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なろうラジオ大賞4

伝説の武器として渡されたのがえんぴつなんだが、これでどうしろと?

「おお、勇者よ。よくぞ参った。おぬしにはこれをやろう」


 ある日突然、勇者として城に呼び出された俺は魔王討伐の命を下された。

 旅に必要な物資は一式そろえてくれると言う。


 まずは軍資金100ゴールド。

 100日働いた給料分の金額だ。


 次に鎧。

 カラーリングが違うだけで、一般兵士が身に着けているものとほぼ変わらない。


「うむ、これで以上じゃな」


 一人で納得するよぼよぼじじいの王様。

 肝心なものが足りなさすぎる。


「いや……まってくれよ。

 まだ武器をもらってないぞ」

「うむ……わしとしたことが、ぬかっておった」


 じじいの王様はぽけっとから鉛筆をとりだした。


「ほい、これ」


 手渡されたのは何の変哲もない六角形の鉛筆だった。


「え? なにこれ?」

「伝説の鉛筆じゃ。

 適当に好きなダメージを書け。

 戦う時に転がすのじゃ」

「え? 剣とかじゃないの?」

「このご時世、残酷描写は規制が厳しくてな。

 今回はR15はNGなのでそれで戦ってくれ」

「は?」


 剣の代わりに手渡された鉛筆だったが、どうやらこれで戦うシステムらしい。

 仕方なく俺は言われた通り、鉛筆の各面にダメージを書いた。


『致命的なダメージ。敵は即死する』


 全ての面にそう書いた俺は、さっそく雑魚モンスターと戦うことにした。


「きえええええええええええええ!」

「敵だな! くらえ! コロコロ」

「ぎゃああああああああああ!」


 襲ってきた敵は爆発四散。

 R18指定相当のグロ描写全開な死に方をする。


「やべぇ……これ最強じゃねーか」


 俺は最強の兵器と化した鉛筆を握りしめる。

 これがあれば魔王だって楽勝だ。


 こうして俺は最強の武器を手に入れ、三日で魔王を倒した。

 さっさと故郷の城へ帰還する。


「ありがとう、王様。

 このえんぴつ最強だったぜ」

「うむ、ではそのえんぴつを返してもらおう」


 俺は王様に鉛筆を返し――


「あっ」

「あっ」


 渡そうとしたところで、えんぴつを落としてしまった。

 ころころ。















「ということがあってな」


 同じ牢屋に入れられたよぼよぼのジジイは昔話を終え、満足そうにしていた。


「じいさん、大変だったんだな」

「ああ……即死だなんて小学生みたいなことは書かず、

 ひん死とかにしておけばよかったわい。

 最後の一撃くらい自分でやらなければ戦ったことにならんのじゃ」


 確かに、じじいの言う通り。

 ちょっとくらいは自分の力を使うべきだ。


 強力すぎる力に頼ったところで幸せにはなれないのかもしれない。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 「なろうラジオ大賞4」から拝読させていただきました。 いや、王様、そんな凄い武器があるなら、自分で戦えよという気も。
[良い点] 〝えんぴつコロコロが最強〟というアイデア、めっちゃ面白かったです! 「ひん死とかにしておけばよかったわい」←後悔はしても、考える改善ポイントが「即死」を「ひん死」にする程度なのが、あんまり…
[良い点] 今回はR15がNGだからって発言がメタすぎて笑いました(*´∀`*)アハハ バトエン的な使いみち、大好きです。
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