第0話 業火の憎悪
死はどこにでもある
生と死はコインの表と裏
反対でありながら背中合わせ
反対でありながら平行線
生きとし生けるものに死があるのは当然と言える
厳しくも男気があった父
優しく腕っぷしの強い母
頭がよく物知りな姉
愛らしく愛おしい妹
死が身近な世界で僕は平和に暮らしていた
何時か訪れる死を理解しながら
許容ながら
家族で笑顔でいられた
だが――この死は許される訳がない
炎が俺が産まれ生きた街を焼いた
黒い刃が父親を刺し殺した
氷の剣が母を串刺しにした
道化師が姉を殴り付けた
竜が妹を食らった
英雄が――俺らの国を破壊した
――許さない
許さない許さない許さない!!
何が英雄だ!
何が勇者だ!
何が救世主だ!
貴様らは殺戮者だ!
貴様らは破綻者だ!
貴様ら侵略者だ!
何が平和だ!
何が善行だ!
そんなものに意味はない
意味があるのは――絶対的な力だ
これは――貴様らに手向ける業火だ
世界が貴様らを許容するだろう
貴様らにとってこの世界はとても都合が良いから
俺らにとってこの世界はとても残酷な世界だから
そんな事、知った事ではない
貴様らにとって都合の良い世界だろうと関係ない
俺は貴様らを地獄に叩き落とす
俺は貴様らを地獄で焼き尽くす
地獄を、地獄を、地獄を!
――俺の復讐は地獄によって作り上げられる