コックリさん
こちらは百物語三十七話になります。
山ン本怪談百物語↓
https://ncode.syosetu.com/s8993f/
感想やご意見もお待ちしております!
「こっくりさん」という遊びを知っていますか?
机の上に「はい、いいえ、鳥居、男、女、0~9までの数字、五十音表」を記入した紙を置き、その紙の上に硬貨を置きます。
参加者は硬貨の上に人差し指を添えて「コックリさん、コックリさん、おいでください」と呼びかけます。
質問をして硬貨が動き始めたら、コックリさんが来てくれたということです。
日本で有名な「降霊術」の一つで、低級霊や動物霊を呼び出す儀式のようなものです。西洋で流行した「テーブル・ターニング」が起源だと言われています。最近だと「ウィジャボード」なんかも有名ですよね。
これからお話することは、私が中学生の時に体験した出来事です。
「ねぇねぇ、今日の放課後…コックリさんで遊んでみない…?」
友達のS子が仲の良い女子グループを集めて、放課後にコックリさんをやろうと言い出した。私は反対したけど、ほかの子たちに押し負けて参加することになった。
放課後の教室。コックリさんに必要なものを用意すると、S子を中心にコックリさんの準備が進んでいく。
「コックリさん、コックリさん、おいでください…おいでくださったのなら、鳥居の中へお入りください…」
グループを代表して、私とS子がコックリさんをやることになった。S子がコックリさんへ呼びかけると、硬貨がゆっくりと鳥居の方へ動き始めた。
「ちょ、ちょっと!冗談やめてよ!」
「嘘だぁ…まさか本当に…?」
動き出した硬貨を見て、教室に集まったメンバーは驚愕した。全員が恐怖に怯えた表情を浮かべる中、S子だけが笑っていた。
「なにこれ!めっちゃ面白いじゃん!」
コックリさんを信じていないのか、それとも信じたうえで楽しんでいるのか。私たちのことなんかお構いなしで、S子はこっくりさんへ質問を続けた。
「○○が嫌いな人は誰ですか?」
「○○先生の浮気相手は誰ですか?」
「○○が万引きしたのは本当ですか?」
S子の質問に、こっくりさんは淡々と答えを出していく。
「ねぇ、もうやめようよ…」
コックリさんに恐怖を感じた私は、S子を止めてコックリさんを終わらせようとした。
「えぇ~?それじゃあ、あと1回だけ!コックリさん、コックリさん、あなたは誰ですか?あなたの本当の名前を教えてください!」
S子の質問に答えるため、硬貨が再び動き始めた。そして…
「サ・キ・コ」
サキコ。コックリさんはそう答えた。
「サキコ…だって…」
「サキコって誰…?」
教室に集まったみんなが騒ぎ始めた。私は急いでコックリさんを終わらせようとした。その時…
「うそ…そんな…まさか…あぁ…」
S子の様子がおかしい。顔が真っ青になり、硬貨に添えた指先が震えている。
「い、いやぁああああああああああああああああああああっ!!?」
S子に声をかけようとした瞬間、S子がパニックを起こしながら教室を飛び出していった。
この時、S子はコックリさんで「絶対にやってはいけないこと」をやってしまった。
コックリさんは「絶対に途中でやめてはいけない」というルールがあるのだ。コックリさんが帰ってくれるまで、絶対に硬貨から指を離してはいけない。S子はルールを破ってしまった…
その後、私は何度もお願いをして、やっとコックリさんに帰ってもらうことができた。儀式を終えると、すぐにみんなでS子を探しに行ったが、S子を見つけることはできなかった。
翌朝、体育館倉庫の女子トイレで首を吊って死んでいるS子の死体が発見された。
自殺と判断されたらしいですが、かなり凄まじい形相で死んでいたと聞きました…
ここからは、S子が亡くなってから数年後に聞かされた「噂話」です。
当時、S子は転校してきたばかりの転校生でした。S子は親の都合で転校してきたと言っていましたが、そうではなかったのです。
前の学校で、S子は有名なイジメグループのリーダー格だったそうです。S子のイジメがきっかけで、1人の生徒が自殺をしてしまいました。この事件があった後、S子は逃げるようにうちの学校へ転校してきたのです。
自殺した生徒の名前は「サキコ」
偶然にもサキコさんは、体育館倉庫の女子トイレで首を吊って自殺していたそうです。
この噂話を教えてくれた人は、S子と前の学校で同級生だった女の子でした…
S子は本当に自殺だったのでしょうか。
気になる方は、ぜひコックリさんで聞いてみてください。