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【コミカライズ配信中!】少女⇔傭兵の成り代わり  作者: 久芳 流
4章 過去と後悔の行進

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第65話 傭兵の姿をする貴族の娘、第一師団長と共にアジトをあっさり制圧する

 そして現在。


「ギバ様!」


 『閃光の魔道具』の煌びやかな光が止むと、リラは即座にそう言って部屋の中に入った。

 追いかけるようにアイラとワクも中へ。


 入ると地下の牢獄のようでジメジメとしていて、薄暗く、反響もある。

 そんなところに『閃光の魔道具』を使った。

 その威力たるや、計り知れない。

 シュントは怯むように壁を背に動くことができず、目を片腕で抑えていた。

 檻の中にいるギバも顔を地面に伏せてじっとしていた。


「ギバ様? ギバ様? 聞こえますか?」


 ギバに声をかけるが、『閃光の魔道具』の余波でおそらくは聴こえてはいない。

 早くギバの元へ、とガチャガチャと檻を掴んで揺らしていると、


「リラちゃん! 鍵だ!」


 ワクが牢屋側の壁際に掛けてあった鍵束を掴んだ。

 鍵は何個もない。

 いくつか鍵穴に差し込むと、すぐにヒットし鍵が回って扉が開いた。


「ギバ様? ご無事ですか?」

「……あ……リラ・ブラウンか?」


 急いでギバの元へ駆け寄る。ギバの身体を抱き抱えて容態を確認。

 目の焦点が合わず、耳も聴こえていないよう。当然だが。

 それ以前にぐったりと弱っていた。


「はい! リラです! リラ・ブラウンです!」


 なるべく聞こえるように大声で叫ぶ。


「そう……か……苦労をかけたな」

「とんでもないです」


 ギバなりの感謝にリラは笑みを浮かべて応対する。


「抵抗するなよ!」


 そうやっていると、檻の外ではアイラがシュントを取り押さえていた。

 身体を壁際に押さえつけ、腕を背中側に引っ張り抵抗できなくしていた。

 シュントの目は開かず、おそらく耳も聴こえていないだろう。 


「バナナ盗賊団のリーダー、シュント・リガイ確保!」


 バナナ盗賊団のアジトの制圧はあっさりと終了した。


★★★


 アジトとしていた屋敷の外を出ると、周囲は人だかりでいっぱいだった。

 大半は自警団と騎士団。

 その次にバナナ盗賊団のメンバー。縄で縛られて動けなくなっていた。

 誰一人として死んでおらず、怪我もしていなかった。

 最速でかつ無血で解決できたのは本当に運がよかった。


「貴方がいるからまさかとは思ったが……自警団が協力してくれるとは」


 ようやく目も耳も正常に戻り始めたギバ。

 身体が弱っていたからワクに背負われつつそう彼に話しかけた。


「おう。皆、あんたのためにここまで来たんだ」

「……感謝いたします」

「ふん。まだ事件は終わっていねぇ。こいつらを牢屋(ぶたばこ)にぶち込むまでだ」


 なんてな、と最後に恥ずかしそうに笑みを浮かべるのがワクらしい。

 昔の――騎士団長の頃を思い出して、少し懐かしい気持ちになる。


「あ? もしかしてギバさんか?」

「お? あの娘がか? 信じられねー」

「いや、あの眉間の皺を見ろよ」

「確かに……本当にギバさんだ」

「ガハハ! 本当だ! あの眉間の皺は間違いねえ!」

「本当にギバさん、少女になってやがる」


 自分達が戻ってくるのに気付いた自警団がギバを発見し、口々にそう馬鹿笑いしながら近付いて――、


「あぁー待て待て。近付くな」


 ――こようとして、ワクに止められる。


「元団長様はお疲れだ。野郎共が近付いたら迷惑だろうが」

「それもそうだな」

「じゃあまたあとでな! ギバさん」

「しっかり休めよー」


 ワクの言葉で聞き分け良く退散する輩ども。

 自分達と離れると、側にいたバナナ盗賊団に睨みつけ「なんだテメェ、やんのかこら?」と絡んでいたから、


「まったくあれじゃどっちが犯人なのか、わかりゃしねぇ」


と呆れたようにワクはため息をつく。


「でもこの自警団の彼らが協力してくれたおかげで、最悪な事態を未然に防げました」


 隣で歩くアイラはガラ悪くバナナ盗賊団に絡む自警団達を優しく見ていた。


「ワクさんはもちろん、自警団に感謝いたします」

「俺達はこのリラちゃんの依頼をただ真っ当しただけだよ。

 よしそろそろ下ろすぞ?」


 いつの間にか出来上がっていたテントの中に入ると、ワクは側に敷いてあった簡易的な敷布団にギバを寝かせた。


「すまない」


 まだ力が入らず立ち上がることもままならないが、ギバはワクを鋭い眼光で見て礼を言う。


「さすがのギバさんもお疲れだな。とりあえず安静にしとけ」

「そうですね。ギバ様はゆっくり休んでください」


 ワクの言葉に同意するようにリラが笑みを浮かべてギバの側に座る。


「じゃあ俺たちはこいつの手続きをしてくる。アイラさん、行こうか」

「わかりました」


とワクとアイラがテントの外に出ようとすると、


「なんでだ……?」


 シュントの口からそういう言葉が漏れた。


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