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【コミカライズ配信中!】少女⇔傭兵の成り代わり  作者: 久芳 流
4章 過去と後悔の行進

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第82話 技術班長の作戦(前編)

「補足ですか?」


 ヒナタの言葉をリラは反芻する。


「まぁ補足というより補強かな」


 おそらく理由の一つ目の話だろう。

 『交換の魔道具』を使って魔力を吸い出したところで、ハレーの全ての魔力を無にすることはできない。

 この欠陥を解決できる案をヒナタは持っていた。


「! これはまさか……!」


 ヒナタが懐から出したものを見て、アイラは目を丸くする。


「あぁ? なんだこりゃ? 魔道具か?」

「そのようですね。どうやら天然の魔道具みたいです」


 実物を知らないワクとリラは興味深そうにヒナタの手にある魔道具を眺める。


「そうだよ。その名は『蘇生の魔道具』さ」

「「!!」」


 その言葉に二人はハッと息を呑む。


「『蘇生の魔道具』だと? エリーちゃん誘拐事件で無くなった代物! 見つかったのか?」

「いったいどこに……ってまさか!?」


 リラは口を抑えて顔を真っ青にすると、ヒナタは「そのまさかさ」と頷いた。


「シュントくんが『映像の魔道具』で言っていたように元老院が持っていたよ」

「……ありえない」

「何がだい、アイラちゃん?

 シュントくんが言い当てたことかい? 元老院が持っていたことかい? それとも元老院が僕に渡したことかい?

「どれかと言われたら三つ目よ。あの元老院がヒナタに渡した? というより持っていたことを認めたこと自体信じられない!」

「ん~まぁそうだよね。僕もまさかこう簡単に手に入るとは思わなかったよ」

「いったいどうやって?」

「そりゃおど……取引したんだよ」

(今、絶対、脅したって言おうとしました!)


 飄々とした笑みを浮かべるヒナタにリラは心の中で突っ込む。

 けれどすぐにハッと疑問を抱いた。


「取引ってことは何か材料があったのですか?」

「お、さすが、リラちゃん! 賢いね~」

「いえ……そんなことないです……」

「頬赤らめちゃって可愛いね~」

「あ、いや、そんな……ではなく!」


 茶化してくるヒナタにリラは耳を赤くしながら叫ぶと、


「材料はこれさ」


 ヒナタはそう言い、懐から紙の束を取り出した。

 ひらひらとさせている紙束を見つつ、アイラが「これは?」と聞くと


「元老院が行ってきた悪事の証拠全て」


と説明するもんだから、三人はまた息を呑んだ。


「どういうこと!? いったいなんでヒナタが持ってるのよ!?」

「ん~それを説明するには、僕が近衛隊に捕まった日まで説明しなきゃいけないんだけど……。

 まぁ簡単に言っちゃうと僕を捕まえた近衛隊は近衛隊じゃなくて、シュントくんの部下だったんだよ」

「は?」

「つまりバナナ盗賊団のメンバー。近衛隊に変装していたみたいでね。そいつらがこの証拠を持っていたのさ」


 そう直感したのは、リラ達を逃がし扉を開けてすぐだったらしい。

 近衛隊特有の雰囲気は醸し出しつつも、何か近衛隊らしくない。

 だけど確証は得られなかったから、言われた通りに連行されたが連れていかれたのは近衛隊が滞在する本部ではなく、王都の端にある薄暗い倉庫。

 ヒナタはそこでそいつらが近衛隊ではなくシュントの部下であることに気が付いた。

 隠し持っていた魔道具(自作)を巧みに使い返り討ちにし、倒れた奴らの懐を弄ると()()が出てきた。


 きっと今回のようにアジトが見つかり捕まった時の保険だったのだろう。

 例えシュントが捕まったとしても、シュントの部下が元老院の悪事を王都にばら撒き元老院を瓦解させる。

 元老院が崩壊すれば、国を変えるというシュントの目的は一応、達成されるのだからうまい手だ。

 盗賊団といえど騎士団に所属していたシュントがリーダー。

 予備の作戦も準備していたことから何年も計画していたことなのだろう。


 誤算とすればシュントの部下がヒナタを嘗め過ぎていたことか。

 ヒナタを捕縛しようとしたのは『ハレー』の対策をさせないため。

 しかしヒナタはそう簡単に捕まるやつではない。

 しかも性格的には図太いときた。


 逆に利用され、『元老院の悪事の証拠』を武器にヒナタは元老院に交渉を持ちかけたのだ。


「そのひとつがこれ――『蘇生の魔道具』さ。証拠をちらつかせたらあっさりと渡してくれたよ。

 よっぽど知れ渡るのが怖いみたいだね」

「そのひとつ? 他にもあるっていうこと?」

「まぁその話はまた今度。今はギバ団長を助けることを優先しよう」


 言えば長くなるしね、とヒナタは紙束を懐に戻す。

 そしてヒナタは掌の魔道具を見せつけるように前に出すと、


「僕の作戦はこの『蘇生の魔道具』を利用することだ」


 三人に向かってそう宣言した。

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