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【コミカライズ配信中!】少女⇔傭兵の成り代わり  作者: 久芳 流
2章 星と魔道具の研究

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第31話 傭兵のフリする貴族の娘、再度両親に怒られる

「一体、どういうことなの!?」


 ラルー・ブラウンが叫ぶ。それと同時に外からは雷が落ちる音。

 広い応接室に響き渡るその声には激しい怒りが込められ、天気にもリンクしているように思えた。

 それも当然のことだ。


「「申し訳ありません」」


 リラとアイラは頭を下げる。


「リラを取り返してくれたあなた達を信用したから任せたのに!」


 甲高い声が耳の中で嫌に響くが、リラ達は甘んじて受け入れる。

 ああいう作戦である以上、彼女が怒るのも想定内だ。


「必ずや再び取り返すことを誓います」

「当然でしょう!」


 おいおいと泣き喚くラルーに頭を下げ続ける。

 すると、今まで黙っていたフォードがラルーの肩に手を置いた。


「ラルー、落ち着きなさい」

「でも!」

「落ち着きなさい」

「――!」


 静かで低く、鋭い声。ラルーは思わず口を閉じ、リラも身体を強張らせた。


「君たちも顔を上げなさい」


 昨日までの愉快な口調とは一転した静かな話し方。

 表情にも笑みはなく、リラ達を冷酷に見ていた。

 下級とはいえ、やはり貴族。

 ここら一帯を統治していた過去のあるブラウン卿の凄みがそこにはあった。


「アイラ殿。僕らは貴女たちを信頼して我が娘の護衛を頼んだ」

「……はい」

「それなのに、結局はまた同じことが起きた」

「…………」

「それでは、貴女たちを護衛にした意味がなかった、ということになる。

 取り返せる根拠はあるか? それを教えていただきたい」


 フォードの目つきに凍えそうになる。

 今までこんな顔で見られたことがない。父親が自分以外の誰かを見るときの眼をリラは初めて知った。

 思わず背筋を伸ばし、固くなる。背中には脂汗が滲み出てきた。


「は!」


 でも、横にいるアイラは違った。

 あんな怖い顔で見られていても臆することなく、礼をし「失礼します」とフォードの前に出た。

 取り出すのはひとつの魔道具。

 銀色に輝く棒状の形状で先端には赤い小さな玉が埋め込まれていた。


「これは?」


 フォードが聞く。


「発信の魔道具です」


 アイラが持ってきたのは最新式の人工魔道具だ。


「この魔道具は微弱な魔力を放ちます。それもかなりの長距離まで、です。

 そして――」


と彼女はさらにもう一つ魔道具を取り出した。


 円盤のような形になっていて、内側にはガラスのようなものが張り付けられている。

 ガラスからは二つの点滅する光が映し出されていた。

 一つは中央に、そしてもう一つの光は少しずつ左下へ向かって動いていた。


「棒から放たれた波動はこの受信の魔道具で感知し、このように場所を示します。

 そして、リラ様にもこの棒と同様のものを事前に持たせています」


 アイラは左下に動く光を指差した。


「……つまりこの魔道具に映っている光がリラの居場所だと?」


 フォードの質問に「その通りです」と頷いた。


「リラ様が発信の魔道具を持っている限り、この魔道具で追跡することが可能です。

 そして、既に私の部下が追跡をしています。捕まえるのは時間の問題かと」


 一部、嘘がある。

 発信の魔道具を持たせていること、アイラの部下が追いかけていることは事実だ。

 だが、すぐに捕まえる気はない。

 バナナ盗賊団のアジトがわかるまでは、泳がせるつもりだ。


 この事実をフォードやラルーにバレないか。

 バレてしまえば、この作戦は全てなかったことになる。

 信用がガタ落ちてしまった今、心なしか彼らの目には猜疑心がいっぱいに見えた。

 リラは聞こえないように静かに唾を飲む。


「…………」


 考えるようにこの魔道具をじっと見るフォード。

 ラルーはもう夫に判断を委ねているようだ。腕を組みそっぽを向いている。

 アイラももう余計なことは言わない。

 静寂が部屋を包み込んでいた。

 やがて、フォードは顔を上げた。


「そうか」


 表情は朗らかな笑みだった。

 大丈夫だったようだ。


「安心したよ。なるべく早くリラに会えることを願っているよ」


 逆にすんなりと許してくれたことに拍子抜けしてしまった。


「は。全力を尽くします」


 だが、そう言ってアイラがお辞儀するものだから合わせて、リラも慌ててそれに倣う。

 とにかくフォード達に納得してもらえたのだ。

 もうここで長々と話していても仕方がない。


「それでは失礼いたします」


 アイラ達は応接室から出て、扉を閉めた。

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