3話 幼馴染のおっぱい案件。
触ってもいいのか?
犯罪にはならないだろう。だって向こうから『触ってもいいよ』と言うのだから。
そこで自問する。オレは触りたいのか? 触りたいに決まっているだろうがぁぁぁぁぁ! 朝からウザいテンションで申し訳ない。
16年間恋人がいないということは、16年間おっぱいを揉む機会はなかったことを意味する。
よって、これは初めてのおっぱいを揉むチャンスだ。
いや、揉むというのは畏れ多い。いまは触れるだけにしよう。指先でタッチするだけでも、オレにとっては生まれてから最高のイベント。
しかも、ただのおっぱいではない。
相手はリア充の女子高生、クラス一の美少女で、高校全体でも5本の指に入るだろう赤山桜子。
オレは固唾を飲んでから、改めて桜子を見る。
桜子は目をつむり、頬を赤らめていた。これからの展開を、全てオレに預けている様子。
オレは学生鞄を落とし、両手を持ち上げた。せっかくなので両手でタッチさせてもらおう。
右手と左手を同じ速さで動かし、クラス一の美少女の巨乳へと接近させる。
指先タッチだけなので、両手の人差し指と中指をぴんと立てる。
ふいに桜子が言った。
「遼くん、時間がないよ」
え、おっぱいタッチまでに制限時間があったのか?
ああ、そうか。高校の始業時間のことか。正直、高校とかどうでも良かったが、桜子まで遅刻させるわけにはいかない。
ならば速度を上げよう。
このときオレの後ろの車道を、一台のトラックが猛スピードで通り過ぎた。おっぱいにばかり意識がいっていたので、これにはビックリした。
バランスを崩してしまい、右足を前へと出す。
その分、桜子に接近したわけだが、同時に両手の加速がさらに上がり、抑えられなかった。
結果、指先どころから手のひらで、桜子の巨乳に押し込んでしまう。
これには桜子も驚いたらしく、「ひゃん!」と可愛い声を上げた。
オレは慌てて後退し、謝る。
「ご、ごめん、赤山さ、じゃなくて桜子!」
桜子は両手で、胸をかばうようにした。
だがオレを見る眼差しには、嫌悪はなかった。頬を染めて、潤んだ瞳で言う。
「もう遼くん、優しくしてくれなきゃ嫌だよ」
「お、おう。次から気をつける」
とっさに次を示唆してしまった。すると桜子が笑顔で返す。
「うん!」
え、次もあるのですか?
またおっぱいを触っても、揉んでもいいの?
その後、駆け足で向かったことで始業ベルに間に合った。
両手には、桜子のおっぱいの感触が残っている。
後どうでもいいけど、オレはいま、別の世界線を生きているようだ。はい考察、終わり。
オレは自分の席について、ホッした。モテない童貞に、朝からの展開は刺激が強すぎた。ここでエネルギーの回復に努めよう。
ところが、そうはいかなかった。
「うひゃっ!」
何者かに脇腹をくすぐられ、オレはつい変な声を上げてしまった。
視線を転じると、隣の席には桜子が座っていて、悪戯っぽく微笑んでいる。
「遼くん。変な声、出しちゃって」
隣の席、桜子だったのかぁ。
オレは死ぬかもしれん。