犠牲といいつつ(奈々)
「あ、これも美味しそう」
ピザのチラシを見て”これだ”と思うものをチョイス。
午後の3時くらいってなぜか小腹がすくんですよね。
注文を決め、ホットミルクを少し飲んで電話をかけて注文すると再びスマホで音楽を聴きながら読書をする。
「ん? ちょっと違うかな」
イヤホンに流れてくる曲が今の気分と違ったので変えようと思ったけど、パスワードのロックを解除するのが面倒だったのでこのまま聞き流す。
音楽ファイルのプレイリストをそろそろ編集したい頃です。
・・・ 頭に思い浮かべるだけで曲を選べるようにならないかな ・・・
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しばらくすると、デリバリーピザが到着しました。
「いつもご利用ありがとうございます」
「いえいえ、そちらこそ寒い中ご苦労様です」
ドライバーからピザを受け取り妹の部屋にお裾分けに行きましょう。
「桃花、ピザ食べますか?」
「え!! ピザ!」
カチャカチャと操作していたゲームを置いて、勢いよく駆けつける桃花。
「いや、買いすぎでしょ… 何枚あるの?」
「え、普通じゃないですか? あ、チキンもありますよ」
「ピザ4枚にチキン2箱は多いと思う」
「そうですか?」
「お昼、結構食べたのによく入るね」
「育ち盛りということで・・・」
「このまま食べていくと、胃袋にお金を使う羽目になるね」
腕組みして預言者のように頷く桃花。
悲しいことにじわじわと心に小さな傷をつけられています。
「もっと、胃袋を管理しないと。お金がなくなっても知らないよ」
妹のアドバイスは心がチクチクするので強引に話題を変えましょう。
「そんなこと言うなら、あげませんよ?」
そう言うと桃花の視線はピザの箱へと移動
「・・・・とりあえずこのへんかな」
現金な妹はピザの箱を3つとチキンの箱を1つ取りま・・・・・え?
「あ、あれ? なんで頼んだ本人が半分以下になるの?」
「この辺で姉の胃袋の調整をしてあげるために妹が犠牲になってピザを食べてあげるんだよ」
「心配はありがたいんですけど、私も食べるの楽しみにしてたんですよ?」
「いやいや。食欲は抑えないと後々、大変だから」
・・・ まぁ、私のためと言ってくれているのでここはおとなしく諦めましょう ・・・
「ならピザ代を半分返金してもらえませんか?」
「・・・・」
私の言葉に桃花はキョトンとして居ます。
瞬きもしています。
「あ、そうなるのか」と桃花
「そうなりますね」と私
桃花は少し考えたあと受け取ったピザの中身を確認して無言でピザの箱を一枚私に返すと
「いただきます」
と言いながら部屋に戻った。
どうやら1枚戻すからお金は勘弁して、と言うことらしいです。
・・・ 犠牲といいつつ、お金を払う方が嫌なんですね。 ふーん。 ・・・
別に怒っていませんよ?