形相になり······叫んだ。


「カイー!」


「花を何処に置いてきたの!」


「沢山、予行練習した意味ないじゃない!」


「頑張ってラッピングしたのに!」


「こんなにしちゃって、謝っても赦しません」


「私じゃなくて、フローに謝りなさい」



 その後で、フローの頭の中に『···ごめんなさい』と、とても小さい声が聞こえた。



「あっ、ごめんなさい。謝らないで下さい」


「とっても可愛いリボンです」



 聞いてはいけない事だった。次にカイさんに会うときは、お詫びの品を持ってこよう。



······しかし、いいのだろうか?


······主じゃない私に念話で謝るなんて


······リゼ団長を怒らせないようにしよう


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