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ぬるり

作者: maipacest
掲載日:2020/02/15

羊水を少し冷たくしたような、ぬるりの季節だ。

防空壕で震えているようだ。悪夢を見る。

現実的ではないのにやけに現実的な夢を。

起床すると心臓がバクバクする。

私の耳管開放症やらADHDやらパニック障害やら仕舞いには慢性頭痛やらが一斉送還される。おかえり。


素敵な、美しい、好きな役者が鬱になった。

今は一緒に芝居をすることは叶わないが、年の瀬にお会いした時に、少し不安定にみえた。追い込み方が自分を傷つけていたから。

"ストイック"といえばそれまでかもしれない、私は彼女の私生活は知らない。そして芝居への執着が彼女に目映い光を与えていたことは間違いない。

とても、尊敬している。


私は逃げてしまう。逃げないとすぐに混乱して、体調不良のリバウンドをしてしまう。コントロール、という言い訳をするが、コントロールしていることを客が察知すると退屈させてしまう。

私の芝居は退屈だ。

そしてまた私のキャパをオーバーした芝居も求められてはいない。オーバーのさせ方が自己中心的なんだろう。恥ずかしいから最近は押さえ込んでしまう。

私は私の芝居を面白いと思わない。

だが芝居をすることは面白い。ジレンマ。


山手線で「混乱ってドウイウイミですか?」と目の綺麗な海外の女性に尋ねられた。

「目的を見失ったり、考えがまとまらなかったりすることですかね。」

とお答えした。

「慌てる、とはまたチガウノデスカ?」

「慌てる、から混乱することもありますねぇ。また動機が違ったりします。」

「フムフム…。」

この説明は分かりにくかったかもしれない。

だが広辞苑じゃなく、生身の丸腰に訪ねてくることに意味があるのだろうからご愛嬌。

彼女は、東京オリンピックのために1年前からペルーから日本に来たボランティアの方らしい。このあと日本語教室に行くそうだ。言語に関してはずっと住んでる私よりうんと勉強してることだろう。

降車際にキリスト教のチラシを頂戴した。


ワークショップに向かっている。ワークショップの大半はなぜか辺鄙な場所でやっている。

行ったところで役に立つかなどわからぬ。でも行くと必ず良かったと思う。

家で仏像になっている自分は退屈だ。

無理をしなくて済むといいな、願いはそれだけ。

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