21話 たとえ終末でもツイスターゲーム PART2。
川元家にはツイスターゲームがあった。
地味に驚きだ。前の世界線ではそんなものはなかったので。
どうせ購入したのは沙耶だろうが──と思っていたら、何でもオレが沙耶の誕生日にプレゼントし、「お兄ちゃんと一緒にやろうぜ~」と声をかけたらしい。
ロリコンもたいがいにしろ、以前のオレ。
沙耶が挙手した。
「公正なる審判、沙耶がやります」
美緒は豊かな胸の前で腕組み。大きいといっても桜子ほどではないがね。
「気に入らないわね。沙耶ちゃんは、桜子に有利な審判をしそうだわ」
「そんなことはないよ、公正なる審判だし」
「なら正直に答えてね。遼、つまり沙耶ちゃんのお兄さんがエッチするなら、どっちがいい? あたし? それとも桜子?」
オレは噴いた。なんか口から噴いた。
「おい美緒、なんてことを、オレの妹に対して」
しかし桜子のジト目が、オレに向けられた。
「ふーん。遼くん、美緒のことを『古崎』ではなく『美緒』と呼んでいるんだぁ。随分と仲のいいことで」
「いや、それはね。美緒、じゃなくて古崎から要望があって」
仲のいい幼馴染って、なんかちょっと面倒なのか? いや、相手は桜子だぞ。桜子に束縛されるなら嬉しいことだろうが。付き合っているのか知らんけど。
「沙耶としては、お兄ちゃんがファックするなら美緒より桜子ちゃんかなぁ~」
よせばいいのに沙耶がさっきの質問に答えてきた。とんでもない単語を使って。
「こら沙耶、ファックなんて言うな!」
「日本人の感覚だとファックって、あまり卑猥な言葉じゃないと思うんだよね。アメリカで言ったら速攻アウトだと思うけど。とにかく中田氏とかよりいいでしょう」
「こういう乱れは全部ネットのせいだ!」
オレが決めつけると、沙耶は呆れた。
「デジタル世代とは思えないよ、お兄ちゃん。いまどきエロ動画もネットで無料で見られるご時世に」
「……見てるんじゃないだろうな、沙耶」
「心配しないで。性癖が変になりそうなのは見てないから。ス〇✖ロとか」
妹の教育を間違えている。この妹はできてまだ一日だが、オレは責任を痛感した。
「沙耶、あとで再教育するから覚えておけ」
「『お兄ちゃんによる妹の再教育プログラム』。エロ漫画のタイトルみたい」
「……」
ここで美緒がイライラした調子で口をはさんできた。
「ちょっといいかしら? 兄妹で戯れていないで、早くツイスターをやりましょう」
オレが返答する前に、ドアチャイムが鳴った。これ以上、増えるのか?
オレは1階に降りて、ドアホンのモニターをチェック。優愛だ。オレは希望を抱き、通話ボタンを押してから言った。
「お姉ちゃんを迎えにきたのか? ここにいるから連れて行ってくれ」
「違いますよ、沙耶のお兄さん。美緒姉さんに呼ばれてきただけで」
「はぁ?」
とりあえず優愛を中に入れて、2階に連れて行った。
「優愛、早かったわね」
「まった。いつ呼んだんだ?」
「ツイスターゲームの勝者が、遼の童貞をもらえると聞いたとき」
「えっ、そんな賞品が!」
そう言っていち早く反応したのは桜子で、すぐに耳まで真っ赤になった。
「ないよ、そんな賞品はないよ! というか何で呼んだ、古崎美緒?」
『古崎』と呼ぶと美緒が不機嫌になり、『美緒』と呼ぶと桜子が嫉妬する。とりあえず、フルネーム呼びで逃げるオレ。
「もちろん、審判をしてもらうためよ」
このとき沙耶は優愛と親友ハグしていた。女児の親友ハグって、児ポに引っかかりそうだよね。
とにかく美緒の発言を聞いた沙耶は、不機嫌そうに言った。
「審判は沙耶だよ」
「ええ。だからダブル審判でいいでしょ。これなら真の公平が保てるわ」
美緒の妹である優愛が、桜子を贔屓にするはずがないからな。
しかし、オレは疑問を口にした。
「なあ、ツイスターの審判ってそこまで重要か?」
すると美緒が断言する。
「もちろん重要よ。なぜならば、いまのツイスターには『スピナーズ・チョイス』があるのですからね」
なんでこの人、こんなにツイスターに詳しいの。




